産婦人科の実際 66巻2号 (2017年2月)

既往帝王切開後の合併症

帝王切開について 下屋 浩一郎

癒着胎盤に対する管理法 近藤 英治

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わが国において,がんは2 人に1 人が罹患するも5 年生存率は6 割に達し,がんは「死に直結する病」から「長くつきあう慢性の病」へと変化した。今や,がん治療のゴールは「生存」から「がん治療後も充実した社会生活を送ること」にシフトしてきている。そこで今回,婦人科がん治療後患者の就労状況に着目し,がん治療後の社会復帰における問題点を提起した。

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妊娠および授乳と薬に関する現行の情報源についての産婦人科医師の臨床評価を把握することを目的として,茨城県内の産婦人科医師200 人に対し,アンケート調査を行った。回答のあった79 人のうち89%が「産婦人科診療ガイドライン産科編2014」の妊娠および授乳と薬に関するCQ & A が有用と回答した。また,68%の医師が,過去1 年以内に産婦人科医師以外の医師・歯科医師や薬剤師から妊婦への医薬品使用について相談を受けた経験があった。現行の妊娠・授乳と薬に関する情報源に対して,産婦人科医師の臨床評価はよいと考えられた。一方,産婦人科医師以外の医師などにおけるこれらの情報源の認識率は低く,産婦人科医師へ相談する傾向が強いと考えられた。

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骨粗鬆症の新たな治療薬として2013 年6 月にわが国でデノスマブが発売された。当院で2013 年6 月〜2015 年9 月にデノスマブを開始した27 名の原発性骨粗鬆患者の骨代謝マーカー,骨密度,血清Ca 値の変動について検討した。骨吸収マーカーTRACP-5b は治療開始3 カ月後に78.1%減少し,その後も抑制が持続した。骨形成マーカーP1NP も3 カ月後に74.9%減少し,その後も抑制が持続した。血清Ca 濃度は1 週後と3 カ月後に減少傾向ではあったが,問題となる低Ca 血症は認めなかった。治療開始24 カ月後の骨密度上昇率は腰椎6.6%,大腿骨頸部3.5%,大腿骨近位部3.1%だった。これらの結果は国内外の臨床試験の結果と同様であった。またビスフォスフォネートやテリパラチドの治療歴がある症例においても,デノスマブはさらなる治療効果を認めた。

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子宮頸部円錐切除術(円錐切除)は,子宮頸部上皮内病変(CIN)の標準治療として広く行われている。円錐切除による周産期合併症の増加が知られているが,十分に検討した報告は少ない。われわれは円錐切除を施行された40 歳以下のCIN 患者を対象に,妊娠率や周産期予後を後方視的に検討した。当院での円錐切除後の早産や低出生体重児の頻度は日本におけるそれらと同程度であり,顕著な増加を認めなかった。妊娠中の積極的な切迫早産治療や,円錐切除範囲の縮小により周産期合併症の増加を防ぎうる可能性が示唆された。

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正期産分娩時に子癇または脳卒中を発症した症例は,陣痛発来までは妊娠高血圧症候群症状を認めないことが多かった。分娩時発症型高血圧症例に対しても,妊娠高血圧腎症と同様に厳重な分娩管理が必要である。

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腫瘍崩壊症候群(TLS)は化学療法に感受性の高い造血器腫瘍で発症しやすく,高尿酸血症や高カリウム血症および急性腎不全などを引き起こす致死的な病態である。固形がんでも発症することがあるが,その頻度は稀である。また妊娠中のTLS の発症も現在まで2 例の報告しかなく,いずれも造血器腫瘍であった。今回,妊娠中の固形がんによりTLS を発症した非常に稀な症例を経験した。TLS は予防が重要であるが,万一発症した場合には迅速な診断および治療が,その後の予後を左右するポイントとなる。

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34 歳の経産婦。妊娠37 週4 日,突然の右胸痛が出現し当院に救急搬送された。胸部X 線にて右緊張性気胸の状態であった。胸腔ドレナージを開始したが気漏が継続するため,妊娠38週5 日,分娩誘発を行い自然分娩にて児を娩出。産褥も気漏は継続し,胸部CT にて右肺尖部にブラが認められたため,産褥7 日目に胸腔鏡下右肺ブラ切除術を施行した。現在まで気胸の再発なく経過している。妊娠経過中に胸痛・呼吸困難を訴えた場合には気胸の可能性を考えるべきであり,分娩時期や分娩様式,手術療法の時期を症例ごとに慎重に検討する必要がある。

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産婦人科の実際
66巻2号 (2017年2月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0558-4728 金原出版

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