症例
シートベルト損傷によると考えられる子宮損傷により大量腹腔内出血をきたした妊婦の1例
兼森 美帆
1
,
野田 清史
2
M. Kanemori
1
,
K. Noda
2
1岡山済生会総合病院産婦人科
2岩国医療センター産婦人科
pp.451-454
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000000410
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妊娠中の交通外傷は,常位胎盤早期剝離や子宮破裂などの重篤な疾患を引き起こす可能性がある。今回われわれは妊婦がシートベルトを着用していたにもかかわらず,交通外傷による子宮損傷に至った症例を経験した。症例は25歳,妊娠33週の初妊婦。交通事故のため当院搬送となった。腹部に打撲痕は認めなかったが腹痛あり,胸骨に打撲痕を認めた。胎児徐脈を認めたため,超緊急帝王切開術を施行した。消化管などには損傷を認めず,子宮前壁および後壁に漿膜から2分の1に至る筋層の断裂を認めた。本症例は子宮損傷がシートベルト損傷によって起こったと考えられる。妊婦の交通外傷においては,腹腔内出血の検索および児の評価が重要である。
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