訪問看護と介護 25巻9号 (2020年9月)

特集 精神科訪問看護で必須になったGAF尺度とは—診療報酬改定の意味と展望

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2020年診療報酬改定で、精神科訪問看護基本療養費に「GAF尺度による評価」が要件化されました。

実際、どのように評価していけばよいのでしょうか。

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アセスメントとは

 アセスメント(情報収集)には、切り口があります。切り口というのは「見方」であり、テーマです。

 「医療」という人を対象に行う私たちの活動では、「その人を統合的にとらえること」が肝要なのですが、その基礎となる情報は、さまざまな側面(切り口)からその人を捉えたものです。

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 2020(令和2)年度の診療報酬改定*1において、同年4月から精神科訪問看護基本療養費(Ⅰ)および(Ⅲ)を算定するに際して、その月の初回訪問時のGAF尺度(Global Assessment of Functioning Scale:機能の全体的評定尺度*2)の評点(スコア)を訪問看護記録書、訪問看護報告書、および訪問看護療養費明細書に記載することが要求されることとなりました。

 これまでの日本では評価尺度を用いた看護師による症状評価が診療報酬算定の要件とされたことはありませんでしたし、今回の診療報酬改定の概要が公表されてから、実際に運用が開始されるまでの準備期間も十分にあったとは言えなかったので、現在、この件を巡って、訪問看護の現場のあちこちから困惑の声が上がっているようです。

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 「GAF尺度についての基礎知識は学んだけれど、実際どのように評価し、記録していけばよいのか。また、これまでの他のアセスメントとはどのように連動させていくのか」というのが現場的な悩みです。

 本座談会では、その悩みを少しでも解消することを目指し、精神科特化型の訪問看護ステーションの管理者である田嶋佐知子さんと小瀬古伸幸さん、精神看護学の研究者であり実践者でもある萱間真美先生、臨床精神医学が専門で「評価尺度」に詳しい稲垣中先生によるオンライン座談会を開催。話は精神科訪問看護の展望という大きなテーマにつながりました。

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事業所内研修は必須

 2020年4月の診療報酬改定においてGAF尺度による判定が必須となりました。急遽、事業所内でGAFに関する勉強会を開催したところも多いかもしれません。当ステーションでも、診療報酬改定前にGAF尺度の研修会を開催し、周知しました。

 それから2か月が経過し、スコアは付けているものの、「その評価の質をどのように担保すればいいのか」「そのためには、どのような教育が必要なのか」といった新たな課題が浮き彫りになってきたのではないでしょうか。

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今、私ができること

 病院の待合室——。高齢の母親を乗せた車いすを押す娘さんの背中には、小さな男の子が手足をばたばたさせて時々大きな声を上げています。

 車いすの母親は脳梗塞後遺症で失語症があり、誤嚥性肺炎を繰り返すことから、胃ろう栄養管理をしています。その日は、数か月に一度必要なカテーテルの交換のための来院でした。

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 筆者には訪問看護ステーション所長の経験があります。そのため、訪問看護ステーションの安定的な運営と訪問看護の質の向上に常に関心を持ち続けています。特に質の向上の1つとしての訪問看護の役割拡大に関し、在宅でこそ必要とされる特定行為の実践の現状を知りたいと思っていました。そのような中、訪問看護ステーションに所属する特定行為研修修了者7名(表1)に、日頃の実践についてインタビューする機会を得ました。

 特定行為研修修了者の数は現時点で、国が想定する数に到底及んでいません。その要因として「研修を受講したくても研修機関が遠い」「研修期間が長い」「代替人員の確保が困難」「必要性を感じない」「特定行為への抵抗感」などが挙がっています。中でも、「特定行為への抵抗感」には、「本来の看護ケアの質が低下するのではないか」「特定行為の普及により本来の看護師の役割から外れるのでは」という危惧がありました。しかしインタビューから、それらは杞憂であり、実践しての手応えが多く聞かれました。

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緒言

 高齢者の地域におけるリハビリテーションの課題として、訓練そのものが目的化し、機能訓練が漫然と実施されており、目標と期間を定めた計画に基づく適時・適切なリハビリテーションが提供されていないことが指摘されている1。そのため、個人の状態や希望等に基づく適切な目標設定、それに基づいたリハビリテーションの提供が重要とされている1

 また、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)においては、その介入頻度は平均5.3±2.5回/月程度であり2、限られた介入頻度の中で目標を達成するためには、訪問リハスタッフの介入時のみならず、対象者本人が目標達成に向けた自主練習を行うことが重要である。

連載 家でのこと・第9回

コロナの頃 高橋 恵子
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ちょっと、看護師さん

あ、はい

連載 物語で紡いでいく在宅ケア いえラボからの活動便り・3

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 「自分たちの仕事が絵で表現されるのってどんな気持ち?」

 「家でのこと」の原画を眺めているココシリワーカーたちに尋ねてみました。この日、展示されていたのは、第2回の「土管の家」。雨に濡れる空き地や訪問先の家の様子がとてもリアルです。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・132

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 今年の誕生日を迎えたその日、「実は昨年出版されたのですが、なかなか皆さんに読んでいただけていない」とのつぶやきとともに、一冊の書籍が私の手元にやってきました。『日野原先生から看護をこころざす人に贈る35のメッセージ』(日本看護協会出版会、2019)と題された、B6判変形のかわいらしいイラスト入りの本です。

 編集に「徳永惠子」というお名前がありました。

連載 地域連携の技術 ファシリテーション・スキル・第9回

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 一度は落ち着いていた新型コロナ感染症が東京ではまた増えてきたようです。皆さんの体調や仕事はいかがでしょうか? 嫌なことですが、これからはコロナウイルスと共存しながら社会活動を送る必要があるようです。それでは今週も始めていきましょう。

 皆さんもさまざまな場面で会議に参加していることでしょう。会議に参加すると、いろいろな困りごとに遭遇していると思います。この困りごとに対して、ファシリテーション・スキルの観点からは何ができるのか、アドバイスをしてみたいと思います。

連載 「みんなの認知症見立て塾」出張講義 認知症「見立て」の知「対応」の技・第6回

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 第4〜5回では、認知機能障害の評価の仕方についてお伝えしました。本人の認知機能障害の程度と、本人を取り巻く環境が要因となって生活障害(第3回で解説)が出現していれば、「その人は認知症の状態にある」と判断します。ただし、ここで認知症の状態であると判断するためには、改善可能な認知機能障害である可能性がきちんと除外されている必要があります。

 今回は除外すべき「せん妄」について、その知識と見極め方、また改善方法についてお伝えします。

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目次

今月の5冊

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次号予告・編集後記 米沢 , 小池
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「人の役に立ちたい気持ち」が持つ底知れぬ力について合点がいったのは、本特集でも萱間先生が紹介する「ストレングスモデル」を知ったときでした。ストレングスというのは強弱における強みのことではなく“本人の気持ちが向かう先としての希望”である、と。精神科の取材時には、なぜかいつも患者さんから「頑張ってね」「大丈夫だよ」と応援されたのですが、それは私が心配だという上から目線ではなく(頼りなさそうだったのは事実かも!)、「人を元気づけたい」「役に立ちたい」気持ちだったのかもしれないなと感じたのでした。精神科の特集、また企画したいです!……米沢

今回はGAF尺度特集。奥深さを感じ、面白い〜となりました。そんな本企画のきっかけは、今年3月末ころの小瀬古伸幸さんのTwitterでのつぶやきでした。普段はだらだら〜っとタイムラインを眺めているだけですが、時にぐっと胸ぐらをつかんでくるようなつぶやきと出会うことがあります(それこそ、企画化に走ってしまうくらい)。そういうところがSNSの楽しさですよね。なお、『訪問看護と介護』編集室もTwitter、Facebookを密かにやっていますよ(アカウントは下記参照)。皆さんの胸ぐらをつかむようなつぶやきを投じますので、ぜひフォローをお願いします。……小池

基本情報

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訪問看護と介護
25巻9号 (2020年9月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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