臨床整形外科 29巻10号 (1994年10月)

視座

  • 文献概要を表示

 今,我国においては急速に高齢化が進み,高齢者に対する医療の在り方が真剣に討議されつつある.老健施設の増設,在宅ケアの充実などが急眉の課題として取り上げられているが,それに伴う財政問題も重要課題である.整形外科領域における変形性関節症や骨粗鬆症には高い関心が持たれているが,高齢者に対する整形外科医の取り組み方はまだ十分であるとはいえない.

 例えば,高齢者の老化現象はまだ疾患として認識されているように思われる.思春期の男子が声変わりをしたり,女子の乳房が大きくなっても,人々はそれを疾患として治療を試みることはない.それは思春期における第二次性徴の変化は生理的成熟現象であることを知っているからである.然るに,高齢者の変形性関節症や骨粗鬆症にはすぐに治療を試みる.しかし,高齢者に現れるこれらの現象は高齢者の生理的老化現象であり,一過性の疾病ではない.20歳の若者と同様に関節軟骨が厚く,骨密度の高い75歳の老人が居れば,その方がよほど異常である.したがって,高齢者にみられる諸変化を投薬や手術対象とみなすのではなく,むしろ正常な人間として生活できる方法を考えるべきであろう.ただ,高齢者変化には疼痛や痺れなどの不快な症状を随伴するばかりでなく,日常生活機能が低下し,本人ばかりでなく周囲の人々にも負担がかかるから,それらの対策がどうしても必要となる.

  • 文献概要を表示

 抄録:自家腸胚靱帯とLeeds-Keio人工靱帯を組み合わせたcomposite graftにより関節内外のACL再建をし,18カ月以上経過した36例の臨床成績と合併症について検討した(観察率80%).手術時平均年齢24.5歳(15~49),観察期間33.9カ月(18~48)であった.術後成績は,自覚的には大変満足,ほぼ満足が81%,術後のLachman testで軽度陽性以下は58%,N-test陰性は83%であった.KT-2000での30ポンド前方引出し力での患健側差は1.8±6.1mmであり,5mm以上を呈したものは25%であった.術後のMarshall score 43.2±3.8,Tegner activity level 5.3±1.2であった.スポーツ復帰では,受傷前のレベルに復帰したものは31%,制限つき復帰が44%であった.合併症では明らかな再断裂・緩みおよび無菌性関節炎がともに14%にみられた.本法の適応はrevisionなどの自家組織の供給できない例,または復合靱帯損傷など多量の移植腱が必要な場合等にあると考える.

  • 文献概要を表示

 抄録:腰痛が交感神経求心路によって伝達されると考え,慢性腰痛患者20名に交感神経の最下位髄節であるL2神経根のブロックを行った.全例で疼痛部位を含む腰殿部に痛覚鈍麻域が出現し,ブロック側の腰痛が消失または著明に軽減した.痛みの程度を示すvisual analog scale (20点満点)はブロック前平均10.2±4.4から0.9±1.4に減少した.殿部痛を認めた8例では全例痛みが消失した.下腿部痛は7例中1例で消失,1例は軽減し,5例は不変であった.SLR testは陽性の6例全例で不変であった.ブロックの効果持続時間は1.5時間~97日,平均20.8日で,9例で1週間以上,うち6例は1カ月以上であった.以上より腰痛の伝達経路はL2神経根を通る交感神経求心路であると考えられた.またL2神経根ブロックは腰痛の保存療法の1つとして有効であることが示唆された.

  • 文献概要を表示

 抄録:外傷性肩関節前方不安定症は,主として既往歴により,反復性脱臼と亜脱臼に分類されている.今回の目的は二重造影CT関節造影(以下,CTA)により,両者の病態を明らかにすることである.脱臼群は45例46肩,平均年齢は25歳,亜脱臼群は39例41肩,平均年齢は23歳であった.全例に対して,CTAを施行し,関節内病変を検討した.前下方関節上腕靱帯―関節唇複合体の破綻(Bankart lesion)をCTA画像上,関節唇の破綻としてとらえると,脱臼群においては,43例(93%),亜脱臼群では28例(68%)に前下方の関節唇損傷を認め,Bankart lesionの存在が考えられた.亜脱臼群の32%にはBankart lesionは認められなかった.外傷性前方不安定症の治療を考慮する時,脱臼,亜脱臼という現象をとらえるよりも,主病変を明らかにすることが重要であると考えられた.

  • 文献概要を表示

 抄録:分娩麻痺184例を対象に,分娩麻痺発生の危険因子と重症度の予知因子とを検討した.麻痺は上位型97例,全型87例で,その予後はgood 29%,fair 26%,poor 45%であった.平均出生時体重は頭位分娩では4218g,骨盤位分娩では2930 gであった.分娩様式は頭位分娩113例,骨盤位分娩63例,帝王切開1例で,頭位分娩中に鉗子分娩10例,吸引分娩38例が含まれていた.合併症に仮死81例,筋性斜頚31例,横隔神経麻痺17例,ホルネル症候群16例,鎖骨骨折15例,上腕骨骨折7例,肩関節脱臼2例があった.

 分娩麻痺発生の危険因子と重症度の予知因子とは必ずしも一致せず,発生の危険因子としては高出生時体重,異常分娩(骨盤位分娩,鉗子分娩,吸引分娩)が,重症度の予知因子としては高出生時体重,横隔神経麻痺,ホルネル症候群,上腕骨骨折,肩関節脱臼があげられた.

  • 文献概要を表示

 抄録:CR-DEXAは,富士写真フィルム株式会社により開発された新しい骨塩定量法である.原理はDEXAと同じであるが,X線画像診断に用いられているCR (computed radiography)を利用するため撮影時間が短い(約5秒)のが特徴である.まず屍体踵骨を用いてCR-DEXAとDEXA (機種LUNAR社DPX (L&alpha))の測定精度を調べると,変動係数(CV%)はCR-DEXA:0.94%,DEXA:0.57%であり,どちらも1%以下の高い再現性を示した.次にボランティアの31例31踵骨を対象として比較試験を行ったところ,この両者に強い正の相関関係を認めた(回帰直線y=1.048×-0.081(y:DEXAにおける骨塩量,x:CR-DEXAにおける骨塩量),相関係数r=0.96,危険率P<0.0001).以上より,CR-DEXAは正確性や再現性の点でDEXAと差がないといえる.CR-DEXAは今後骨粗鬆症の診断や治療効果判定に簡便で有効な方法となると予想される.

  • 文献概要を表示

 抄録:環軸関節亜脱臼に対してtransarticular screw fixation (Magerl法)による環軸関節固定術を行い,外固定の簡略化,早期離床,高い骨癒合率を達成できた.

 症例は男性3例,女性4例で,平均年齢は57.5歳である.慢性関節リウマチ3例,歯突起偽関節2例,外傷性亜脱臼,歯突起肥大を伴う亜脱臼が各々1例であった.transarticular screwは6例でcannulatedscrewを用い,1例のみcancellous screwを使用した.後方固定は4例でHalifax interlaminar clampを行い,2例でGallie法を1例でBrooks法を施行した.手術時間は平均3時間42分で,術中出血量は平均230mlだった.術後約1週で頚椎カラー装着にて起立歩行を許可し,4~5カ月間頚椎カラーを装着させた.追跡期間は平均19.3カ月で,全例で骨癒合を得た.screwのゆるみや折損はなかった.

  • 文献概要を表示

 抄録:特発性側弯症8例にCD pedicular screwによる三次元的矯正を行い,従来の方法では達成できなかった高い矯正率が得られた.側弯変形は術前65゜~86゜(平均71゜)が,術後4゜~33゜(平均19゜)となり,矯正率は62~94%(平均75%)であった.頂椎の回旋変形は術前平均25゜から15゜に41%,体幹の回旋変形は平均48゜から26゜に47%矯正され,従来のCD hook法の矯正率の約2倍であった.手術時間は平均6.2時間,平均出血量は1719mlで,全例自己血輸血のみで対応できた.下端のscrewからのrodの逸脱が1例,術後肩のバランス不良のため再手術により固定範囲を延長したものが1例あったが,神経合併症や矯正損失もなく全例に骨癒合が得られた.CD pedicular screw法は多少改善を要する点はあるが安全でかなり有用な術式と思われる.

整形外科を育てた人達 第130回

Robert Guy Pulvertaft(1907-1986) 天児 民和
  • 文献概要を表示

 英国の整形外科はRobert Jonesが導入したが,その中に手の外科を発展させたのはGuy Pulvertaftであると思う.彼は1907年に英国のCorkで生まれた.教育はCorkのGrammar Schoolから始まり,Weymouth Collegeを経てCambridge大学に入学した.医学の勉強はSt. Thomas病院から始まり,外科医になるつもりでNorwichで外科を開始した.その後,Oswestryに移り,ここで当時英国の有力な外科医であったNaughton Dunn,Hendry,A. 0. Parker,さらにknightに同時になったHarry PlattとHenry Osmond-Clarkeに会うことが出来た.この後,LiverpoolでWatson-Jonesの門下に入り,Grimsbyの整形外科指導医になった.

 Grimsbyは漁師の活躍した港で,船が魚を捕獲して帰港すると漁師の妻がきて魚の内臓を除去していた.この時に漁師の妻たちは自分の手の屈曲筋腱を切断することが多かったが,その手術が旨く出来ないために指を切断していた.Pulvertaftはこの指の切断に対して腱の移植を開始したが,その頃に手の外科で今は有名なBunnellが来て,Pulvertaftの手術を見学して手術の成績が自分のより優れているのを知り,英国人の指の方が米国人より器用だと思った.

整形外科英語ア・ラ・カルト・26

  • 文献概要を表示

●Röntgen (レントキン)

 これは1895年11月8日に,有名なX線を発見したドイツの物理学者レントゲン(Wilhelm Konrad Rönt―gen 1845-1923)のことである.また“Röntgenは,X線やγ線の量を計る国際単位の名前として用いられ,通常”R"と省略されている.

 このX線は,1898年キュリー夫妻の発見したラジウムとともに,19世紀末を飾る大発見であり,自然科学界の2大発見とも言われている.

基礎知識/知つてるつもり

  • 文献概要を表示

【歴史的背景】

 DeLormeの荷重を増加していく抵抗漸増運動2)は有名であるが,それとは別の概念として,1958年Hal―lebrandtは,運動スピードを増加していけば筋のwork capacityを効果的に高めることができることを報告した3).この理論は,1965年から1967年にかけてNew York大学のRush研究所でLowmanらにより研究されたIsokinetic machineの開発により具体的に実証できるようになった4).本邦へは1969年に大井らにより導入された6)

  • 文献概要を表示

 抄録:当施設で経験した大腿骨頚部疲労骨折は計4例で,男性3例,女性1例,平均年齢24.0歳であった,原因はスポーツが2例,過度の歩行1例,不詳1例,骨折型はcompression typeが3例, transversetypeが1例であった.本症は骨折型により予後が大きく異なるとされており,発症早期に骨折型を含めた確定診断を得ることが重要である.従来,本症の診断ではX線像と骨シンチグラムが主な検査法であったが,今回われわれは1例に発症後14日でMRIを施行した.MRIは骨組織の損傷を浮腫様変化として確認することが可能で,発症早期に確定診断とともに骨折型の鑑別が可能である.MRIは今後本症が疑われる場合早期より実施すべきと思われた.治療は全例保存的に行い,良好な結果が得られた.compres―slon typeは活動性の制限のみで治癒可能であるが,transverse typeは骨癒合まで免荷を含めて慎重な経過観察が必要であると考えている.

  • 文献概要を表示

 抄録:1本の馬尾神経より発生した多発性神経鞘腫を経験したので報告する.患者は45歳,男性.主訴は腰痛,右下肢痛.1991年末頃より腰痛と右膝部痛が出現その後疼痛が増強し,当科受診した.入院時,神経学的に異常はなかったが,MRIにて,腰部硬膜管内に3個の占拠性病変を認めた.術中,1本の馬尾神経に連なる大小8個の腫瘍を認め,馬尾神経とともに摘出した.病理組織所見では定型的な神経鞘腫であった.

 多発性脊髄腫瘍の発生頻度は少なく,全脊髄腫瘍のうち3~4%と報告されている.また,本邦における馬尾多発性神経鞘腫の報告は9例であり,そのうち単一の馬尾神経からの発生例は,1例しか報告されていない.本症例は非常に稀な1例であった.治療は多発発生も考慮したうえで,完全摘出が必要である.

  • 文献概要を表示

 抄録:石灰性腱炎は肩関節周辺に発生することが多い.今回稀とされる殿筋粗面における石灰性腱炎を経験したので報告する.患者は52歳,男性.左殿部痛のため受診.初診時血液検査では白血球10100/mm3と軽度増加が見られた.X線像で左大腿骨殿筋粗面で傍骨性に円形の石灰化小陰影を認めた.一時疼痛は消炎鎮痛剤にて軽減したが再発し,さらに骨化性筋炎や腫瘍性疾患との鑑別を要したため生検を兼ねて摘出術を行った.腫瘤は殿筋粗面の軟骨様隆起の上に付着しており中心部はチョーク状石灰物で満たされていた.赤外線分析にて石灰物の主成分はハイドロキシアパタイトであった.術後9カ月の現在症状はない.殿筋粗面における石灰性腱炎は石灰沈着性股関節周囲炎のうち8%と少なく,本邦では過去5例報告されており,50歳前後の男性に多い.治療は同部位発生のものは手術的加療を行った報告が多い.

  • 文献概要を表示

 抄録:若年者の大腿骨頭壊死症に対して,press-fit型バイポーラー人工骨頭置換術後比較的早期に,広範な骨溶解を伴うステムのゆるみをきたした2症例を経験した.症例は共に28歳の男性で,ネフローゼ症候群にてプレドニゾロンの投与を受け,大腿骨頭壊死症を発症し,人工骨頭置換術を受けた.術後4年および5年で,X線上広範な骨溶解を伴うステムのゆるみを認めた.再置換術中,ステム周囲に厚い肉芽組織を認め,アウターヘッドの外縁は全周性にわたってポリエチレンの著明な摩耗を認めた.肉芽組織には,偏光で光る多数のポリエチレンの摩耗粉を認めたが,金属粉はほとんど認められなかった.以上よりアウターヘッドのimpingementによりポリエチレンの摩耗粉が多量に発生し,異物反応,骨吸収の末,ステムがゆるみに至ったと考えられた.今後はバイポーラー人工骨頭のアウターヘッドのデザインの改良,それが実現されなければ人工股関節全置換術(以下THRと略す)施行も考慮すべきであると思われた.

  • 文献概要を表示

 抄録:症例は65歳,男性のアテトーゼ型脳性麻痺患者で,主訴は四肢脱力,歩行困難である.四肢の著明な痙性麻痺と膀胱直腸障害があり,C5レベル以下に知覚鈍麻があった.X線上,椎体前後径の増大と前方への著明な骨棘形成があり,C2/3で20゜の後弯変形と7mmの前方辷りが認められ,脊柱管前後径はC3,4で12mmであった.脊髄腔造影ではC2/3の完全ブロック像を呈し,CTMではC2/3―C5で脊髄の圧排変形が認められた.MRIではC2/3―C4で脊柱管狭窄と脊髄の著明な萎縮がみられた.手術は不随意運動に対し強固な内固定が必要と考え,C2―C4に前方からCasper plate,後方からRoy-Camille plateを用いて固定し,椎弓切除を行った.C5は棘突起縦割法脊柱管拡大術を行った.術後早期より頚椎カラー装着のみで離床し,不随意運動も軽快した.術後2年の現在,痙性四肢麻痺,巧緻運動障害,膀胱直腸障害は著明に改善した.画像上,後弯変形は改善し,骨癒合も良好である.

  • 文献概要を表示

 抄録:胸腰椎部に発生した硬膜外くも膜嚢腫の1例を経験したので報告する.症例は63歳女性,腰痛を主訴に来院した.胃潰瘍の既往があるが,外傷歴,腰椎穿刺の経験はない.単純X線にてL1,L2椎弓根の菲薄化,椎弓根間距離の拡大を認めた.MRIにおいてT1強調像では脊柱管内後方にTh11/12レベルよりL3椎体中央レベルにいたる低輝度のmass lesionを認め,脊柱管前後径は拡大していた.また,同レベルにおける脊髄の前方への圧排を認めた.T2強調像においても同部位に高輝度のmass lesionを認めた.1993年5月12日手術を施行した.嚢腫は白色で光沢を有し,呼吸性の拍動を認めた.その辺縁は硬膜と線維性に軽く癒着するも剥離は容易であった.一般にくも膜嚢腫の手術成績は良好で再発も少ないとされている.可能な限り嚢腫を摘出するのは当然であるが,交通孔を発見し,これを縫合,閉鎖することが重要である.

  • 文献概要を表示

 抄録:比較的稀な骨幹端軟骨異形成症(metaphyseal chondrodysplasia,以下MCD)の軽症型であるSchmid型と思われる兄弟例を経験したので報告した.症例は,3歳9カ月と1歳11カ月の兄弟例で,第5子と6子である.2例とも低身長,下肢の短縮,両膝の著明な内反がみられ,軽度腰椎前弯と鴨様歩行を認めたが,頭蓋顔面などには異常所見はみられなかった.X線学的所見では,大腿骨遠位端でくる病様のcupping flaringおよび骨端線の幅の拡大が認められた.MCDは,1983年の骨系統疾患国際分類では,4つの型に分類されていたが,1992年の改訂分類では,骨幹端異形成症(metaphyseal dysplasia)となり,7つの型に分類されている.Schmid型は,その中でも軽度なタイプで,最も多い型とされている.鑑別診断としては,その他のMCD,軟骨無形成症,脊椎骨幹端異形成症,くる病などがあげられるが,VitD製剤の投与はむしろ禁忌とされており,特にくる病との鑑別が重要である.

  • 文献概要を表示

 抄録:今回稀なGaleazzi骨折の尺骨頭掌側脱臼例を経験したので,背側脱臼例の1例とともに報告した.それぞれ20歳,53歳の男性であった.

 今回の例では,橈骨への直接の外力と同時に前腕に掌側脱臼例では大きな回外力が,背側脱臼例では回内力が働いたと考えられた.いずれも観血的治療を行った.橈骨骨折部を整復すると尺骨頭も整復され,骨折部をプレートにて固定した.それぞれ4週,6週後にギプスを除去,ROMに問題はない.

 切断肢を用いて掌側脱臼例をつくった.前腕回外にて尺骨頭の掌側への突出とともに三角線維軟骨複合体(TFCC)が緊張するのがわかった.ノミにて橈骨骨折を起こした.前腕の回内・外可動域は骨折前より約40°ずつ増した.尺骨頭の突出とTFCCの緊張はさらに大きくなり,TFCCを切ると脱臼が起きた.

 尺骨頭の脱臼には前腕への回内・回外力が重要で,橈骨骨折はそれを助長すると考えられた.

  • 文献概要を表示

 抄録:著しい左内反股と下肢短縮を伴った点状軟骨異形成症の1例を報告する.症例は8カ月女児で,左下肢短縮を主訴として来院した.X線像で左上腕骨近位,左手根骨,傍脊柱部,左骨盤Y軟骨部,大腿骨左側近位部・両側遠位部,両脛骨近位・遠位部,両足根骨の骨端核およびその周囲に点状の石灰化を認めた.脊椎ではcoronal cleftや半椎を認めた.理学療法および補高靴を処方して経過観察したが,左内反股の増悪のため2歳,5歳時の2回にわたり大腿骨外反骨切り術を施行した.また,8歳に脚長差の補正のため左大腿骨仮骨延長術を行った.現在跛行は改善したが,左下肢には3.5cmの短縮と脊椎側弯が残存している.本例はConradi-Hünermann type (X-linked dominant type)と考えられ,このタイプの点状軟骨異形成症の整形外科的問題について考察した.

  • 文献概要を表示

 抄録:脊椎カリエス治癒後の後弯変形によって遅発性の麻痺を生じた比較的稀な2症例を経験した.両症例とも,脊椎カリエス治癒後麻痺発生まで10年以上経過しており,T6からT10の間に塊椎を形成していた.後弯角は60°前後で1例には脊髄空洞を認めた.

 Capenerのアプローチによる頂椎部の前方除圧を行い,1例は脊髄空洞が縮小して麻痺が改善し,もう1例は麻痺の進行が停止した.遅発性麻痺の原因は主としてtethering効果によると考えられたが,1例では二次性の脊髄空洞も麻痺の発生に関与していると思われた.

  • 文献概要を表示

 抄録:胸管損傷は脊椎外科の合併症としてごくまれに起こる.われわれは,1985(昭和60)年以降の7年間に胸腰椎前方手術に合併した胸管損傷を2例経験した.症例1:42歳,男性.腰椎OPLLに対し腰椎後方除圧固定術,のちに腰椎前方固定術を行った.腰椎前方固定術術後2日目,後腹膜チューブからの排液に乳糜を認めた.症例2:45歳,女性.陳旧性第1腰椎破裂骨折,後弯変形に対し,胸腰椎前方後方除圧固定,変形矯正を行った.術後1カ月目,左下肺野に液貯留がおこり,穿刺により乳糜を認めた.症例1はIVHと絶食による保存的療法のみで,症例2は保存的治療,胸膜癒着療法,観血的治療を組み合わせて治癒した.本症は希な合併症で感染との鑑別を要するが,本症を念頭におくことにより診断可能である.おおむね予後は良好である.

  • 文献概要を表示

 抄録:一過性大腿骨頭萎縮などの名称で報告されている疾患群の中で,罹患部位が左股関節から右股関節,右膝関節,右足関節へと間欠的に移動した一例を経験した.右膝痛発症時の右大腿骨内顆にはX線像で骨萎縮,骨シンチグラムでRI集積の上昇を認め,MRIではT1強調像で低信号,T2強調像で高信号を示した.右膝痛発症後1カ月で右大腿骨内顆の骨生検を行った.組織所見としては骨梁の吸収と添加骨形成像,骨髄の浮腫と線維性組織の増生を認めた.股関節と足関節でも同様の骨シンチグラム,MRIの所見を呈し,病態として非特異的な骨髄の炎症の存在が示唆された.

  • 文献概要を表示

 抄録:gunshot injuryによる対麻痺後,麻痺性後側弯症が徐々に進行した1例の治療を経験した.症例は17歳男性で,9歳時猟銃の暴発により受傷し,Th12以下の対麻痺となった.他医にて弾丸摘出術と,同時に前方および後方からの脊椎固定術を受けた.骨癒合は得られたが,その後胸腰椎の後側弯変形が進行した.Kaneda deviceによる前方固定術とCotrel-Dubousset instrumentationを用いた後方固定術を行い,良好な矯正が得られた.

基本情報

05570433.29.10.jpg
臨床整形外科
29巻10号 (1994年10月)
電子版ISSN:1882-1286 印刷版ISSN:0557-0433 医学書院

文献閲覧数ランキング(
7月26日~8月1日
)