精神看護 21巻1号 (2018年1月)

特集 横綱級ケースに遭遇!私ならこうアセスメントし、こう介入する

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「横綱級ケース」と聞いて、読者の皆さんはどのようなケースを頭に描くだろうか。

本特集で横綱級と言っているのは重症度のことではなく、対人関係的な意味である。

支援者を困らせる、手を焼かせる、話が通じない感がある、焦らせる、圧迫感がある、要求が強い、要求がわかりにくい、支援者が恐怖や怒り、嫌悪を感じる、何を支援しているのかわからなくなってくる、達成感がないなど、コントロール不能な感覚に陥るケースのことである。

特に訪問看護という、利用者の家に“おじゃまする”形の展開では、横綱級ケースにかかわる訪問看護師のプレッシャーは大きい。

そこでこの特集では、実例をもとに、そうしたケースをどうアセスメントし、介入できるのかを解説いただくことにした。

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なんでもやります、では破綻する

小瀬古 僕は訪問看護ステーションみのり奈良を約1年半前に設立したのですが、独立型のステーションなので、地域の相談支援事業所などからもらう依頼は、地域が困っている大変そうなケースばかりです。アルコールが絡んでいたり、子どもがいて虐待しているケースだったり、家族背景が複雑だったり。そういうケースのほうが、精神症状が重症な人よりある意味大変だったりします。

 連載の第2回目(2017年7月号)に、「病院に車で連れて行ってくれ」「お風呂に入れてくれ」と、要求がどんどんエスカレートしていくオラオラ系の男性利用者のケースを書きましたが、あの人は、僕がステーションを立ち上げてから依頼が来た3ケース目の人なんです。……最初は悩みました。すごい要求の嵐に圧倒されそうな一方で、自分はこの訪問で何をしないといけないのかが見えないのです。統括の進さんに電話でスーパーバイズを受けていたのですが、その時に言われたのは、「相手はいろんなことを言うし、要望も言ってくる。でも本人にはこれが言いたい、っていうことがあるから、優先順位をつけて、ポイントを絞って、それを必ず本人と共有するようにしたらいい」って言われて、「あっ、そうなんや」って。そこで本人の意思を確認し、共有して、できること、できないことをはっきり線引きしていくようにしていきました。

横綱級ケース 小瀬古 伸幸
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ここからは小瀬古伸幸さんに、3つの典型的な横綱級ケースをもとに、それぞれどのようにアセスメントし、介入の技を繰り出したのかを解説していただきます。

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女性だけの就労継続支援B型事業所「サリュ」が15周年を迎え、2017年10月15日(日)、京都FANJを会場に、事業所にゆかりのある約100人を招いた盛大な記念イベントが開かれました。

15年の感謝の気持ち、そしてサリュらしさを伝えるために、考え抜かれた当日の流れを紹介します。

特別記事

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原因不明の慢性疼痛を持つ患者さんの現状

 私は東京大学医学部附属病院で、慢性疼痛の患者さんの治療に携わっています。

 身体に慢性的な痛みがあるけれども原因がわからず、長期間にわたって苦しんでおられる患者さんがいます。なかには10か所以上の専門医療機関を渡り歩いても身体的な異常が見つからず、さらに鎮痛薬も効かない人もいます。医療者は患者さんから、「この痛みさえ、この痛みさえ取ってくれればいいのです……」とすがりつかれるので、身体的な異常は見出せないままについつい追加の薬を処方してしまいます。一方で患者さんは、薬の副作用で眠気やふらつき、倦怠感、便秘、肥満などを来し、体調を崩していきます。そして痛みが長期化して家に引きこもりがちとなり、社会との接点を失い、うつや不安になってきます。

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PNS導入を振り返る

PNSをご存知ですか?

 PNSとは「パートナーシップ・ナーシング・システム」の略で、2009年に福井大学医学部附属病院の消化器外科病棟で生まれた看護提供方式です。

 基本的な仕組みとしては、看護師2人がパートナーとなり、1年間、そのペアであらゆる業務を行っていきます。例えばペアで複数の患者を受け持つ、日々の看護ケアをする、委員会活動をする、病棟内の係の仕事をする、のように、すべての業務を2人で補完しながら行うことを基本とします。

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「オリンピック」に出れば、幸せになれると思っていた。

頑張って頑張って、努力して努力して、我慢して我慢して……。

そうして勝ち取ったオリンピックへの切符。

勝てば官軍、負ければ賊軍。

ジェットコースターのような勝負の世界。

でも、オリンピックが終わって、残ったものって……?

美談の裏にある、選手の心と身体の消耗世界。

昂揚は短く、人生は長い。

これからのスポーツ指導のあり方に一石を投じます。

連載 精神看護専門看護師って何する人ぞ?・3

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CNSを目指したきっかけ

 私が初めて「専門看護師(CNS)っていったい何者だ?」と思ったのは10年程前、慢性期病棟の長期入院に対するケアへの行き詰まり感から、岐阜県立看護大学大学院修士課程に通っていた時でした。講師として精神看護CNSの方が来られました。その表情や立ち居振る舞いがとても活き活きとしており、語ってくれた活動内容に「カッコいい!こんな人が周りにいたらいいなぁ」と感じ、自分のキャリアとしてこんな道もあるのかも、と思いました。その思いが徐々に膨らみ、「もっと精神看護を専門的に学び、CNSになって患者さんのケアに活かしたい」と考え、岐阜県には精神看護CNSを取得できる大学院がなかったため、近県で働きながら通うことのできる精神看護CNSコースとして三重県立看護大学大学院に進学しました。

 しかし、その道のりは決して容易ではありませんでした。受験勉強や金銭的問題、働きながらCNSコースに通うことの現実には、想像以上の大変さがありました。幸いB型気質が奏功し“CNSになって看護の質を高めたい!”と決めたら一直線。授業料や交通費、書籍代、実習中の宿泊費など結構な負担になりますが、家族を説得し、受験勉強は高校生向け問題集でなんとかクリア。看護部長にはなぜ自分はCNSを目指すのか、CNSになって何をしたいのか、病院にCNSを導入する効果を明確に伝えました。

連載 ふしぎの国のデイケア・3

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ハゲ・デブ・ガリに泡盛を

 「燃えてたよなぁ」。タカエス業務統括部長がオリオンビールの発泡酒「麦職人」を飲み干す。「でも、まだまだ燃えるなぁ。燃え尽きるまで待たんとなぁ」。

 空になったビールジョッキについた水滴を、シンイチさんがおしぼりで綺麗にふき取る。

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 私が「精神疾患をもつ親と子ども・家族への支援」に関心を持ち始めてから20年近くになります。20年前はこのテーマに関する日本での取り組みはほとんどなく、諸外国での実践や研究を学ぶことが中心でした。

 2009年に、この領域の第一人者である米国ハーバード大学の児童精神科医であるビアズリー先生のもとへ学びに行った時のことです。日本でこのテーマをどう発展させればよいだろうとビアズリー先生に相談したところ、「国家的プロジェクトとしてはフィンランドが日本にとって参考になるでしょう」とおっしゃり、フィンランドの家族支援のプロジェクトリーダーである児童精神科医のソランタウス先生(現・フィンランド国立健康福祉研究所およびフィンランドメンタルヘルス協会名誉教授)を紹介してくださいました。

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基本情報

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精神看護
21巻1号 (2018年1月)
電子版ISSN:1347-8370 印刷版ISSN:1343-2761 医学書院

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