症例
若年妊産婦の経腟分娩後に発症した卵巣静脈血栓性静脈炎の1例
田島 優衣
1
,
井上 裕美
1
Y. Tajima
1
,
H. Inoue
1
1湘南鎌倉総合病院産婦人科
pp.876-880
発行日 2024年8月1日
Published Date 2024/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003065
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産褥期(または産後)卵巣静脈血栓性静脈炎(POVT)は産後の敗血症性骨盤内血栓性静脈炎(SPT)の卵巣静脈に生じた病態を意味しており,全出産の0.05~0.18%に発症するまれな周産期合併症である。比較的予後良好な疾患であるが,敗血症や肺塞栓症に進展した場合,その死亡率は4~5%と報告されている。POVTのリスクは帝王切開や絨毛膜羊膜炎が挙げられ,発症は産後48時間以内に最も多いとされている。診断には造影CT検査が有用である。産褥早期に発熱,下腹部痛を認め,解熱鎮痛薬や抗菌薬によっても改善しない場合は同疾患を念頭におき,造影CT検査を行うことが肝要である。
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