疾患の頻度と概念の変遷
近年,本邦で徐々に増加している疾患が好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis ; EoE)である.筆者が初めてこの疾患を知ったのは,2005年5月にシカゴで開催された第106回米国消化器病週間である.本疾患は,アレルギー,特に食物アレルギーが関与する疾患であり,成人だけではなく小児にも認められ,狭窄のため嚥下障害を来す疾患であることに驚かされた.
日本に帰り,早速,PubMedでEoEをキーワードに検索をかけると,既に1960年代から海外では報告がなされていたが,当初は好酸球性胃腸炎(eosinophilic gastroenteritis ; EGE)の食道病変としての報告であった1)〜5).EoEとしての最初の報告は,1978年のLandresら6)の心窩部痛を主訴として受診した44歳,男性例で,食道内圧検査でvigorous achalasiaと診断された症例に合併したものとされている.EGEの一病変として好酸球浸潤が食道に起こることは,Landresら6)の報告の1年前,1977年にDobbinsら2)が報告している.