特集 市販薬オーバードーズ 自力での苦痛緩和と見えにくいSOSに私たちはどう応えるか
80錠飲んで、生きていく。
屋良 朝哉
1
1点滅社
pp.126-129
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280020126
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薬物に依存するようになってもう5年ぐらいになる。毎日80錠飲んでいる。風邪薬、睡眠薬、安定剤、抗うつ剤、整腸剤、吐き気止め、とにかく錠剤の形をしているものならなんでも、かたっぱしから飲んで飲んで飲みまくる生活を送っている。いちばん依存しているのは市販の風邪薬だ。コデイン、エフェドリン、デキストロメトルファン、この3つのうちどれかひとつでも成分に含まれている市販薬は、ほぼ全部試したと思う。
何度もやめようとしたが自分の意志ではどうにもならず、年々ひどくなっている。とくにパブロンゴールドA(以下、パブロン)への依存がひどい。一日60錠ぐらい飲んでいて、やめられる気配がまったくない。昔は60錠も飲んだらゲロとパニックで大騒ぎだったのに、今はすっかり耐性がついてしまって、ほとんど何も起きない。「なんか、ちょっとふわふわして、気持ちいいね!」ぐらいしかない。はっきり言ってひとつもおもしろくない。にもかかわらず毎日欠かすことなくオーバードーズしている。

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