JOHNS 38巻11号 (2022年11月発行)

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特集　重症化に注意！口腔・咽頭・喉頭の急性感染症

序　口腔・咽頭・喉頭の急性感染症菊地　茂 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1415-1415

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　口腔・咽頭・喉頭の急性感染症としては，カンジダ症，ヘルペス，ムンプス，急性化膿性耳下腺炎，口腔・咽頭の梅毒，結核，急性咽頭扁桃炎，伝染性単核球症，咽後膿瘍，下咽頭梨状陥凹瘻，急性喉頭炎，急性喉頭蓋炎，急性声門下喉頭炎，深頸部感染症，等々枚挙に遑がありません。

総論

感染症原発部位の構造と病態―歯牙，口蓋扁桃，喉頭蓋近傍の構造― 渡辺　哲生 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1417-1420

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はじめに

　本稿では歯性感染症，扁桃周囲膿瘍，反復性扁桃炎，急性喉頭蓋炎に関連する歯牙（歯周組織），口蓋扁桃，喉頭蓋の構造と病態について述べる。

口腔・咽頭・喉頭の感染と炎症の波及ルート青井　典明 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1421-1425

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はじめに

　口腔・咽頭・喉頭の急性感染症は適切に治療を行わないと，深頸部感染症，膿瘍を生じる。これらは頸部の間隙に沿って進展し，進行すると気道狭窄，縦隔炎，敗血症，大血管破裂などの重篤な合併症を生じることとなる。膿瘍の診断，排膿処置を実施する場合にはその進展ルートである間隙を理解する必要がある。

重症化に対応した緊急処置椋代　茂之 , 平野　滋 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1427-1430

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はじめに

　口腔・咽頭・喉頭領域の急性感染症に対する治療の基本は，起炎菌に応じた適切な抗菌薬の投与である。しかし，抗菌薬が発達した現在でも，免疫不全などの患者側の背景や薬剤耐性菌の増加により，治療が奏功せずに重症化・難治化する症例を経験する。重症化して膿瘍を形成すれば外科的排膿が必要となるし，深頸部感染症に進展すれば気道狭窄，降下性壊死性縦隔炎，敗血症，壊死性筋膜炎などの重篤な合併症を併発しうるため，それぞれの病態に応じて迅速に対応しなければならない。

扁桃周囲膿瘍

扁桃周囲膿瘍の病態と分類大堀　純一郎 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1431-1434

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はじめに

　扁桃周囲膿瘍は，口蓋扁桃被膜と咽頭収縮筋の間に膿汁が貯留する状態と定義される。扁桃周囲膿瘍は耳鼻咽喉科医として日常診療でよく遭遇する疾患であり，抗菌薬や，排膿による治療に対する反応も良好である。一方，その病態については議論の余地がある。

扁桃周囲膿瘍の起炎菌と抗菌薬の選択矢野　寿一 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1435-1437

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はじめに

　これまで多くの系統・種類の抗菌薬が開発され，次々と臨床応用されてきた。臨床応用された抗菌薬は感染症治療に効果を発揮し，われわれはその恩恵を受けている。一方で，これら抗菌薬の使用と共に，質的に変異した種々の耐性菌が出現したことも事実である。交通機関の発達などに伴い，各種耐性菌も世界規模で急速な拡散がみられ，社会的に重大な問題となっている。このような経緯から，本邦では2016年に “薬剤耐性アクションプラン” が採択され，耐性菌問題は医療現場のみならず，国を挙げて取り組むべき重要課題として取り上げられた。

扁桃周囲膿瘍に対する穿刺・切開法倉田　耀介 , 吉岡　哲志 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1438-1440

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はじめに

　日常診療において，扁桃周囲膿瘍は遭遇する頻度の高い疾患の1つである。同疾患に対する治療は抗菌薬等の内科的治療と切開・穿刺排膿の外科的治療に大きく分けられる。膿瘍腔が比較的小さいものなどは抗菌薬による内科的治療により改善が見込める場合もある^1）が，膿瘍腔が大きいものや急速な経過をたどっているもの，あるいは先行する保存的治療が無効な場合には外科的処置が必要となる場合が多い^1）。適切な外科的処置により深頸部膿瘍や縦隔膿瘍といった，より重篤な状況への移行を防ぎうることを理解し，遅滞なく処置を行うことが肝要である^1～4）。なお外科的処置は患者にとっては苦痛を伴う処置でもあり，その内容とともに必要性，重要性についても適切に患者に説明できる必要がある。

下極型扁桃周囲膿瘍への対応丸山　裕美子 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1441-1444

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はじめに

　扁桃周囲膿瘍は膿瘍の局在部位により，膿瘍が冠状断CTで口蓋垂先端より頭側に位置する上極型と，尾側に位置する下極型に分類され，両者にまたがる場合は膿瘍の中心が位置する部位によって分類される^1～3）。上極型は膿瘍の好発部位で単発性が多く，理学的所見からも診断が比較的容易で喉頭浮腫を伴わない場合が多いが，下極型は比較的高齢者に多く，中咽頭所見のみでは診断し難く，喉頭浮腫や周囲頸部間隙への炎症の波及を伴うことが多いため，気道管理に留意しつつ確実かつ十分な排膿が必要であるものの，実際には切開排膿が困難で出血の危険性も高いとされている^1～3）（表1）。

急性喉頭蓋炎

急性喉頭蓋炎の病期分類田中　是 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1445-1447

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はじめに

　急性喉頭蓋炎は急速に気道閉塞を引き起こす可能性のある感染症であると同時に，日常診療において遭遇する機会が少なくない疾患でもある。軟性喉頭ファイバースコープが診療で日常的に使用されるようになり，容易に，かつ詳細に喉頭の観察が可能となったため，急性喉頭蓋炎の評価を後方視的に検討した病期分類（重症度分類）が多くの諸先生方によって提唱されてきた。今回すべてを網羅するわけではないが代表的な急性喉頭蓋炎の病期分類（重症度分類）について述べる。各分類の詳細に関しては参考文献を参照いただきたい。

急性喉頭蓋炎の薬物療法東海林　史 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1449-1452

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はじめに

　急性喉頭蓋炎は喉頭蓋および周囲組織の蜂窩織炎で，軽症から中等症・重症までさまざまな炎症の程度がある。劇症型では急速に進行し窒息にいたることもある。危険な兆候を察知し速やかに診察・診断を行い，重症度に応じた治療を遅滞なく開始する必要がある。

急性喉頭蓋炎における気道確保の適応と方法桑島　秀 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1453-1455

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はじめに

　急性喉頭蓋炎は気道狭窄を伴う救急疾患であり，迅速かつ適切な気道確保を行わなければ窒息死に至ることもある。一般的に気道確保として気管内挿管や気管切開が行われるが，すべての症例に対して気道確保をするわけにはいかず，どのような症例に気道確保を行うかの判断は必ずしも容易ではない^1）。

小児の急性喉頭蓋炎有本　友季子 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1457-1460

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はじめに

　急性喉頭蓋炎は，上気道の細菌感染により喉頭蓋およびその周辺の喉頭に蜂窩織炎を生じた状態で喉頭蓋に急性化膿性炎症を生じ喉頭蓋腫脹を呈す。急性喉頭蓋炎は，インフルエンザ菌b型Haemophilus influenzae type b（Hib）の感染に起因した発症が多く，小児の好発年齢は5歳未満であることが知られてきた^1）。本邦では，Hibワクチンが2013年に定期接種になり普及し，2014年以降は小児のHib感染症は激減し，急性喉頭蓋炎の小児症例に遭遇することは稀となった^1,2）。しかしながら，急性喉頭蓋炎は急激に進行し呼吸困難を引き起こして致死的となりうる疾患であり，乳幼児の重症な気道感染症の1つとして常に念頭におく必要がある。また気道感染症によるもの以外でも喉頭蓋に浮腫を生じ喉頭蓋腫脹を呈し，急性喉頭蓋炎に準じた迅速な気道確保等の対応が必要となる疾患もある。急性喉頭蓋炎について周知しておくことは，耳鼻咽喉科診療を行う上で重要であり概説する。

深頸部感染症

深頸部感染症の重症化に関与する因子―医療大規模データを用いた検証― 阪上　智史 , 日高　浩史 , 岩井　大 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1461-1465

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はじめに

　深頸部感染症は降下性縦隔炎を合併し，致死的となることがある^1～3）。また，たとえ切開排膿術を含めた治療が奏功し，全身状態が改善しても経口摂取が遅延することがある^3,4）。近年，胸腔鏡での排膿術を併用することで，壊死性降下性縦隔炎の生存率が向上していると予想され，さらに周術期管理の医療レベルの向上もこれに寄与している可能性がある。一方，組織の瘢痕などで嚥下障害を合併し，経口摂取が可能となるまでの期間が遅延するリスクを踏まえた治療プランニングが必要と考えられる^2～4）。

深頸部感染症の画像診断山内　英臣 , 尾尻　博也 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1467-1472

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はじめに

　深頸部感染症は筋膜で区分される頸部の組織間隙に炎症が波及する疾患である。頸部間隙内のリンパ節炎や蜂巣炎が悪化・進行して膿瘍を形成し，筋膜・間隙解剖に従って進展する。頸部の組織間隙は炎症の進展経路となり，評価には間隙に関する画像解剖の理解が必要とされる。画像評価の主な役割は蜂巣炎と膿瘍の区別，さらに，炎症の広がりや合併症の確認である。本稿では，画像検査の選択，間隙に関する画像解剖，代表的な炎症性疾患の画像所見とその進展，合併症について，CTを中心に解説する。

深頸部感染症の起炎菌と抗菌薬の選択鈴木　賢二 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1473-1476

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はじめに

　深頸部感染症とは，齲歯，扁桃周囲炎，急性咽喉頭炎などの感染巣や食道・気管の損傷あるいは皮膚感染症，耳感染症などから，宿主の糖尿病などの基礎疾患あるいは免疫能低下または不適切な治療などの種々の要因により，深頸部に炎症が波及し，蜂窩識炎または膿瘍を形成したものである。

深頸部感染症における切開・排膿の適応と方法田中　久一郎 , 深堀　光緒子 , 千年　俊一 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1477-1481

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はじめに

　深頸部感染症は頸部の筋膜に囲まれた間隙に生じた感染症の総称で，リンパ節炎，蜂巣炎，膿瘍が含まれる^1）。保存的治療で軽快する場合もあるが，膿瘍を形成すると気道狭窄，敗血症，降下性壊死性縦隔炎，静脈血栓症や大血管破裂などの重篤な合併症を引き起こし致死的な状況となり得る。また，切開・排膿のタイミングを逸すると病態が急速に悪化することもあり，外科的治療の適応と方法について理解しておく必要がある。

深頸部感染症の合併症とその対応　気道狭窄山田　弘之 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1483-1485

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はじめに

　CTによる感染領域・範囲の特定が容易になり，また適正な抗菌薬投与や迅速な外科的処置が浸透してきた現在，深頸部感染症が致死的になることは稀となった感はある。したがって深頸部感染症の予後を左右するのは気道狭窄の有無，そしてその対応の適否によるとも言える^1）。しかしながら現状では，気道確保の要否，要と判断した場合の挿管・気管切開の選択は，各施設や医師の判断に委ねられているのが実情である。

深頸部感染症の合併症とその対応　縦隔炎木村　朱里 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1487-1490

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はじめに

　降下性壊死性縦隔炎（descending necrotizing mediastinitis：DNM）は深頸部感染症が頸部筋膜間隙に沿って縦隔まで波及した状態であり，1938年にPearseが初めて病態を報告し^1），1983年にEstreraらによって名称を提唱された^2）。1980～1990年代には致死率は30～40％とされていたが，21世紀以降は抗菌薬の発達や適切な集中治療室（intensive care unit：ICU）での管理により10～20％と減少している^1～4）。深頸部感染症初診時には重篤な症状を認めない場合もあるが，いったんDNMに至ると縦隔ドレナージや長期の入院治療を要する。耳鼻咽喉科医として早期の診断，迅速な対応が必要となる疾患である。

深頸部感染症の合併症とその対応　敗血症平岡　政信 , 保富　宗城 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1491-1495

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敗血症の診断

　The Third International Consensus Definitions for Sepsis and Septic Shock（Sepsis-3，2016）^1）および，J-SSCG2020^2）によると，敗血症とは主に細菌「感染症によって重篤な臓器不全が引き起こされる状態」であり，SOFA〔sequential（sepsis-related）organ failure assessment〕スコア2点以上の急上昇で敗血症と確定診断とされる（表1）。

深頸部感染症の合併症とその対応　壊死性筋膜炎石川　知慧 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1496-1498

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はじめに

　壊死性筋膜炎は，浅層筋膜を細菌感染の主座として，急激に壊死が進行する重症軟部組織感染症であり^1），進行すると敗血症や呼吸不全を引き起こし，最悪の場合死亡することもある重篤な疾患である。発症部位は会陰・陰囊・臀部に多く，頸部壊死性筋膜炎は全壊死性筋膜炎の3～4％と非常にまれではあるが^2），死亡率は19～40％と高く^3），特に壊死が縦隔まで進行すると下降性壊死性縦隔炎を発症し重篤な転帰をとることが報告されている^4）。また中長期的には頸部運動制限や嚥下障害^5）といった合併症を引き起こす。

深頸部感染症の合併症とその対応　嚥下障害平野　愛 , 太田　淳 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1499-1502

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はじめに

　嚥下障害（切開排膿後）は深頸部感染症において高頻度に発生する合併症の1つであり，嚥下障害による経口摂取再開の遅れは急性期治療後に入院が長期化する要因の1つでもある。深頸部感染症では，発症後に21.2～64.7％の症例で嚥下障害，嚥下困難の症状を呈し^1～3），急性期治療後の嚥下機能評価で35.7％に嚥下障害を合併すると報告されている^4）。併存症として糖尿病がある場合には膿瘍腔の範囲が拡大しやすく入院が長期化する傾向があり^5），舌骨を越える膿瘍の進展がある症例，気管切開術が行われている症例では特に嚥下障害のリスクが高いことが報告されている^6）。

連載　古典あれこれ

オージオグラムの周波数単位となったHertz 原　稔 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1504-1507

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はじめに

　外来診療で日常的に使用するHz（ヘルツ）という周波数を示す単位が，N（ニュートン）やPa（パスカル）といった単位と同様に，偉大な科学者の名前が由来であることを知る耳鼻咽喉科医は意外と少ないのではないだろうか。

連載　診療つれづれ

ライフワーク児玉　悟 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1508-1509

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はじめに

　開業医であれ，勤務医であれ，何か情熱をもってうちこめる仕事（趣味）を持ち続けることはセカンドキャリアを豊かにすると思っている。ライフワークといえば，日耳鼻の宿題報告や臨床講演を拝聴するたびに，これぞ演者の先生方のライフワークといえるものを感じ，畏敬の念に打たれる。まったくそこまでの域ではないが，筆者が継続している鼻科手術について，つれづれなるまま（思いつくまま）に書いてみたい。

連載　外来診療に役立つ機器・材料・薬剤

リボンガーゼタイプの創傷被覆・保護材朝戸　裕貴 , 髙田　悟朗 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1510-1511

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はじめに

　創傷治癒過程を妨げる局所的因子として乾燥・機械的外力・感染があげられる。従来の軟膏塗布とガーゼによる処置では乾燥を防ぐため交換の頻度が多く，また交換の際にガーゼが固着してはがすのに機械的刺激を伴う。この点を改良して創の湿潤環境を保つために，さまざまな創傷被覆材が開発されてきた。現在感染を制御する効果をもつ創傷のドレッシング材として種々の製品が販売されている^1）。

連載　わたしの研究歴

手作りから始まり音響鼻腔計測法に至るまで加瀬　康弘 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1513-1515

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はじめに

　すでに研究に邁進している方々に本稿はあまり参考にならないかもしれないが，これから研究に取り掛かろうと模索している若手の先生にはいくらか参考になるかもしれない。少し期待を持たせるような掴みで恐縮であるが，要は「どのような研究環境であっても研究はできる」ということである。

連載　症例をどうみるか

シスプラチン＋5-FU＋セツキシマブ療法開始3年後にt-MDSを発症した1例岡田　隆平 , 長尾　俊景 , 金井　光 , 朝蔭　孝宏 38巻11号 , 2022年11月 , pp.1517-1521

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はじめに

　悪性腫瘍，自己免疫性疾患，臓器移植に対する化学療法や放射線治療の遅発性合併症として治療関連骨髄腫瘍（therapy-related myeloid neoplasm：t-MN）があり，治療関連急性骨髄性白血病（therapy-related acute myeloid leukemia：t-AML），治療関連骨髄異形成症候群（therapy-related myelodysplastic syndrome：t-MDS），治療関連骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍（therapy-related myeloid dysplastic/myeloproliferative neoplasm：t-MDS/MPN）からなる。悪性腫瘍に対する治療が原因であることが大半で，その内訳としては70％が固形癌，30％が血液腫瘍と報告されている^1）。わが国でも頭頸部癌の治療後にt-MDSを発症した報告が少ないながら散見される^2～4）。今回，シスプラチン＋5-FU＋セツキシマブ（PF＋Cmab）療法開始3年後にt-MDSを発症した下咽頭癌患者を経験したので報告する。

基本情報

JOHNS
38巻11号
(2022年11月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0910-6820 東京医学社

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JOHNS 38巻11号 (2022年11月発行)

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