胃と腸 52巻7号 (2017年6月)

今月の主題 胃潰瘍は変わったか─新しい胃潰瘍学の構築を目指して

序説

胃潰瘍の変遷─病態と形態 春間 賢
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はじめに

 上部消化管疾患の頻度や形態は大きく変わりつつある.以前は,萎縮性胃炎や消化性潰瘍が多かったが,最近では,逆流性食道炎や機能性ディスペプシア,十二指腸炎などの疾患が著しく増えている.胃ポリープについても組織形態の変化が認められ,萎縮性胃炎を背景に発生していた腺窩上皮過形成性ポリープから,萎縮と炎症のない胃粘膜に発生する胃底腺ポリープへと変化している(Fig.1).その背景には,Helicobacter pylori(H. pylori)感染率の低下1),食生活を中心としたライフスタイルの欧米化,高齢者人口が増加したことなどが関与している.特に,H. pylori感染率の低下とNSAIDs(non steroidal anti-inflammatory drugs)や低用量アスピリン,さらに,抗血栓薬や抗凝固薬による薬剤の影響は大きく,胃潰瘍の発生頻度のみならず,その発生部位と形態のほか,萎縮性胃炎や胃癌,逆流性食道炎,胃ポリープなどの,多くの疾患の発生頻度や形態像に影響を与えている.そこで,本特集号では胃潰瘍を取り上げ,「胃潰瘍は変わったか─新しい胃潰瘍学の構築を目指して」と題して,胃潰瘍の病態と形態の変化について,多くの画像とともに論じられている.

 胃潰瘍は慢性消化性潰瘍と呼ばれていたように,胃酸分泌がその発生に強く関与し,易再発性の疾患で,時に難治化することがあった.しかしながら,H2受容体拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)などの強力な胃酸分泌抑制薬の開発と,胃潰瘍の再発予防のためにそれらの薬剤の維持療法が行われ,さらに,H. pylori除菌療法が普及し,胃潰瘍は難治・再発性の疾患ではなくなってきた.

 本特集号では,H. pylori感染の有無で大きく潰瘍の病態を分けているが,H. pylori感染率が著しく減少しつつある現状では,H. pylori関連胃潰瘍についての論文は貴重な内容と報告となる.H. pylori起因潰瘍に変わって増加してきたのは,薬剤に起因する胃潰瘍であり,基礎疾患を有する高齢者の増加によりその頻度も増加してきたが,最近ではPPIによる予防が普及し,その頻度も低下しているようである.一方,まれではあるが,H. pylori除菌後に胃潰瘍が発生することがあり,さらに,H. pylori感染が陰性で,薬剤の既往歴もない,これまでの胃潰瘍の発生論では論じることができないような胃潰瘍も経験されるようになってきた.さらに,胃潰瘍に類似した潰瘍型胃癌,梅毒や結核,サイトメガロウイルスなど感染症による胃潰瘍も忘れてはならない.H2受容体拮抗薬やPPIが使用されるまでは,難治性の繰り返す胃潰瘍や十二指腸潰瘍は胃切除術の対象であった.また,出血性消化性潰瘍に対する内視鏡的止血術が普及し,胃切除術も減少している.したがって,吻合部潰瘍に出会う機会も少なくなっているようである.

 本特集号では,H. pylori陽性潰瘍が激減している状況下で,歴史的背景を考慮し,H. pylori関連胃潰瘍と吻合部潰瘍について,common diseaseとなった薬剤起因性胃潰瘍,徐々に増加しているH. pylori除菌後の胃潰瘍と非H. pylori・非薬剤性の胃潰瘍,胃潰瘍の形態を示す胃癌などの腫瘍性病変,さらに小児の胃潰瘍については,胃潰瘍の将来像を考えるうえで重要な課題であり,それぞれ,症例経験が豊富で,胃潰瘍の発生病態に通じた先生方が執筆してくれている.主題症例としては,悪性リンパ腫様の形態を呈した良性潰瘍例,良性潰瘍との鑑別が問題となったびまん浸潤型胃癌例,多彩な胃病変を認めたサイトメガロウイルス感染や胃梅毒に伴う胃潰瘍症例を取り上げ,さらには,今後増える可能性がある,Helicobacter heilmannii感染による胃潰瘍をノートとして取り上げている.

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要旨●当院で経験した胃潰瘍切除15例の検討により,次のような結果を得た.①30年間で切除症例は明らかに減少した.②高年齢層の男性に多く,深さはUl-IVの潰瘍が77.8%を占めた.③背景粘膜の組織所見でHelicobacter pylori(H. pylori)胃炎を疑う症例が多く,菌体は40%の症例で確認した.④除菌後の2例では萎縮や好中球浸潤はなく,軽度の慢性炎症細胞浸潤を認めた.また,近年非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)潰瘍をはじめ,薬剤による潰瘍や粘膜の変化が増加しており,特にNSAIDs潰瘍の組織像とプロトンポンプ阻害薬(PPI)による胃粘膜の変化について述べた.

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要旨●今回H. pylori関連性胃潰瘍207例を対象に臨床病理学的に検討を行った.結果は男性が全体の69.1%(143人),症状としては無症状が88人(42.5%)を占めた.潰瘍の中で単発潰瘍が全体の75.8%(157例)を占め,類円形を呈し,好発部位は胃角部小彎と胃体上部後壁であった.背景粘膜としては,内視鏡的萎縮境界近傍と萎縮領域ですべての潰瘍が発生していた.また萎縮の進展に伴い発生部位は異なり,萎縮の進展と潰瘍の発生部位に密接な関係が認められた.実臨床では萎縮境界の把握と大井らが注目した潰瘍発生論を理解しておくことが肝要である.また出血リスク評価についてはスコアを用いることでリスクの評価,治療の適応を的確に判断できることが示唆された.

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要旨●Helicobacter pylori(H. pylori)除菌は明らかな消化性潰瘍再発予防効果を認めるものの,除菌成功後にもわずかながら潰瘍の発生,再発を認める.その原因はH. pylori再陽性化によるH. pylori潰瘍とH. pyloriに起因しない非H. pylori潰瘍の2つに分かれ,後者は薬剤性潰瘍とりわけアスピリンを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)潰瘍が大部分を占める.また,原因を特定できない特発性潰瘍もまれながら存在し,その再発率は高い.再発潰瘍への対応としては,酸分泌抑制薬の投与に加え,H. pyloriの再検査,服用薬の確認など潰瘍の誘因を調べることが大切である.

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要旨●消化性潰瘍の成因にはH. pylori感染と非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が2大要因として知られている.NSAIDs起因性胃潰瘍の臨床的および内視鏡的特徴は,多発性で前庭部に好発し,出血性潰瘍が有意に多いことにある.また,NSAIDs起因性胃潰瘍におけるH. pylori感染率は非NSAIDs起因性胃潰瘍のそれより有意に低率であり,特に前庭部に発生するNSAIDs起因性胃潰瘍は胃体部に発生するものよりH. pylori感染率は有意に低率である.H. pyloriの持続感染により胃体部胃炎を生じ,萎縮性胃炎が進展し胃酸分泌が低下してくるためH. pylori感染者ではNSAIDs起因性胃潰瘍が発生しにくい状態と考えられる.消化性潰瘍診療ガイドライン2015改訂第2版によるNSAIDs起因性潰瘍の診療指針では,NSAIDsは可能ならば中止して抗潰瘍薬の投与を推奨し,NSAIDsの中止が不可能であればプロトンポンプ阻害薬あるいはPG製剤の投与を推奨している.一方,H. pylori除菌は潰瘍治癒を遷延させるとの報告があり,ガイドラインにおいても除菌を行わないよう提案している.

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要旨●非Helicobacter pylori(H. pylori)・非薬剤性潰瘍(特発性潰瘍)はわが国でも潰瘍全体の12%を占めると考えられ,患者背景や好発部位に注目し診療する必要がある.除外診断にガストリノーマ,Crohn病,感染などを確認する.また外傷や熱傷など身体的ストレスに加え,災害時ストレスも独立して潰瘍をひき起こすことが明らかとなった.災害時特殊環境下の出血性胃潰瘍は多発・胃体部発生も多いが,平常時の特発性潰瘍は胃前庭部〜十二指腸球部に多くみられ,動脈硬化性疾患を複数持つ患者がリスクとなり,難治・易再発を呈することもしばしばある.H. pylori除菌後(または自然除菌後)と,H. pylori未感染胃に発生する特発性潰瘍の違いに関しては報告が少なく,より大規模な検証が求められる.

小児の胃潰瘍 中山 佳子
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要旨●小児の消化性潰瘍は比較的まれな疾患であり,胃潰瘍に対して十二指腸潰瘍は1.5〜10倍多いとされる.H. pylori感染症以外の胃潰瘍の原因は二次性潰瘍が多く,感染症,Zollinger-Ellison症候群などの酸分泌亢進性,好酸球性胃腸炎などのアレルギー性,NSAIDsなどの薬剤性,ストレス性などがある.急性胃粘膜病変は,頻回の嘔吐と消化管出血を伴う急性腹症として発症し,年少児においてはH. pylori初感染のことがある.小児においても上部消化管内視鏡検査は胃潰瘍の診断に有用であり,特に粘膜生検による病理組織学的な原因精査が重要である.

吻合部潰瘍 野村 幸世 , 春間 賢
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要旨●吻合部潰瘍は胃切除が施行されるようになって以来,比較的多い術後晩期合併症とされてきた.しかし,潰瘍に対する手術が減り,吻合部遠位側にできるとされる狭義の吻合部潰瘍は減っていると思われる.これに対し,胃癌術後の長期生存例は増加している.この場合,胃粘膜萎縮が進み,かつ,迷走神経がリンパ節郭清により切断されており,低酸のことが多い.また,高齢となりNSAIDsを服用する機会が増え,吻合部よりも近位の広義の吻合部潰瘍が増加している.この場合,H. pyloriの除菌が吻合部潰瘍の治療として効を奏することもあり,吻合部潰瘍の原因を考えて治療をすることが肝要である.

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要旨●国民総除菌時代となり,H. pylori感染症に隠れ見逃されてきた胃感染症のひとつにH. heilmannii(ハイルマニイ菌)感染症がある.この菌は,HHLO,NHPHなどの呼称があり,いくつかの種から成るが,ヒトにおいてはその主体はH. suisと,狭義のH. heilmanniiである.人獣共通感染症でありイヌ,ネコなどの伴侶動物(ペット)およびブタが自然宿主と考えられている.ヒトに感染するH. heilmannii(広義)についてはウレアーゼ陰性菌が多いことから,迅速ウレアーゼテスト,尿素呼気試験では陰性あるいは弱陽性となり,H. pyloriに対する抗体にも陰性になることが多い.H. pylori陰性胃潰瘍を含めたH. pylori陰性胃疾患患者のなかにPCR法によるH. heilmannii陽性症例が見出された.その特徴は,軽度の前庭部胃炎を呈する症例が多いことだが,難治性胃潰瘍症例にも認められ,今後の陽性症例の集積,解析が必要である.

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要旨●患者は70歳代,男性.急性心筋梗塞にてステント治療を受け,その3日後から上腹部痛が出現した.初回EGDでは,胃角上部の前壁小彎に潰瘍性病変を認めた.悪性所見に乏しく,抗血栓療法施行中のため鉗子生検を行わずに終了し,PPIを投与した.6週間後の第2回EGDでは潰瘍性病変は縮小し,白苔の周囲に再生上皮がみられた.初回より12週間後の第3回EGDでは白苔は消失し,瘢痕部は全体にやや隆起し,その周囲に褪色調粘膜と不整形陥凹を認めた.また,前回まで異常を認めなかった前庭部に伸展不良がみられた.鉗子生検ではGroup 5(sig)と診断された.胃X線造影では胃の遠位側を中心とした広範な硬化像がみられ,びまん浸潤型胃癌と考えられた.外科手術を施行したが非治癒切除となった.

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要旨●患者は70歳代,男性.心窩部不快感で前医を受診し,上部消化管内視鏡検査(EGD)を施行したところ胃穹窿部に潰瘍性病変を認め,精査加療目的に当院に紹介され受診となった.当院のEGDでは胃穹窿部大彎に25mm程度の辺縁隆起を伴う潰瘍性病変を認めた.潰瘍辺縁は整で,蚕食像は認めず,脱気で変形する比較的軟らかい病変であり,悪性リンパ腫と診断した.生検結果は良性潰瘍の診断で,悪性リンパ腫の所見は認めなかった.腫瘍を疑う所見は認めず,良性潰瘍との診断であった.以後は約6か月ごとに経過観察の上部内視鏡検査を施行し,年に1回は生検を施行しているが,現在まで,病理結果はすべて良性潰瘍の診断である.

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要旨●胃梅毒の原因となる梅毒感染は増加傾向にあり,特徴的な内視鏡像やX線造影像の理解は,診断や多疾患との鑑別に重要である.典型例と考えられる自験例を提示し,既報の文献的考察を加えて,画像所見について述べる.本症例は20歳代,男性.心窩部痛を主訴に受診,EGDで胃前庭部を中心に不整なびらん,多発潰瘍を認め,膿汁の付着と軽度の壁硬化所見を認めた.胃X線造影検査では,同部位を中心にバリウムの付着ムラと軽度の伸展不良所見を認め,漏斗状狭窄を呈した.画像所見より胃梅毒を疑い,血液学的検査で梅毒抗体が陽性,組織生検により病理学的に梅毒スピロヘータを確認し,診断しえた.アンピシリン内服加療により内視鏡的所見も改善した.

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要旨●患者は50歳代,男性のHIV感染者.CD4低値のため,上部消化管内視鏡検査を施行したところ,胃噴門部〜胃体上部小彎に不整形のびらん,胃体下部大彎に小発赤隆起,胃前庭部小彎には打ち抜き潰瘍といったさまざまな形態の病変を認め,いずれの生検からも免疫組織化学的にサイトメガロウイルス(CMV)陽性細胞を認めたため,CMV胃病変と診断した.

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要旨●患者は50歳代,男性.1年前に鉄欠乏性貧血がみられ,上下部消化管内視鏡検査で多発大腸憩室を指摘されていたが,黒色便と高度の貧血で再度受診した.腹部CT検査で近位空腸に石灰化巣を伴う径約3cmの輪郭明瞭な腫瘤が認められ,造影CT検査のdynamic studyでは動脈相から濃染された.小腸X線造影検査ではTreitz靱帯から約30cmの近位空腸に内腔を占居する長径35mmの表面平滑な半球状隆起を認め,隆起の口側にはさらに径約10mmの半球状小隆起を伴っていた.小腸内視鏡検査では管腔内を占居する大きな粘膜下腫瘤があり,口側には粘膜が脱落した小隆起を伴っていた.生検では確定診断できず,腹腔鏡下空腸部分切除術が行われた.腫瘤は粘膜下主体に漿膜下層まで発育する紡錘形の腫瘍細胞より構成されており,免疫組織化学染色の結果,GIST(gastrointestinal stromal tumor)と診断した.本例は管内発育が主体の腫瘤であり,口側に粘膜が脱落した小隆起を伴っていた点でGISTとしては非典型的な形態を呈した病変であった.

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欧文目次

「今月の症例」症例募集

早期胃癌研究会 症例募集

学会・研究会ご案内

次号予告

編集後記 長南 明道
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 「胃潰瘍は変わったか─新しい胃潰瘍学の構築を目指して」と題する本特集は春間,赤松,長南の3人が担当し企画した.春間が序説で述べているように,本号では,H. pylori陽性潰瘍が激減している状況下で,H. pylori関連胃潰瘍と吻合部潰瘍,common diseaseとなった薬剤起因性胃潰瘍,徐々に増加しているH. pylori除菌後の胃潰瘍と非H. pylori・非薬剤性の胃潰瘍,さらに胃潰瘍の将来像を考えるうえで重要な小児の胃潰瘍などについて,13名の先生方に鋭意執筆していただき,充実した内容となった.はじめに,太田らには「胃潰瘍の病理学的温故知新」と題して執筆していただいた.①胃潰瘍の臨床病理学的特徴や組織像,②H. pyloriに関連した背景粘膜,③H. pyloriと並んで現代の胃潰瘍の2大原因とされるNSAIDs潰瘍,④さらに近年知られるようになったPPIによる胃粘膜の変化について,病理の立場からわかりやすく述べられている.外山らには「H. pylori関連性胃潰瘍」を執筆していただいた.男性,無症状,単発,類円形,胃角部小彎/胃体上部後壁の潰瘍が多いこと,すべての潰瘍が内視鏡的萎縮境界近傍とそれより萎縮領域で発生しており,萎縮の進展と潰瘍の発生部位に密接な関係があること,さらに出血リスクおよび治療の適応評価についてはスコアが有用であることが述べられている.小野らには「H. pylori除菌後の胃潰瘍」を執筆していただいた.除菌後再発の原因として,①H. pylori再陽性化,②薬剤性潰瘍(NSAIDsなど),③特発性潰瘍の3つが挙げられ,潰瘍再発時のH. pylori再検査,服用薬確認など誘因検索の重要性が述べられている.鎌田らには薬剤起因性胃潰瘍の代表である「NSAIDs起因性胃潰瘍の臨床的特徴と治療」を執筆していただいた.NSAIDs潰瘍は胃前庭部に好発し,多発性で出血性潰瘍が多いこと,H. pylori感染者ではNSAIDs潰瘍が発生しにくいこと,消化性潰瘍診療ガイドライン2015(改訂版)ではNSAIDsの中止が不可能な場合はPPIあるいはプロスタグランジン製剤の投与が推奨される一方で,H. pylori除菌を行わないよう提案されていることが述べられている.菅野らには「非H. pylori・非薬剤性胃潰瘍」を執筆していただいた.種々の原因を除外した非H. pylori・非薬剤性胃潰瘍(特発性潰瘍)は胃前庭部に多くみられ,特に動脈硬化性疾患を複数持つ患者がリスクとなり,難治性・易再発性であること,災害時ストレスは胃潰瘍発生の独立した原因因子となり,胃体部に多く多発性で出血しやすいことなどが述べられている.中山には「小児の胃潰瘍」を執筆していただいた.小児でもH. pylori感染とNSAIDs潰瘍が主因であるが,それ以外のさまざまな原因による急性二次性の発症が多いこと,急性胃粘膜病変はH. pylori初感染の場合があることなどが述べられている.野村らには「吻合部潰瘍」を執筆していただいた.胃癌術後長期生存例の増加に伴い,胃粘膜萎縮が進み,かつ低酸のことが多く,吻合部より近位の“広義の吻合部潰瘍”が増加していること,H. pylori陽性の場合,時に除菌療法が効を奏することなどが述べられている.

 中村らには「Helicobacter heilmannii感染による胃潰瘍」を執筆していただいた.胃十二指腸潰瘍があるにもかかわらず,H. pyloriが培養陰性あるいはウレアーゼ活性陰性か弱陽性の場合はH. heilmannii感染を考慮する必要があることなどが述べられている.

基本情報

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胃と腸
52巻7号 (2017年6月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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