特集 いま改めて妊娠高血圧症候群を考える―診療指針改訂のポイントから―
4.妊娠高血圧腎症の管理
近藤 英治
1
E. Kondo
1
1熊本大学大学院生命科学研究部産科婦人科学講座
pp.473-476
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000002138
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妊娠高血圧腎症は母児の健康・生命を脅かす重篤な疾患である。妊娠高血圧腎症の病因は主に胎盤形成不全と潜在的な母体血管内皮障害の2つに大別され,両者が相互に絡み合い発症時期や重症度が決まるという説が有力視されている。しかし妊娠高血圧腎症の病態はいまだ十分には明らかになっておらず,胎盤機能や母体血管内皮機能を再生させる根本治療は開発されていない。産科医が現在できることは,母体の状態を安定させ,最善の妊娠終結時期を決定することであるが,その管理方針についても一定の見解はない。本稿では「妊娠高血圧症候群の診療指針2021」を紐解き,諸外国におけるガイドラインとの比較も交えながら,妊娠中の妊娠高血圧時腎症の管理法について概説する。なお,妊娠終結の決定,分娩および分娩後の管理については他稿に委ねる。
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