鏡下咡語
沖縄における人工内耳—風疹児問題を起点として
野田 寛
1
1琉球大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.700-701
発行日 1992年9月20日
Published Date 1992/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900594
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当「鏡下囁語」欄に過去2回に亘り「沖縄の医療の現況」—琉球大学耳鼻咽喉科の現状を中心に—(昭和53年10月),そして—日本復帰10年を経過して—(昭和57年6月)について書かせて載き,昭和47年5月15日に日本復帰した沖縄の医療のその後について記してきましたが,今回,ちょうど日本復帰20年を迎えるこの時期に執筆推薦を戴き,従来通りにその経緯にしようかとも考えましたが,もはやそれ程取り立てて書くべき状況もありませんので,ここで沖縄の耳鼻咽喉科医が永い間その課題として持ち続けて来た風疹児問題について書かせて戴くことにしました。
沖縄でいう風疹児とは,ある年代以上の耳鼻咽喉科医の方々はよく御承知のことで,またこの対策に力を尽された方が多数おられるわけですが,沖縄の米軍統治下の昭和40年に琉球列島に風疹の大流行があり,これに罹患した妊婦より約400名の先天性風疹症候群の聾児が出生しました。
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