精神看護 20巻6号 (2017年11月)

特集 精神科ならではのファーストエイド(応急処置)と、とっさの声かけ Part2

三上 剛人 , 中村 創
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自傷他害、あるいは事故などにより、ファーストエイドが必要となった精神科の実際のケースを再現し、とっさの時にどう対応するかをシミュレーションするための企画です。

2016年7月号でも同コンセプトの特集をしましたが、さらに異なる事例もあることに気づき、今回Part2を作ることにしました。今回加わった事例は、「熱傷」「溺れた」「自殺企図」「誤嚥」「肺血栓症」「悪性症候群」です。

もし自分がその状況の第一発見者になったならどう動くかを想像しながら読んでみてください。

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「精神科におけるファーストエイド」企画誕生のきっかけ

三上:僕は救急救命を専門とする救急看護認定看護師です。普段は救命救急について学生に教えたり、全国でファーストエイドの研修を行ったりしています。中村さんとは札幌市立大学の大学院で学んだ同期で、時々お互いの状況を話すのですが、そのなかで「じつは精神科でもいろんなケガがあって、ファーストエイドが必要な状況がある」という話になって。それで、三上は身体担当、中村さんが精神担当、みたいな形で精神科のファーストエイドを企画しようという話になりました。

中村:そうでした。精神科は外傷や救命の場面が日々あるわけではなく、普段、フィジカルな面に触れる機会が少ない。だからいざという時にどう動けばいいのかわからないなど、ファーストエイドについて苦手意識が強い人が多い。三上さんが普段教えているファーストエイドの“精神科バージョン”がぜひとも必要だなと感じていたんです。

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 60代後半女性。統合失調症。ロボトミー手術の既往あり。

 11月下旬の日曜日。16時頃、看護師が記録を書き終え、受け持ち患者の様子を見に行こうと廊下に出たところ、廊下の天井に白い煙が立ち込めていた。不審に思って煙を追うと、病棟端の病室入口から煙が出ているのを発見。病室に入ってみると、燃える布団にくるまりながら「暖かい、暖かい」と話す患者を発見する。

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 70代前半女性。アルツハイマー型認知症。ADLは自立しており独居状態であった患者。

 鍋の火をかけていたことを忘れ外出しようとして、ボヤ騒ぎを起こし入院となる。心配した家族が病院に相談し、本人もボヤ騒ぎを起こしてしまったことに動揺していたので、入院に同意していた。

解説

自殺未遂患者との対話 中村 創
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1.わかっていても叱責してしまう

 目の前で自傷行為が展開された時、介入するあなたは何を感じているでしょうか。

 「どのような声をかけていいのかわからない」「状況を悪化させてしまうかもと思うと声をかけられない」といった戸惑いを感じるでしょうか。あるいは「甘えている」「気を引きたくてやったんじゃないか」と考えて腹立たしさを感じるでしょうか。

悪性症候群を防ぐには 中村 創
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1.病態のおさらい 

 「悪性症候群」は精神科看護師であれば必ず耳にする疾患名です。実際に発症を目の当たりにした方もいらっしゃるでしょう。発生頻度は0.2%*1とも0.07〜2.2%*2とも言われており、抗精神病薬を服用している患者さんのうち大多数は悪性症候群に罹患しません*3。頻度が高いわけではないので、いざ目の当たりにするとどう対応していいのか分からないこともあるかもしれません。しかし、適切な対処がなければ死に至る重篤な病態*1-5です。悪性症候群を予防する点でも病態を知っておく必要があります。

連載 精神看護専門看護師って何する人ぞ?・1【新連載】

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 精神看護専門看護師になってから、私は病院には所属せず、「フリーランスの看護師」という道を選びました。なぜか……。ちょっと時間をさかのぼり、お話しさせていただければと思います。

連載 精神看護専門看護師って何する人ぞ?・2

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専門看護師を目指した経緯

 私は2002年、高校卒業後看護師を目指し、岐阜県立看護大学に入学しました。大学での実習で、長期入院の統合失調症患者の看護に関心を持ちました。2006年、看護師として就職してからは、主に精神看護の現場で勤務していました。長期入院患者と接するたび、「病気になったというだけで二度と退院できなくなることは理不尽だ」と思いつつ、具体的には何も動くことができない自分自身がくやしく、人を説得できるだけの根拠と知識を持ちたいと、学生時代からの念願であった大学院に進学することにしました。

 私が進学を決意した当時、地元岐阜には精神看護専門看護師はいませんでしたし、自分がそうなるとも思っていませんでした。学会などで話を聞いても、雲の上の存在でしかありませんでした。進学を決めた時、母校の大学には精神看護学の教授がいなかったので、大学時代の恩師から横浜市立大学大学院を紹介いただきました。そこで、住まいを岐阜から横浜に移して進学することにしました。2010年のことでした。

連載 〜吉。・7

ラー吉。 木下 将太郎
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日本精神保健看護学会第27回学術集会に参加のため、大阪から札幌へと向かう。

 札幌といえば、日本3大ラーメンの1つである札幌味噌ラーメンの地である。私は普段、醤油豚骨をチョイスすることが多く、最近では鶏白湯スープを好んでお店を選んでいることが多い。味噌ラーメン……これまで一番食す頻度が少ないラーメンの種類である。初めての味噌ラーメンとの出会いで「お味噌汁」という印象が濃く、味噌ラーメンというものに対して心のどこかでバリアが張られていたのだと思う。そのバリアのせいだろうか、いつもなら念入りに下調べするラーメン店チェックは、札幌に向かう前日になった。

連載 ふしぎの国のデイケア・2

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朝、ホームセンターの駐車場で

 「東畑の朝は早い。時計を見るとまだ5時。虫たちも眠っている」。眠気を吹き飛ばすために、情熱大陸風に自分を実況してみる。「インスタントコーヒーを淹れ、パソコンを立ち上げる。そう、東畑は、朝、論文を書く」。

 盛り上がってきたので、Youtubeで葉加瀬太郎のエトピリカを流す。いい感じだ。「Bollasの理論とKawaiの葛藤の美的解決の理論を結び付け」などと、コムズカシイことを書き連ねると、自分にうっとりしてくる。「なんてお利口な臨床心理士。感服してしまう」とつい情熱大陸風に自画自賛してしまう。

連載 武井麻子のOh!それみ〜よ・14【最終回】

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 今回で、3年続いたこの連載も完結することになった。毎回、何を紹介しようかと悩みながらの執筆ではあったが、私自身にとっても楽しい3年間であった。読者には心から感謝申し上げたい。

 さて、最後に紹介するのは、『ちづる』というドキュメンタリー映画である。そもそもこの映画に惹かれたのは、かつて精神科病院で同僚だったソーシャルワーカーの娘さんと同じ名前だったからである。そのタイトルを見て、夢中で働いていた若かりし頃が思い出されたのだ。その同僚も、昨年、60代の若さで亡くなった。

連載 訪問看護で出会う“横綱”級ケースにくじけないための技と型、教えます・4

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話が膨らまない……

 訪問に行って会話を試みるものの、どうしても話が膨らまない利用者っていませんか? 何を聞いても「はい」か「いいえ」、あるいは単語のみで返答する利用者です。

 例えば「今日の食事は何を食べましたか」と聞くと、「ご飯……」。その後に会話が続かず「おかずは何を?」と聞くと「魚……」、といったようなポツリ、ポツリの単語のやりとりになってしまいます。おそらく、統合失調症の陰性症状や認知機能障害が前面に現れていたり、自宅に引きこもりがちで1日を通して人とのかかわりがほとんどなく、どのように人とコミュニケーションを図ればいいのかがわからない、ということが起きているのではないかと考えられます。

連載 失恋の話を聞きまくる男たち。桃山商事・21【最終回】

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2014年に始まったこの連載も21回目を迎えました。桃山商事の活動紹介に始まり、これまで失恋ホストとして見聞きしてきた様々なエピソードを取り上げながら、恋愛の苦しみを生み出す構造や、男性性にまつわる問題点などについて考えてきました。

 「ストレス解消」としての不倫、“無自覚マザコン男子”の弊害、「感情と言動の不一致」によるストレス、恋愛におけるdoingとbeingの問題……などなどを扱ってきましたが、今回でいよいよ最終回を迎えます。そこで締めくくりとして、連載のテーマでもある「失恋の話を聞く」とはどういうことかについて考えてみたいと思います。

連載

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「眠れない」と訴えてくる患者さんと「睡眠薬」に悩む夜勤者

 「眠れません。眠れる薬をください」。夜勤で患者さんからこのように訴えられた時、皆さんはどのような対応をしていますか。「はい、不眠時頓服薬です」と渡してしまうのは簡単ではありますが、それでは一時しのぎになってしまいますよね。睡眠障害をアセスメントし、患者さんに起きていることを医師に伝え、患者さん・医師・看護師で協働できたなら、もっと理想的な展開になるはずです。

 私は認定看護師を薬物療法看護領域(当時)で取得しましたので、患者さんの睡眠障害に関してスタッフから相談を受ける機会が多くありました。そこで本稿では、そうした質問への私のアドバイスを紹介していくなかで、皆さんと共に睡眠障害や睡眠薬とのつき合い方を考えていきたいと思います。

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ペプロウは難しい?

 看護師なら誰しも看護学生の頃、「ヒルデガード・E・ペプロウ」という、アメリカの最も古い看護の理論家の名前を一度ぐらいは聞いたことがあるだろう。彼女は看護の大学院教育の発展に大きな足跡を残し、アメリカの専門看護師育成の基礎を築いたことで有名だ。「精神科看護の母」とも呼ばれ、1952年にいわゆるペプロウ理論と呼ばれる著書『Interparsonal relations in nursing』を上梓した。

 この理論の発表以前、アメリカで看護師の主な役割は、医師の処方した薬を患者に飲ませたり、体温や血圧を計り、排泄や清潔の世話をすることだと思われていた。しかしペプロウは、患者と看護師の“相互作用”に注目し、患者の不安や悩みに寄り添い、患者が病気になったことから何かを得て成長するのを助けること、すなわち「治療的関係」が看護師の大きな役割であることを指摘したのである。ペプロウの本は日本でも1973年に『人間関係の看護論』(医学書院)として翻訳、出版され、今でも多くの人、特に精神看護に興味関心のある看護師に読み続けられている。

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次号予告・編集後記

精神看護 第20巻 総目次

基本情報

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精神看護
20巻6号 (2017年11月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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