胃と腸 54巻5号 (2019年5月)

増刊号 消化管疾患の分類2019—使い方,使われ方

序文 松本 主之
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 分類学は生物学の中で最も歴史のある分野であり,“生物を形態・生理などの関連や系統的なつながりに基づいて整理し,各種間の相互関係を研究する学問分野”と定義されている.この定義における“生物”を“疾病”に置き換えれば,臨床医学における“診断学”とほぼ同義となると思われる.臨床医学ではコンセンサスや診療ガイドラインに準拠した診療が必須であり,その根源にあるのが疾病の分類と言える.そして,正確かつ完璧な疾病分類法が確立されれば,その分類はAI技術を導入することにより客観的な診断に直結するようになる.すなわち,われわれは適切な分類に準拠することで,初めて正しい診断を下せることになる.

 自然科学における“伝統的分類学の祖”は,Carl von Linnéである.Linnéが活躍した18世紀の博物学は植物,生物,鉱物で構成されていたが,彼はいずれの領域においても合理的かつ常識的な分類学を確立したことで知られる.中でもLinnéが最も得意とした植物の分類は,色・形状などの主観的な特徴ではなく“おしべの数”といった客観的な“所見”に着目した点と,二名法という簡潔な階層化命名法を用いた点で独創的であり,現在の自然科学に引き継がれている.さらにLinnéが高く評価されるのは,彼が詳細な観察に基づいて“経験的”に重要な所見を拾い上げ,その所見に着目した分類の提唱と体系化に尽力した点である.

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定義

 tumor thicknessは腫瘍の表層から最深部までの実測数値であり,頭頸部表在性扁平上皮癌の取り扱いのために用いる病理組織学的因子である(Table 1)1)

 肉眼分類は頭頸部表在癌取扱い指針1)2)で定められた頭頸部表在癌の肉眼分類である(Table 2).

 T分類(pT因子)はUICC classification2)3)で定められた中下咽頭癌の病理組織学的深達度の分類である(Table 3).

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定義

 壁深達度,リンパ節転移,遠隔転移に基づいて行われる食道癌の進行度分類である.食道扁平上皮癌のみならず,食道腺癌にも適応される.

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定義

 日本食道学会の「食道癌取扱い規約」1)では,食道癌の肉眼型は0〜5型(Table 1)に分けられている.

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食道扁平上皮癌に対する内視鏡治療の適応

 食道扁平上皮癌(esophageal squamous cell carcinoma ; ESCC)のリンパ節転移率は深達度と密接な相関があり,食道癌診療ガイドライン2017年版1)ではT1a-EPおよびT1a-LPMまでが内視鏡治療の適応とされ,T1a-MMまたはT1b-SM1で臨床的に転移が認められない場合を相対的な適応と定義している.したがって,術前深達度診断ではT1a-LPMまでとT1a-MM〜T1b-SM1,およびT1b-SM2以深を鑑別することが重要である.

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定義

 超拡大内視鏡(endocytoscopy system ; ECS)により捉えられる食道粘膜(扁平上皮)表層の細胞形態の分類である.

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定義

 側面変形とは,癌(病変)に伴うX線二重造影側面像における消化管壁の変形のことである.

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定義

 日本食道学会が2015年10月に発表した「食道癌取扱い規約 第11版」1)に掲載されている食道腫瘍の組織型分類である(Table 1).

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定義

 世界保健機関(World Health Organization ; WHO)が2010年に発表した消化器腫瘍分類第4版1)に掲載されている食道腫瘍の病理組織型分類である(Table 1).

咽頭・食道 逆流性食道炎

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定義

 1994年にロサンゼルスで開催された国際学会で提唱された逆流性食道炎の新しい内視鏡分類(ロサンゼルス分類,LA分類)である1)

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定義

 食道アカラシアにおいては,X線造影検査による形態分類,食道の拡張横径による分類,食道内圧からみた機能的分類が使用される.食道X線造影検査は最も簡便な診断法であり,食道X線造影検査で高度の拡張や蛇行がみられる場合には,病歴が長く比較的進行した症例が多い.

咽頭・食道 食道裂孔ヘルニア

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定義

 胸腔と腹腔を分けている横隔膜には大動脈,大静脈,食道を通すそれぞれの裂孔がある.食道裂孔ヘルニアは横隔膜ヘルニアの一つであり,食道裂孔を通して腹腔内の臓器が胸腔内に脱出している状態を言い,多くは胃の一部が胸腔側に脱出する(Fig.1)1)

咽頭・食道 食道憩室

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定義

 食道壁が限局性に囊状に壁外に突出した状態で,その内腔が食道粘膜で覆われたものが憩室であり,発生過程,憩室壁の構成要素,成因論,発生部位,解剖学的部位のそれぞれによる分類がある.食道憩室は,一般的に臨床的意義は少ないが,まれに,出血,穿孔,気管支瘻,さらに,憩室内に食道癌の発生を伴うことがある.特に頸部食道憩室は,咽頭違和感や嚥下障害,誤嚥性肺炎などの原因となり,治療の対象となることもある.

咽頭・食道 食道静脈瘤

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定義

 2013年に発刊された「門脈圧亢進症取扱い規約 第3版」1)により,食道・胃静脈瘤はその内視鏡所見に基づき,新たな内視鏡所見記載基準(Table 1)が設けられた.

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定義

 2006年に欧米から提唱されたPrague C & M CriteriaによるBarrett食道の内視鏡所見による肉眼分類である1)

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定義

 2015年に発行された「臨床・病理食道癌取扱い規約」1)に基づく病型分類である.この分類は内視鏡所見,手術材料のマクロ所見に対応する.

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定義

 2015年に発行された「食道癌取扱い規約 第11版」1)に基づく分類である.本邦ではBarrett粘膜は“胃から連続性に食道に伸びる円柱上皮で,腸上皮化生の有無を問わない”とされ,Barrett食道は“Barrett粘膜の存在する食道”と定義されている1)

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定義

1.食道胃接合部(EGJ)

 食道胃接合部(esophago-gastric junction ; EGJ)の定義は,食道癌および胃癌取扱い規約において次の4つの条件,①内視鏡検査における食道下部の柵状血管の下端,②上部消化管造影検査におけるHis角を胃壁に沿って延長した線,③内視鏡および上部消化管造影検査における胃大彎の縦走ひだの口側終末部,④切除標本の肉眼所見での周径の変わる部位,となっている.

 したがって,胃噴門腺,食道噴門腺,食道固有腺,Barrett食道に由来するEGJ領域の癌は,このEGJ線を基準にして胃癌と食道癌に分類される.しかしながら,臨床的にEGJを確実に同定することは必ずしも容易ではない1).EGJ領域の癌が増加する中,発癌を含む病態解明あるいは疫学調査を行うにあたっては,簡便で有用な定義および分類が必要となる.本稿ではEGJ癌の代表的な2つの分類法について解説する.

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定義

 1976年にカンジダ食道炎に関する研究の際に定義された内視鏡所見の分類である1)

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定義

 萎縮性胃炎の進展を内視鏡検査にて胃粘膜の平面的な拡がりで評価する分類である.内視鏡的萎縮移行帯(atrophic border)が胃体部小彎側で噴門を越えない閉鎖型(closed type)と,それを越えて大彎側に進展する開放型(open type)とに大きく分類される.

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定義

 H. pylori(Helicobacter pylori)未感染胃および活動性胃炎で炎症を伴った胃底腺粘膜,幽門腺粘膜,萎縮粘膜,腸上皮化生の拡大内視鏡像の変化を示した分類である.

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定義

 「胃炎の京都分類」は,日本における胃炎診断と分類の歴史を鑑み,H. pylori(Helicobacter pylori)感染を,①未感染,②現感染,③除菌後を含む既感染の3つのカテゴリーに分けて,内視鏡所見で胃炎の診断をすることを主たる目的とした分類である.その後,改訂版が出版され,H. pylori以外の原因による胃粘膜の変化も取り上げている(Table 1)1)

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定義

 血清H. pylori(Helicobacter pylori)抗体でH. pylori感染を,血清ペプシノゲン(PG)法(PG I≦70ng/mlかつPG I/II比≦3.0を陽性)で胃粘膜萎縮を判断し,その組み合わせで胃癌リスク層別化を行う方法をABC分類という1)

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定義

 histological division(組織学部門)とendoscopic division(内視鏡部門)から体系化された包括的胃炎の国際的表記法である1).組織学的部門は,①aetiology(病因),②topography(局在),③morphology(形態),の3項目から成り,内視鏡部門は局在に加え,11の形態的変化について最も優位と思われる所見をもとに,8つのカテゴリーから胃炎を定義する.

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定義

 1947年にSchindlerによって提唱された胃炎に対する内視鏡所見の肉眼分類である1).Schindlerは著書「Gastritis」1)で「慢性胃炎は胃壁の慢性炎症と定義される」と記述している.

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定義

 機能性ディスペプシア(functional dyspepsia ; FD)は上部消化管由来と考えられる症状があり,症状の原因となりうる器質的病変あるいは生化学的異常がないもので,従来“慢性胃炎に伴う上腹部愁訴”と呼ばれたもので,保険病名としての“慢性胃炎”とほぼ同一の概念である.日本消化器病学会が定めた診断基準1)はRome III2)に準拠するもので,食後に症状が増強するものを食後愁訴症候群(post-prandial distress syndrome ; PDS)と,食事とは関係なく心窩部痛が出現する心窩部痛症候群(epigastric pain syndrome ; EPS)とに分けられる.最新の国際基準であるRome IV3)では,記述に若干の修正が加わったが,基本的にRome III診断基準とほぼ同一である(Table 1).

胃 胃潰瘍(十二指腸潰瘍も含む)

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定義

 1970年に発表された胃潰瘍の内視鏡的時相(ステージ)分類である.

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定義

 1959年(昭和34年),村上1)が提唱した胃・十二指腸潰瘍の深さによる分類である.

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定義

 1974年にJohn Forrestが発表した潰瘍の“出血状態による”分類である1)

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定義

 山田分類1)は,胃の内腔に突出した病変を,上皮性・非上皮性および腫瘍・非腫瘍など病態の区別なく,その起始部の肉眼的形態から4つに分類したものである(Fig.1).

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分類の定義

 中村(卓)1)は,“胃ポリープとは胃粘膜上皮の異常増殖に基づく隆起性病変である.形状は有茎,無茎を問わないが,周囲から判然と識別できる隆起であることを条件とする.また良性を前提とするが,一部に癌巣を伴ういわゆる癌化例はこれに包含する”と定義している.

 中村(卓)分類は胃ポリープを臨床に即して病理組織学的に分類したものである.

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定義

 胃癌の壁深達度と領域リンパ内の転移の有無,遠隔転移の有無によって決定される.

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定義

 胃癌の肉眼型分類は日本胃癌学会の「胃癌取扱い規約」により定義され,基本分類は0〜5型までの6種類である(Table 1).0型(表在型)は早期胃癌に多い肉眼型で,さらに5種類に亜分類される.1〜5型は進行癌によくみられる肉眼型である.

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定義

 2009年に発表された拡大内視鏡により早期胃癌を診断するための分類と診断体系である1)

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定義

 MESDA-G(magnifying endoscopy simple diagnostic algorithm for early gastric cancer)は,2016年に発表された拡大内視鏡による早期胃癌診断のための単純化アルゴリズムである1)

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定義

 胃癌取扱い規約における組織型分類とは日本胃癌学会が定めた胃癌の病理組織学的分類法である.

 WHO分類における組織型分類とは世界保健機関(World Health Organization ; WHO)の下部組織である国際がん研究機関(the International Agency for Research on Cancer ; IARC)が定めた胃癌の組織分類法である.

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定義

 腺管形成が明瞭な腸型の胃癌をintestinal type,腺管形成に乏しくびまん性に増殖する胃癌をdiffuse typeとする分類である.

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定義

 腺管形成のない胃癌を未分化型癌,腺管を形成している胃癌を分化型癌とする分類である.

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定義

1.Group分類

 本邦独自の胃生検組織診断分類で,上皮性病変を対象とし,Group 1〜5とGroup Xの6つに分ける1)

2.IEN/dysplasia分類

 国際的に広く使用されているWHO分類2)で採用されている分類法である.dysplasiaとは病理組織学的に上皮性腫瘍と診断できる(unequivocal neoplasia)で間質浸潤が明らかでないものを指す.

 dysplasiaとは病理組織学的に上皮性腫瘍と診断できるunequivocal neoplasiaで,間質浸潤が明らかでないものを指す.intraepithelial neoplasia(IEN)は類義語である.

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定義

 1993年にWotherspoonら1)によって提唱された,MALTリンパ腫診断の信頼度を6段階で表現したものである.

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定義

 GELA(Groupe d'Etude des Lymphomes de l'Adulte,フランスのリンパ腫研究グループ)に属する病理医とWotherspoonによって作成された,胃MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫除菌治療後の病理組織学的評価基準である.

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定義

 大腸癌の進行度は定められたルールに従って表記される.欧米ではTNM分類(AJCC Cancer Staging Manual),本邦においては「大腸癌取扱い規約」(以下,規約)に沿って記載する.

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定義

 2018年7月改訂の「大腸癌取扱い規約 第9版」1)において,肉眼型分類の中の0型(表在型)の亜分類として詳述されている.この中で,早期癌はTis,T1癌と推定される病変を表在型(0型)に分類すると規定されている.

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定義

 進行癌の肉眼型分類は「大腸癌取扱い規約」1)で定義され,基本分類の0〜5型のうち,1〜5型を指す(Fig.1).

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定義

 本分類は早期大腸癌の深達度診断における注腸X線検査の側面変形の分類である.

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定義

 早期大腸癌の発生や発育進展を明らかにするために,筆者1)が1987年に提唱した分類である.腺腫および癌の粘膜内での増殖態度に注目し,PG(polypoid growth)とNPG(non polypoid growth)の2種に分類した.

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定義

 2002年に発表された消化管の表在型腫瘍(superficial neoplastic lesion)に対する内視鏡所見の国際肉眼型分類である.

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定義

 拡大内視鏡観察による質的診断に用いられる分類である.大腸粘膜表層で拡大観察できる腺管開口部(pit)を主とした表面微細構造をpit patternと称し,正常粘膜から癌までの病理組織像に対応していくつかのパターンに分けている.現在,標準的に用いられているのが工藤・鶴田分類である.

 この分類ではI〜V型に大きく分類され,さらに亜分類が付されている(Fig.1)1)

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定義

 2009年に提唱された大腸腫瘍NBI(narrow band imaging)所見に関する国際分類である.

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定義

 2014年に提唱された大腸腫瘍NBI(narrow band imaging)拡大内視鏡所見に関する,本邦の統一分類である.

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定義

 側方への発育を主体とする上皮性腫瘍で,腫瘍径が10mmを超えるものを側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor ; LST)と総称する.結節・顆粒集簇を形成する顆粒型(granular type ; G)と,結節・顆粒集簇を形成しない非顆粒型(non-granular type ; NG)に大別され,さらに前者は顆粒均一型(homogenous type ; GH)と結節混在型(nodular mixed type ; GM),後者は平坦隆起型(flat-elevated type ; NG-F)と偽陥凹型(pseudo-depressed type ; NG-PD)の4つに分類される(Fig.1)1)

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定義

 2011年に発表した大腸病変に対する超拡大内視鏡(endocytoscopy ; EC)観察による細胞核と腺腔に基づいたEC分類(Fig.1)1)と,2013年に発表したNBI(narrow band imaging)を併用したEC観察における血管の形態に基づいたEC-V分類(Fig.2)2)である.

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定義

 大腸癌取扱い規約1)の組織型分類(取扱い規約分類)は,本邦における大腸病変の病理組織診断のために作成された病理組織型分類である.大腸癌研究会により作成されている(Table 1).

 WHO大腸癌組織型分類2)(WHO分類)は,広く世界で用いる共通の分類として作成された(Table 2).

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定義

 大腸内視鏡的生検の病理組織診断において,病変(疾患)区分を明確にすることを目的として,本邦で作成された分類1)であり,Group分類と呼ばれ,大腸癌取扱い規約に掲載されている(Table 1).

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定義

 鋸歯状腺腔によって特徴付けられる腫瘍もしくは腫瘍様病変である.

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定義

 「大腸癌取扱い規約 第9版」1)による虫垂腫瘍の組織型分類である.

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定義

 「WHO Classification of Tumours of the Digestive System,4th ed」〔WHO消化器腫瘍組織分類(WHO分類)第4版〕1)による虫垂腫瘍の組織型分類である.

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定義

 “肛門管”には“外科的肛門管”と“解剖学的肛門管”があり,“外科的肛門管”とは,恥骨直腸筋付着部上縁より肛門縁までの管状部,“解剖学的肛門管”とは歯状線から肛門縁までの肛門上皮(anoderm)に覆われた管状部を指す(Fig.1)1)〜3).「大腸癌取扱い規約 第9版」の記載には,外科的肛門管を用いると定義されている.

 したがって「大腸癌取扱い規約 第9版」では,この外科的肛門管に発生した腫瘍ならびに肛門周囲皮膚(外陰部を除く,肛門縁から5cmまでの範囲の有毛皮膚)に発生した腫瘍を“肛門管(肛門周囲皮膚を含む)腫瘍”として取り扱う.

 肛門管(肛門周囲皮膚を含む)腫瘍の組織分類をTable 1に示す.

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定義

 「WHO分類 第4版」(2010年)1)においても本邦の「大腸癌取扱い規約」と同じように“外科的肛門管”と“解剖学的肛門管”は,前者が肛門直腸輪近位部(歯状線より通常1〜2cm上)から肛門縁までの管状部,後者が歯状線から肛門縁までの肛門上皮(anoderm)に覆われた管状部と定義されている.また,肛門周囲皮膚は外陰部を除いて肛門縁から5cmまでの範囲の有毛皮膚と定義されている.すなわち,“肛門管”ならびに“肛門周囲皮膚”についての解剖学的定義はほぼ「大腸癌取扱い規約 第9版」と同等と考えることができる.肛門管腫瘍の組織分類をTable 11)に示す.

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定義

 本邦の潰瘍性大腸炎に関する基本的な分類であり,厚生労働科学研究費難治性疾患等政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班(以下,班会議)による潰瘍性大腸炎診断基準1)に記載されており,概ね毎年,少しずつ改訂されている.

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定義

 厚生労働省・難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班の潰瘍性大腸炎診断基準に記載されている内視鏡的重症度分類である(Table 1)1)

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定義

 粘膜の凹凸の程度,潰瘍の有無,出血の状態を目安に活動性を評価した通常内視鏡分類である.

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定義

 Baron Scoreでは,粘膜出血の程度に基づいて重症度を4段階に分類する(Table 1)1).Rachmilewitz Endoscopic Indexでは,4つの所見(①粘膜顆粒化,②血管透見像,③粘膜脆弱性,④粘膜損傷)を評価し,それぞれを点数化,合計点を最終スコアとする(Table 2)2)

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定義

 英国のTravisら1)欧米多施設の炎症性腸疾患専門医によって2012年に提唱された潰瘍性大腸炎の内視鏡的活動性を評価するための指標である(Table 1)2)

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定義

 米国Mayo clinicのSamuelら1)炎症性腸疾患専門医によって2013年に提唱された潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)の内視鏡的活動性を評価するための指標である(Table 1).

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定義

 ①排便回数,②血便,③調査者による症状の全般評価,④腹痛または腹痛発作,⑤大腸炎に起因する体温,⑥腸管外合併症,⑦臨床検査所見,の7項目をスコア化した臨床的指標である(Table 1).

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 ①排便回数,②直腸出血,③内視鏡所見,④医師による全般評価,の4項目をそれぞれ0〜3の4段階にサブスコア化し,総スコアを0〜12で表記する臨床的指標である(Table 1).

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定義

 UC-DAI(Disease Activity Index for Ulcerative Colitis)は潰瘍性大腸炎における活動性評価指標である.

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定義および分類の来歴

 Lichtiger Indexは重症潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)に対するシクロスポリンの臨床試験に用いられた活動度指数であり(Table 1,2)1)2),原著者名に由来する.初出はプレリミナリー試験で用いられ3),本文中にTruelove-Witts指数を改変し定量化したとある.

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定義

 1994年に厚生省(当時)特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班(武藤班)で提唱された,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)に出現する異型上皮に対する日本独自の病理組織学的分類である.

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定義

 1983年に提唱された炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease ; IBD)〔潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)とCrohn病〕に発生した粘膜内腫瘍の生検診断を行うための病理組織学的分類である.

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 2014年に発表された潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis ; UC)関連腫瘍に対する内視鏡所見の肉眼分類である.

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定義

 Crohn病の病型分類は,病変部位や病態を的確に把握するために使用され,縦走潰瘍,敷石像または狭窄の存在部位により,小腸型,小腸大腸型,大腸型,特殊型に分類される.また,疾患パターンに応じて,炎症型,瘻孔形成型,狭窄型に分類される(Table 1)1)

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定義

 Crohn病(Crohn's disease ; CD)のモントリオール分類1)は,国際的にも頻用される病態の分類法で,①診断時年齢(age at diagnosis),②病変部位(location),③病態(behavior),の3項目から成る.各項目は,Table 1のように分類される.L4は上部消化管病変が併存する場合,L1〜L3に併記して記載する.また,肛門部病変(痔瘻や肛門周囲膿瘍など)が存在する場合,pをB1〜B3に付記して記載する.

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定義

 Crohn病の主として大腸病変の内視鏡的重症度を評価するスコアである1)

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定義

 Crohn病の主として大腸病変の内視鏡的重症度を評価するスコアである(Table 1)1)

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定義

 Crohn病により回腸—大腸吻合術を施行された患者において,新たに形成された回腸末端部(neoterminal ileum)の腸管病変の内視鏡的重症度を評価するスコアである(Table 1)1)

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定義

 IOIBDはCrohn病の活動性を評価する指標1)であり,各項目の合計点数で活動性の有無を評価する.

 ①腹痛の有無,②1日6回以上の下痢あるいは粘血便の有無,③肛門病変の有無,④瘻孔の有無,⑤その他の合併症(ぶどう膜炎,虹彩炎,口内炎,関節炎,皮膚症状,深部静脈血栓症など)の有無,⑥腹部腫瘤の有無,⑦体重減少の有無,⑧38℃以上の発熱の有無,⑨腹部圧痛の有無,⑩ヘモグロビン値10g/dl以下の所見の有無,の以上10項目を各1点とし,スコアの合計を活動性の指標とする(Table 1).点数が高ければ活動性は高いとされ,0点または1点は寛解,2点以上は活動性ありと評価される.

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定義

 CDAI(Crohn's disease activity index)はCrohn病(CD)の活動性を評価する最も一般的に使用されている指標の一つである.

 活動指数は,過去1週間の①軟便・下痢の回数,②腹痛の程度,③主観的な一般状態,④合併症や発熱の有無,⑤下痢に対してのロペラミドあるいはアヘンアルカロイド服用の有無,⑥腹部腫瘤の有無,⑦ヘマトクリット値,⑧体重,の8項目で構成されている.

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 simple CDAIとはCDAI1)(Crohn's disease activity index)(前項目参照)をより簡易的に評価可能としたCrohn病(CD)に対する臨床活動指数である.

小腸・大腸 虚血性腸炎

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定義

 1966年にMarstonら1)が提唱した虚血性大腸炎の病型分類である(Table 1).

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定義

 1996年にGandhiら1)の総説に記載された虚血性大腸炎(ischemic colitis)の病型分類である(Table 1).

小腸・大腸 腸結核

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定義

 病理医の黒丸が肺結核患者の病理解剖標本の腸の粘膜を詳細に観察し,病理組織学的に結核病巣と確認できた粘膜病変(主に潰瘍性病変)を,腸結核の肉眼像として8型に分類したものである(Fig.1).後述する原典を要約した黒丸の著書「腸結核症の病理」1)の原文を引用すると,第I型は初期の病変で粟粒大ないし麻実大の結核結節である.第II型は結核結節の壊死物質が粘膜を破って腸腔に排出され,小潰瘍を形成したものである.第III型はそれがやや大きくなり,小豆大または扁桃大となったものである.第IV型は,腸の横軸方向の潰瘍で,輪状または帯状潰瘍と言われるものである.長径2cm以下のものをIVA型,2cm以上のものをIVB型とした.第V型は縦軸方向の長径2cm以下のものをVA型,2cm以上のものをVB型とした.VI型は円形または類円形の潰瘍で,扁桃大以上のものである.第VII型は不整形潰瘍で,扁桃大以上である.第VIII型は潰瘍が互いに融合し,広範な潰瘍となったものである.

小腸・大腸 粘膜脱症候群

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定義

 1990年に太田ら1)が報告した直腸の粘膜脱症候群(mucosal prolapse syndrome ; MPS)の肉眼型分類であり,①隆起型,②平坦型,③潰瘍型,の3型に分類する.

小腸・大腸 腸閉塞

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定義

 腸閉塞とは,何らかの原因で腸管内容の肛門側への輸送が障害されたことによる病態である1)

小腸・大腸 小腸

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定義

 CESTはPillCam®カプセル内視鏡(capsule endoscopy ; CE)のレポート作成用に,2005年にMST(minimal standard terminology)のver.2に基づいて作成された用語集である1)

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定義

 小腸絨毛の萎縮の程度を,内視鏡所見をもとに分類したものである.

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定義

 小腸血管性病変に対する内視鏡所見の肉眼分類1)である.

小腸・大腸 痔核

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定義

 内痔核の臨床分類であり1),本邦でも海外でも用いられている(Table 1).

小腸・大腸 痔瘻

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定義

 肛門管を形成する肛門管上皮や皮膚,内肛門括約筋,外肛門括約筋,肛門挙筋による境界空隙に番号をつけ,歯状線との関係,瘻管分岐の程度によって記号化した分類(Fig.1,Table 1)である1)2)

小腸・大腸 薬剤性腸炎

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定義

 抗菌薬(抗生物質)の使用に関連して発症する腸炎の総称である.

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定義

 薬剤性腸炎(薬剤性腸病変)とは投与された薬剤に関連して発症する腸管粘膜病変と定義される.その診断基準として,①発症前からの薬剤使用歴の確認,②感染性腸炎の否定,③薬剤中止後の腸病変改善の確認,の3項目が挙げられ1),さまざまな薬剤による多彩な薬剤性腸炎が報告されている.

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定義

 感染の成立状況による感染性腸炎の分類である(Table 1).

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定義

 食品衛生法の第58条に「食品,添加物,器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのあるもの(以下「食中毒患者等」という.)を診断し,又はその死体を検案した医師は,直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない」と規定されている.

全消化管 内分泌細胞腫瘍

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定義

 1971年にSogaら1)により発表されたカルチノイドの組織構築の分類である.現時点では,内分泌細胞癌を含む内分泌細胞腫瘍の組織構築分類に相当する.

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定義

 2010年にWHOより発表された消化器の内分泌細胞腫瘍〔WHO分類ではNEN(neuroendocrine neoplasm)〕に対する組織分類である1)

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定義

 胃癌取扱い規約および大腸癌取扱い規約における内分泌細胞腫瘍の病理組織学的分類である.

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定義

 1993年にRindiら1)が発表した,腫瘍発生にかかわる背景病変を考慮した胃カルチノイド腫瘍の分類である.

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定義

 1994年に公表された消化管原発悪性リンパ腫(primary gastrointestinal lymphoma ; PGIL)に特化した臨床病期分類である.

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定義

 1974年に公表された胃悪性リンパ腫の肉眼形態分類である1)

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定義

 1980年に,「胃と腸」誌の胃悪性リンパ腫編集小委員会において,本邦23施設より集積された胃悪性リンパ腫235例の切除標本画像の検討により,定められた肉眼形態分類である1)

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定義

 2016年,「Blood誌」1)に公表された,世界保健機関(World Health Organization ; WHO)によるリンパ系腫瘍の病型分類である.各病型の臨床病理学的特徴は,翌年9月に国際がん研究機関(International Agency for Research on cancer ; IARC)からrevised 4th edition(すなわち2008年に公刊されたWHO分類第4版の改訂・追補版)として公刊されたモノグラフ2)に簡潔に記述されている.

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定義

 アグレッシブリンパ腫の診断時に5つの予後因子の何項目を満たすかを評価し,患者の予後を予測する指標である(Table 1).

全消化管 GIST

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定義

 GIST(gastrointestinal stromal tumor)外科的切除後に再発・転移を生じるリスクを相対的に評価するための病理形態学的指標と,それに基づくリスクの層別化を示した分類(リスク分類)の一つである.現在認識されているGISTの概念がほぼ確立した直後に最も早く提唱されたリスク分類である.

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定義

 外科的切除されたGIST(gastrointestinal stromal tumor)に対して,その予後データに基づいて再発・転移リスクの層別化を原発臓器別に示したものであり,GISTのリスク分類の一つに位置づけられているものである.Fletcher分類の提唱後,数年間に報告された研究データに基づく.

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定義

 外科的切除されたGIST(gastrointestinal stromal tumor)の再発・転移リスクの層別化のための分類の一つであり,Miettinenらのデータやその他のデータを考慮してFletcher分類(コンセンサス分類)を修正したリスク分類として提唱されたものである.

全消化管 消化管上皮性腫瘍

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定義

 2000年に発表された消化管上皮性腫瘍の病理組織診断に対する国際的分類法である(Table 1)1)

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定義

 チャペルヒル分類とは,カンファレンスの開催地名を冠した血管炎の分類である.原発性血管炎10疾患を罹患血管サイズにより3つのカテゴリーに分類した1994年のCHCC(Chapel Hill Consensus Conference)分類が,近年,大幅に改訂され,「Arthritis and Rheumatism」誌の2013年1月号に「CHCC 2012」として掲載された1)

全消化管 アミロイドーシス

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定義

 2016年に発表された国際アミロイドーシス学会用語委員会によるアミロイド蛋白質と前駆物質によるアミロイドーシスの分類1)である.本邦では,「アミロイドーシス診療ガイドライン2017」2)が最新のものであるが,これは国際アミロイドーシス2014年版に基づく.

全消化管 消化管ポリポーシス

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定義

 消化管ポリポーシスとは,上皮性病変,非上皮性病変,または両者が消化管の粘膜面に多発する隆起性病変を形成する病態を指す.したがって,消化管ポリポーシスには複数の病態が含まれ,その分類である.

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定義

 1996年にローマで開催された国際血管腫・血管奇形学会(the International Society for the Study of Vascular Anomalies ; ISSVA)のワークショップで採択された,脈管異常(vascular anomalies)の系統的分類である1).なお,現行分類は2014年に改定されたものである2)

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執筆者

目次

索引

編集後記 二村 聡
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 私たち人間は常に分類しながら生きています.例えば,好きな食べ物・嫌いな食べ物,好きな場所・嫌いな場所,好きな本・嫌いな本……枚挙に暇がありません.

 さて,2019年の増刊号は消化管の,主に診断学で用いられる諸分類の特集です.松本氏,松田氏,小田氏,二村の4名で討論を尽くし,その骨子を編集委員会に諮り,本号の誌面構成を決めました.執筆者には各分類の定義・概念,特徴,使い方・使われ方はもちろん,その“来歴(由来や由緒)”も詳述してほしいと依頼しました.したがって,本号は単なる“諸分類の寄せ集め”ではありません.

基本情報

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胃と腸
54巻5号 (2019年5月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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