耳鼻咽喉科・頭頸部外科 90巻9号 (2018年8月)

特集 知っておきたい顎顔面形成外科の知識

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POINT

●外鼻変形の治療には鼻の外表評価が重要である。

●鼻骨変形治癒の治療は,骨性外鼻と軟骨性外鼻に分けて検討する。

●軟骨性外鼻の修正では,位置異常のある軟骨を剝離して解剖学的な位置に縫合する。

●骨性外鼻の修正では,陥凹部への組織移植や突出部の削骨,削軟骨や骨切り術を行う。

●骨切り術は鼻の骨格強度を低下させる可能性があることを念頭に置く。

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POINT

●術後の瘢痕が最小限になるようなアプローチ法を選択する。

●顔面骨には梁構造(buttress)があり,buttressを再建するように整復固定を行う。

●整復材料にはチタンプレート,吸収性プレートがあり,症例によって使い分ける。

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POINT

●わずかな脂肪脱出を伴うconnective tissue septaの牽引でも,複視を生じる。

●ESS術後に眼球運動時痛がある場合は,医原性眼窩損傷の可能性を常に留意する。

●受傷そのものの重症度より,修復術開始までの時間が短ければより予後がよいため,いたずらに経過観察することなく,即座に修復術を検討することが望まれる。

●医原性眼窩損傷はESSに習熟している医師こそ,起こしやすい。

《先天性形態異常》

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POINT

●口唇口蓋裂は最も頻度の高い先天性外表奇形の1つであり,変形に伴う整容的・機能的障害に対して,成長に合わせて段階的な手術治療が行われる。

●口唇裂手術の主な目的は整容の改善である。短縮した口唇を延長して左右対称で自然な外観を得るために種々の術式が考案されている。

●口蓋裂手術の主な目的は鼻咽腔閉鎖機能の獲得である。口蓋の長さを延長し,軟口蓋において左右に断裂した筋束を確実に再建することで機能予後が改善する。

●口唇口蓋裂の治療においては,形成外科をはじめ,歯科・口腔外科,耳鼻咽喉科,小児科など複数の診療部門がかかわる集学的治療が必須であり,患者の成長が完了するまで継続的に行われる。

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POINT

●日常よくみられる外耳の軽度な形態異常として,副耳,耳瘻孔,耳垂裂,埋没耳などが挙げられる。

●軟骨の変形を伴う中等度の変形としては,立ち耳,Stahl耳,折れ耳,絞扼耳などが挙げられる。

●高度の変形としては小耳症が挙げられ,その多くは外耳道閉鎖を伴い高度の伝音難聴を呈する。

●小耳症の手術は肋軟骨移植術と耳介挙上術の二段階手術法が一般的で,症例によっては外耳道形成術の適応もある。

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POINT

●頭頸部において,メラニン色素の偏在や構造の不均一は治療の対象となる。

●シミは複数の疾患の総称で,同じ治療を行っても疾患により結果が大きく異なるため,しっかりした診断とそれに合った治療法の選択が重要である。

●しわの治療はその原因を判断し,しわの種類にあった治療を選択するのが患者満足度を上げる。

●ホクロや小腫瘤の治療は,診断とそれに合った治療法の選択が必要で,疾患によっては専門科に委ねることも考慮する。

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POINT

●皮膚縫合を行う前に,デザイン,マーキング,切開,皮下剝離などの準備を行う。

●赤唇と白唇の境界,眼瞼縁や眉毛のずれは少しでも目立つので,細心の注意を払って合わせる。

●顔面皮膚縫合に適した器具と針糸を用意・選択する。

●顔面皮膚縫合においては層同士を正確に密着させ,創縁を少し外反させるが,盛り上げてはいけない。

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POINT

●眼瞼下垂になると生活の質が低下し,不定愁訴の原因となる。

●後天性眼瞼下垂では加齢やコンタクトレンズの装用による腱膜性眼瞼下垂が多く,眼瞼挙筋腱膜を修復する手術で改善する。

●弛緩した皮膚が瞳孔に被さる偽性下垂も多く,皮膚切除および重瞼形成術により改善する。

●病態がさまざまであり,重症例を見逃さないように診断し,患者の状態に合わせた術式選択が必要である。

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POINT

●顔面神経麻痺の再建術は,麻痺の程度や部位,発症からの期間,患者の年齢や希望によりさまざまな選択肢がある。

●発症から半年〜2年以内であれば,咬筋神経への神経移行術が有用である。

●眉毛下垂に対する眉毛挙上術,下眼瞼外反変形に対するKuhnt-Szymanowski法は,眼瞼周囲の変形を改善する簡便な再建術である。

●口角麻痺には,muscle bow traction法やtemporalis tendon transposition法といった筋膜移植術,広背筋移植による動的再建術が有用である。

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POINT

●顎関節疾患=顎関節症ではない。顎関節症とは顎関節や咀嚼筋の疼痛,関節(雑)音,開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする障害の包括的診断名であるが,顎関節に関連する疾患の総称ではない。

●顎関節に対する外科手術の適応症は限られているが,顎関節強直症,関節円板の穿孔や断裂,習慣性顎関節脱臼などや,顎関節の腫瘍性疾患または腫瘍類似疾患(滑膜軟骨腫症など)を対象に行われることが多い。

●顔面神経側頭枝は下顎頭外側付近を走行していることが多いことから,顎関節の手術においては注意が必要である。

●顔面神経の損傷を避けるため耳前部切開,または耳前・側頭切開が基本となる。審美性を考慮して耳前切開を応用する場合もある。

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POINT

●閉塞性睡眠時無呼吸障害(症):OSAの外科的治療戦略を検討していくうえでは,病因・病態学的な4因子である,①解剖学的上気道狭小化,②呼吸調節系の不安定性,③上気道代償性の低下,④低い覚醒閾値,を適切に評価し,また年齢なども考慮する必要がある。

●上下顎前方移動術(MMA)は,OSAの原因が顎顔面形態,特に小下顎症にある場合の根本的な治療となる可能性をもつ。

●MMAの施行にあたって,OSA患者はもともと睡眠障害があることに加え,肥満や循環器疾患などの全身的リスクを抱えていることが多いことなどから,周術期管理には注意を要する。

●日本人は頭蓋顎顔面の前後径が短いため,MMAを応用するには,顔貌の調和を考慮して施行すべきである。

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はじめに

 軟硬口蓋の小唾液腺腫瘍摘出術では,鼻咽腔側に軟組織が保存できると二次的治癒(secondary intention)1)が期待できることから,欠損を修復せずに手術を終了することが一般的である。ほとんどの症例は合併症なく治癒するが,時に鼻咽腔口腔間瘻孔や鼻咽腔閉鎖不全などの合併症を生じることがあり,その後患者側・治療者側はともに新たな負担を強いられる2,3)。筆者らは,鼻咽腔側に軟組織を保存できた症例であっても,合併症の発生が懸念される場合には,口蓋局所の粘骨膜弁による即時再建を行っている。今回,上記を施行した2症例について考察を加えて報告する。

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あとがき 鴻 信義
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 夏本番,皆様いかがお過ごしでしょうか?

 日本の夏は暑い! ムシムシ,ジメジメ,ちょっと歩けば汗ダラダラ……。でも,2年後のちょうど今頃は東京オリンピックが開催されているのですね。屋内競技はいいとして,屋外競技に参加されるアスリートの方たち,炎天下での競技はさぞかし大変だと思います。自分はこの時期,エアコンがガンガンに効いた部屋で冷た〜いドリンクを飲みながらテレビでスポーツ観戦派です。何を見るかって? それはもう高校野球,夏の甲子園で決まりです! もはやわが家の子供たちよりも年下の選手たちが,仲間を信じて力を合わせ,いつでも全力疾走でグラウンド上を躍動して。猛練習を積み重ねてつかみ取った晴れの舞台では,勝っても涙,負けても涙。そのひたむきさや清々しい姿にいつも心を洗われます。多分,自分自身の普段の生活に一番欠けているところなのだろうと思います。今年もとっくに折り返し地点を過ぎていますが,年頭に立てた目標なぞ,まだほとんど達成できていない。よ〜し,ここからまた頑張るぞ。いざ,プレーボール!

基本情報

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耳鼻咽喉科・頭頸部外科
90巻9号 (2018年8月)
電子版ISSN:1882-1316 印刷版ISSN:0914-3491 医学書院

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