胃と腸 53巻4号 (2018年4月)

今月の主題 腸管感染症─最新の話題を含めて

序説

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 “腸管感染症”の大半は腸粘膜に炎症を伴っていることより,“感染性腸炎”が同義語のように用いられることもある.腸管感染症は起因病原体によって細菌性,真菌性,寄生虫性,ウイルス性に分類される.また,臨床経過により急性と慢性に分けられ,細菌性腸管感染症の多くは急性の経過をたどり2〜3週で自然治癒傾向を示すため,欧米ではacute self-limited colitisと言われているが,サルモネラ腸炎やエルシニア腸炎は遷延化する場合がある.一方で,慢性の経過をたどるものとして,腸結核やアメーバ性大腸炎などがよく知られているが,他の寄生虫性腸管感染症でも病原体が駆逐されなければ症状は慢性的である.

 腸管感染症のうち日常診療でよく遭遇するのは,カンピロバクター腸炎,サルモネラ腸炎,腸炎ビブリオ,病原性大腸菌腸炎,エルシニア腸炎など,急性胃腸炎型の細菌性腸管感染症である.C. difficile(Clostridium difficile)腸炎やMRSA(methicillin resistant Staphylococcus aureus)腸炎は抗菌薬の多用による菌交代現象,長期入院者の院内感染や高齢者などの場合に好発する.サイトメガロウイルス(cytomegalovirus;CMV)腸炎,MAC(Mycobacterium avium complex)腸炎,糞線虫症,イソスポーラ症,ランブル鞭毛虫症,クリプトスポリジウム症,真菌性腸炎などの多くは宿主の免疫力低下による日和見感染症である.性行為感染症(sexually transmitted disease;STD)による腸炎には,アメーバ性大腸炎の約30%,梅毒性や淋菌性腸炎,クラミジア直腸炎,尖圭コンジローマ直腸炎などがある.

主題

腸管感染症の動向 大西 健児
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要旨●本邦では腸管感染症の現状を正確に反映する資料はないが,細菌ではCampylobacter jejuni(C. jejuni)による感染者数が最も多いと推測される.市販肉(特に鶏肉)のC. jejuni汚染率が高いことから,本菌が細菌性腸管感染症の主病原菌である状況は今後も続くと推測される.腸管出血性大腸菌(EHEC)は分離される菌の半数以上が血清型O157で,EHEC感染に伴う溶血性尿毒症症候群は0〜9歳で6〜7%の発症率である.ウイルスではノロウイルスによる感染者数が最も多く,強い感染力やワクチンの不存在により,ノロウイルスが主流である状況は今後も続くと思われる.C. jejuniによるものは夏季に,ノロウイルスによるものは冬季に多発する傾向がある.寄生虫では赤痢アメーバによるものが多く,また,知識の普及により,クドア食中毒が毎年報告されるようになった.

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要旨●感染性腸炎の診断を進める場合,最も重要なのは臨床所見である.詳細な病歴から感染性腸炎との診断のみならず,疾患の絞り込みも可能である.これに糞便や血液を用いた細菌学・生化学・遺伝子的検査所見を加えることで,ほとんどの感染性腸炎の確定診断が可能となる.USやCT,X線造影・内視鏡などによる画像所見は,病変の好発部位,形状,配列などを分析することで潰瘍性大腸炎やCrohn病などの狭義のIBDとの鑑別に有用である.治療としては補液による脱水の補正と食事療法,適切な抗菌薬の使用が重要であり,起因菌が不明の場合はニューキノロン系抗菌薬,またはホスホマイシンの投与が推奨される.

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要旨●本稿では主な急性腸管感染症であるカンピロバクター腸炎,サルモネラ腸炎,腸管出血性大腸菌腸炎,エルシニア腸炎,偽膜性腸炎,アメーバ性大腸炎,腸アニサキス症の腹部CT像と内視鏡像について述べる.腹部CT像では,腸管壁肥厚の有無・局在・程度,腸管周囲の炎症の有無・程度,リンパ節腫大の有無・程度,腹水の有無・程度,などに注目して診断する.大腸型の細菌性腸炎のCT像では,高率に右側結腸の壁肥厚がみられる.一方,内視鏡像では,罹患部位と浮腫・粘膜内出血・うろこ模様・びらん・潰瘍・偽膜の有無やその性状により腸管感染症の鑑別診断を行う.エルシニア腸炎ではPeyer板の肥厚とその上のびらんが特徴的内視鏡像である.重症の偽膜性腸炎では膜状偽膜を呈するが,この所見は偽膜を伴う重症のアメーバ性大腸炎と類似しているため注意する必要がある.両疾患における類似した内視鏡像を提示した.

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要旨●腸管感染症には,組織学的に非特異的な炎症所見を呈し病原微生物の推定が困難な疾患と,組織学的に特徴的所見を呈し病原性微生物の同定や推定が可能な疾患が存在する.細菌性腸管感染症の大多数は非特異的な炎症所見を呈する.微生物学的検査で原因細菌が同定された細菌性腸管感染症34症例の生検組織像の病理学的特徴として,①腺管のねじれ(8.8%),腺萎縮(0.0%),Paneth細胞化生(8.8%)はほとんど認められない,②炎症細胞の分布は巣状(85.3%),表層性(52.9%)と不均一な分布を示すことが多い,③炎症細胞浸潤は好中球浸潤が目立つ例が大多数を占め(97.1%),好中球浸潤数のリンパ球・形質細胞浸潤数に対する比率が0.5以上の症例がほとんどである(85.3%),④陰窩炎(67.6%),陰窩膿瘍(44.1%)が高頻度にみられ,陰窩膿瘍は全例が腺管管腔の拡張を伴わない非拡張型の陰窩膿瘍である,が挙げられる.細菌性腸管感染症と初発時の潰瘍性大腸炎の生検組織所見の比較では,単変量解析にて有意な相関を示し,多変量解析で独立性の認められた生検組織所見は,細菌性腸管感染症を示す所見では“表層性の炎症細胞分布”,“好中球/リンパ球・形質細胞≧0.5”,初発時の潰瘍性大腸炎を示す所見では“basal plasmacytosis”であった.これらに加え,組織学的に病原微生物の同定や推定が可能な代表的な腸管感染症を列挙し,その組織像について概説した.

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要旨●ヒト腸管スピロヘータ症(human intestinal spirochetosis;HIS)の自験例43例について臨床的検討を行った.41例は生検組織またはEMR標本のHE染色で偽刷子縁の所見により,2例は内視鏡検査時に吸引した腸液の直接塗抹で診断された.症状の有無別では無症状例が31例,有症状例が12例であった.生検は主にポリープやびらんから採取され,組織診断は低異型度管状腺腫13例,過形成性ポリープ8例,炎症性変化7例,過形成性結節4例であった.有症状12例中9例は他の疾患が判明し,3例はアメーバ性大腸炎を合併していた.他の原因疾患がみられなかった3例の内視鏡所見は,右側結腸を中心とした半月ひだの浮腫と発赤であった.その内2例では慢性下痢がみられており,腸液の直接塗抹でHISと診断され,遺伝子解析でBrachyspira pilosicoli(BP)が同定された.抗菌薬による治療は1例で行われたのみで,他の症例は無治療で症状が改善していた.HISについての文献的考察を行った.

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要旨●アメーバ性大腸炎は比較的まれな消化管感染症であったが,最近では年間1,000例以上の発症が報告されている.2005年以降当院で生検および直接鏡検で虫体,栄養体が確認された35例(男性:33例,女性:2例),平均年齢47.5歳を解析しその特徴をまとめた.有症状者は63%,無症状者37%.推定される感染経路は,異性間感染49%,同性間感染9%,不明43%.生検陽性率は89%,直接鏡検陽性率は93%,血清アメーバ抗体陽性率は53%.好発部位は,盲腸89%,直腸51%であった.特徴的な内視鏡所見は,たこいぼ様びらん・潰瘍,不整形潰瘍,打ち抜き状潰瘍,類円形潰瘍,腫瘤形成様潰瘍などで,潰瘍の易出血性や膿汁流出様所見が特徴的である.診断は内視鏡所見で疑い,生検や直接鏡検,問診による背景の確認などが重要である.

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要旨●クラミジア直腸炎は,いくら状・半球状小隆起が典型的内視鏡像とされるが,自験例では典型例が少なく,丈の低い隆起や隆起を伴わない例を認めている.自験例46例のうち初回内視鏡検査時に隆起性病変を認めた42例では丈の低い隆起を27例(58.7%),不整隆起を17例(37.0%),丈の高い隆起(典型例)を4例(8.7%)に認めた.隆起を伴わなかった4例(8.7%)では,びらん・アフタ,発赤の所見を認めた.クラミジア直腸炎では,半球状小隆起以外の内視鏡所見が認められることも多いと考えられ,診断に注意が必要である.

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要旨●サイトメガロウイルス(CMV)感染症は易感染性宿主の日和見感染症として知られている.多くは造血幹細胞移植後,自己免疫性疾患や炎症性腸疾患などの免疫抑制状態や易感染状態を背景としてCMV再活性化がみられるが,慢性腎不全や侵襲的な手術後などにも発症しうる.CMV腸炎は消化器症状,内視鏡検査所見および生検による病理組織学的診断をもって診断される.内視鏡像としては打ち抜き様潰瘍が特徴的とされているが,多彩な潰瘍やびらん性病変を呈することが多い.一方で,発赤・浮腫などの非特異的な炎症所見も多く認められる.治療は抗ウイルス薬であるガンシクロビルが第一選択薬となる.

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要旨●Clostridium difficile感染症は代表的な院内感染症の一つであるが,その発症には産生毒素(toxin A,B)の存在が重要であり,欧米では第3の毒素(binary toxin)を産生する強毒株が問題となっている.また,近年では炎症性腸疾患の増悪再燃因子としても注目され,Helicobacter pylori除菌後発症例も散見される.本症では毒素量の多寡や宿主の免疫力の程度などにより,軽症の下痢から偽膜性腸炎,さらには生命にかかわる重症例に至るまで幅広い臨床像を呈する.診断には毒素の証明が必要であるが,S状結腸内視鏡はその重症度を含めた早期診断に有用である.治療法に関しては従来からの抗菌薬治療に加え,最近では難治性再発例に対する糞便移植の有効性が注目されている.

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要旨●HIV感染者における,下部消化管感染症例の検索のため,2004年8月〜2017年10月までに,377例655件の下部消化管内視鏡検査を施行した.病理組織学的に消化管感染症と診断された症例はCMV(cytomegalovirus)腸炎が61例(16%),アメーバ性大腸炎が18例(5%),腸管スピロヘータ症が9例(2%),HSV腸炎が2例(0.5%),クラミジア腸炎が1例(0.3%),カンジダ症が1例(0.3%),梅毒性直腸炎が1例(0.3%),腸結核が1例(0.3%),ジアルジア症が1例(0.3%),クリプトスポリジウム症が1例(0.3%),サイクロスポーラ症が1例(0.3%)であった.CMV腸炎では,びらん・潰瘍性病変を84%で認め,特徴的とされる打ち抜き潰瘍が50%でみられた.また,他の消化管感染症との合併が多く,28%で認めた.アメーバ性大腸炎は,CMVとの混合感染を48%で起こし,そのうち67%で3cmを超える潰瘍を形成していた.2012年6月〜2017年10月に行った229例392件の下部消化管内視鏡検査で診断された,HIV感染者におけるHPV関連病変は,91例(40%)239病変であった.肉眼形態は,239病変のうち96病変(40%)は平坦型であった.この96病変のうち90病変(94%)が,NBI併用拡大観察で“ドット状血管”,“不均一な分布”,“ネットワーク状血管”を呈し,存在診断に有用であった.

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要旨●過敏性腸症候群(IBS)は機能性消化管障害の一つであり,“腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する状態”と定義されている.またIBSの一部で感染性腸炎後に発症する群(PI-IBS)や小腸内細菌異常増殖(SIBO)がみられる群が指摘されている.腸管感染症やSIBOは,客観的に感染病原体や増殖細菌を確認することで診断される診断名であるが,IBSは主に症状から診断される症候群であり,病名に少々混乱があると思われる.いずれにしてもIBSの一部に,PI-IBSやSIBOを合併するIBSがあることは明らかで,今後これらの病態を区別しながら,新たな概念の構築や治療法の開発が望まれる.

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要旨●エロモナス腸炎は,Aeromonas属(主にAeromonas hydrophilaおよびAeromonas veronii biovar. sobria)による感染性腸炎である.水様性下痢や腹痛を起こすが,多くは軽度で自然に改善するため,一般的にはあまり認識されていない.しかし,下痢が長期間持続する患者や,免疫力の低下した患者では重症化することもあり,注意を要する.今回筆者らは下部消化管内視鏡を施行したエロモナス腸炎28例を対象とし,内視鏡像を後ろ向きに検討した.①上行〜横行結腸の帯状潰瘍,②下行〜S状結腸の縦走潰瘍,③直腸から連続する発赤・浮腫・粘膜粗糙・血管透見低下が特徴的と考えられた.特徴的な内視鏡像を参考にし,慢性例・重症例に注意しながら診療することが望ましいと考えられた.

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要旨●患者は70歳代,男性.201X年1月に,腹痛を主訴に近医を受診し,腸閉塞の疑いで当院に紹介され入院した.原因診断目的で経肛門的小腸内視鏡検査を施し,回腸に吸着する5mm程度の寄生虫を認めた.内視鏡的にこれを除去したが,約1年後,同患者が血便を主訴に再受診し,空腸から再び4隻の寄生虫を摘出した.虫体はすべてCorynosoma属に同定された.本属の人体感染は北海道で相次いでおり,急性腹症の診察時に注意を要する.

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要旨●患者は40歳代,女性.右下腹部痛の精査目的で大腸内視鏡検査を行ったところ,上行結腸に虫体を認めた.内視鏡的にはアニサキスやその他の寄生虫との鑑別に難渋したが,虫体の標本を作製したところ,形態と特徴的な虫卵を認めたため鞭虫症と診断した.

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要旨●[症例1]患者は54歳,男性.半年間持続する水様下痢,約10kgの体重減少を主訴に当科入院.十二指腸第2部から終末回腸にわたる全小腸に,白色絨毛を伴う浮腫状粘膜をびまん性に認め,生検病理所見で粘膜固有層内に多数のPAS染色陽性泡沫状マクロファージを認めた.Whipple病が強く疑われ,診断的治療目的にCTRXとST合剤を投与し,著明な改善傾向を認めた.[症例2]患者は50歳,男性.3か月間持続する水様下痢と約25kgの体重減少を主訴に当科入院.十二指腸を含む全小腸にびまん性の白色絨毛と粘膜浮腫を認め,十二指腸と小腸から採取した生検病理所見,電子顕微鏡所見とPCR法により確定診断した.CTRXとST合剤の投与により著明な改善傾向を認めた.

早期胃癌研究会

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 2016年12月の早期胃癌研究会は2016年12月21日(水)に笹川記念会館2F国際会議場で開催された.司会は入口(東京都がん検診センター消化器内科)と山野(札幌医科大学医学部消化器内科学講座内視鏡センター),病理は味岡(新潟大学大学院医歯学総合研究科分子・診断病理学)が担当した.画像診断教育レクチャーは,海崎(福井県立病院病理診断科)が「臨床医が知っておくべき病理 その2【胃】A型胃炎と胃カルチノイド」のテーマで行った.

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 岡部治弥先生は大分県出身.臼杵中学(四修;旧制五年制中学を4年で修了し,飛び級高校進学),福岡高校を経て,1946年九大医学部卒,同年に九大第二内科(楠内科;楠五郎雄教授)に入局されています.1951年,血漿プロトロンビン値に関する研究で博士号を取得され,その後,2年間アメリカ留学,故 勝木司馬之助先生の下で講師,助教授を務められ,1971年1月に北里大学内科教授として赴任されました.

 北里大学医学部に赴任された後の諸事項は,西元寺先生が執筆されますので,私は主として,九大二内科時代の消化器研究室時代にご指導を受けた8年間(1963〜1970)の事項を中心に記載し,追悼の辞に代えたいと思います.

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 岡部治弥先生は,昭和45年に北里大学に新設された医学部の教授として赴任されました.新しい医学部,病院の創設に全国から集まった先生方と議論を重ねたと聞いています.当時,全国で巻き起こった青医連運動で問題提起された医局講座制の解体を踏まえ,各科間の壁の消失などを実現する新しい医学部,病院の創立を目指されました.結果,内科は一つ,臨床と基礎が同時に講義される,器官系別総合講義などの新しい試みが行われました.岡部先生は内科の責任者として,後には副院長として新しい診療体系の確立に努力され,後に新設された北里大学東病院,初代院長として奮闘されました.病院長としては,職員皆に慕われ,愛されたことは皆の一致するところです.診療面では内視鏡室長であった比企能樹先生とともに内科,外科の連携を重視されました.岡部先生にいつも言われていたのは,臨床医が最も心がけるべきことは,一例一例の患者さんを大切にすることであり,これが研究にも結びつくのだという言葉でした.九州大学時代のいくつかの業績,「多発性小腸潰瘍症」「悪性サイクル」なども,この姿勢の結果生まれたものでしょう.岡部先生の指示は研究のための研究ではなく,臨床のための研究であり,早期胃癌や消化性潰瘍の膨大な資料をまとめたのもよい思い出となっています.また,基礎医学教室との連携のため,多くの若い人(主として大学院生)を,病理学,生化学,薬理学で研究させ,その結果を臨床に反映させるという体制を構築されました.また,早くより,内視鏡を応用した研究を教室員に命じ,内視鏡治療の必要性を強調されていました.振り返ると消化器内科の基礎研究はほとんど岡部先生が確立され,われわれは,これを忠実に実行したにすぎないかもしれません.ただ,内視鏡診断,治療の面で世界的に活躍する若手が輩出されたことは,誇るべきことと考えています.消化管の形態診断学は消化器病学の基本と考えられ,九州大学時代から,力を注いで来られました.「胃と腸」誌は教室員が最も重視する雑誌で,岡部先生も晩年まで愛読されたと聞いています.病理学との協調研究で生まれた,藤原・八尾論文(胃と腸 6:157-174,1971)を凌駕するものは,その後見たことがありません.野球やゴルフ(その腕前は知りません)はもちろん,教室の飲み会では大活躍をされ,荒れる消化器内科忘年会も,その基礎をつくったのも岡部先生でした.教授としては,決してヒエラルキーの頂点にあるのではなく,われわれ下の者は好きに働き,また時々教授を批判することもありましたが,これらをすべて許していただきました.岡部先生は患者さん全体を診るのが内科医の務めと言うておられましたが,それぞれの分野の進歩は目覚ましく,臓器別に分かれていったのは,当然のことであったような気がします.こんなとき,岡部先生がどのような医師を造られたかは,私の興味のあるところです.他人に愛され,90有余年の生涯,いろいろ教えていただき,感謝の気持ちでいっぱいです.

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目次

欧文目次

「今月の症例」症例募集

早期胃癌研究会 症例募集

学会・研究会ご案内

次号予告

編集後記 江頭 由太郎
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 腸管感染症(感染性腸炎)の診断は最終的に,微生物学的検査により確定されることが多いが,内視鏡所見や臨床所見から原因微生物が推測可能な場合や,確定診断にまで至れる場合も少なくはない.また,腸管感染症はしばしば他の炎症性腸疾患,特にIBD(inflammatory bowel disease)との画像診断での鑑別が問題となり,両者の鑑別に苦慮する症例もまれではない.IBDの正確な診断と適切な治療のためには,腸管感染症の画像診断に精通していることが必要不可欠である.前回「胃と腸」誌で腸管感染症が取り上げられたのは,10年前の43巻11号「感染性腸炎─最近の動向と知見」(2008年)である.この間,腸管感染症の内視鏡像を主体とする画像所見の集積が進んでおり,また,腸管スピロヘータ症やエロモナス腸炎などの疾患が新たに注目されている.

 本号は斉藤(市立旭川病院消化器病センター),清水(大阪鉄道病院消化器内科),江頭(大阪医科大学病理学教室)の3人で企画を進めた.企画の目的は,最近注目されている疾患を含めた腸管感染症を再整理して,画像所見や臨床像を中心に解説してもらい,腸管感染症,ひいては炎症性腸疾患の診療に貢献することである.

基本情報

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胃と腸
53巻4号 (2018年4月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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