胃と腸 33巻8号 (1998年7月)

今月の主題 胃炎―Sydney SystemとHelicobacter pylori

序説

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1983年,オーストラリアのWarren1)が,慢性活動性胃炎を示す幽門腺領域に正体不明のらせん菌が棲息していることを報告した.当初,Cam-Pylobacter Pyloridis(のちにPylori2))と呼ばれたが,1989年,Helicobacter属と命名された3).右巻きのらせん菌体の一極に数本の鞭毛を持つグラム陰性桿菌で,束ねた鞭毛を時計方向へ回転させながら移動する様子がヘリコプターに似ていること,幽門腺領域すなわちピロルスの領域に多いことから,Helicobacter Pylori(H.Pylori)の名がある.

 H.Pyloriがクローズアップされたのは,機序はいまだに不明であるが,除菌によって消化性潰瘍の再発が大幅に抑制されることがわかったからである.その一方で,この細菌が急性4),慢性胃炎5)を発症させることから,H.Pyloriを加味して胃炎分類を試みたのが,1990年に提唱されたSydney System6)である.この分類が関心を集める第1は,特に慢性胃炎の分類が永年にわたって混沌としていたことが背景にある.

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要旨 慢性胃炎の病理学的研究および組織学的分類の歴史的変遷について概略した.慢性胃炎の研究は,第Ⅰ期:1940年代までのドイツ学派を中心とした,胃炎の形態的成り立ちの研究,第Ⅱ期:内視鏡所見との整合性を求め,初期の慢性胃炎の組織学的分類が行われた時期,第Ⅲ期:胃炎のaetiologyとtopographyを含めた分類と考え方が成立した時期,第Ⅳ期:Helicobacter Pyloriが同定され,その感染と胃炎との関係が論じられるようになった時期,に分けられる.そして,各時期の代表的な慢性胃炎に対する病理学的な考え方とその分類について述べた.その中で,わが国においても慢性胃炎の重要な病理学的研究があったことを忘れてはならない.

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要旨 1990年に提唱されたSydney Systemによる胃炎分類の利点と問題点について検討した.当教室員の,従来の内視鏡分類をSydney分類に当てはめると,よく対応した.更に,教室員にSydney分類による内視鏡所見の記載を求めたところ,胃粘膜所見を従来よりも注意深く観察するようになった.以上の結果とHelicobacter Pyloriと各種胃疾患との関連研究の重要性を考え合わせると,Sydney Systemによる胃炎分類は優れていることを認めざるを得ない.いくつかの問題点は残るが,まずは日本においてもSydney Systemを受け入れるべきと考える.

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要旨 1983年のHelicobacter Pylori(Hp)発見を契機にして,胃炎を病因から分類しようとするSydney Systemが1990年に提唱された.6年間の応用後,1996年に改訂された.その基本姿勢は,HP,炎症(慢性炎症細胞浸潤),活性(好中球浸潤),萎縮,化生(腸上皮化生)の出現程度,更にそのほかの組織所見とそれらの胃内分布から,胃炎の病因を明らかにしようとするものである.このSystemの狙いは,胃炎の組織診断・組織分類の再現性と臨床的有用性であり,これを通じて胃炎の国際比較を可能にし,胃炎とそのほかの胃疾患との相関を明らかにしようとする点にある.本稿では,現在のこのSystemのどこに問題点があるのかを述べる.本Systemがいくつかの改良を通じて,胃炎の世界的共通用語になることを期待したい.

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要旨 The Updated Sydney Systemが提唱したvisual analogue scaleの基準に従って,胃生検280症例530検体の評価を実践した.Hpの陽性率は70%であり,各組織学的要素との関係は既に報告されている結果と大略一致した.しかし,Hp陽性にもかかわらず好中球浸潤の認められない標本が全陽性検体の18%に認められ,このような標本の特徴とHp感染が成立困難な憩室の所見を総合的に考察すると,Hpの感染様式をfloating infectionとsticking infectionに大別する必要がある.活動性の炎症所見を呈するHp胃炎はsticking infectionの成立を必要としており,floating infectionからsticking infectionに移行する過程でHp以外の因子の関与が考えられる.

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要旨 Helicobacter pylori(H.Pylori)の胃内感染分布を診断しうる診断法であるフェノールレッド色素内視鏡の原理やテクニックを総説し,本法が胃内pHを変動させうる諸因子によって容易に誤反応を呈する可能性があることを述べた.本法によって知られた胃内H.Pyloriの分布状態やその局在を分類し,ことに胃粘膜萎縮とH.Pyloriの局在とのかかわりを臨床的に証明し,更に消化性潰瘍胃におけるH.Pyloriの局在についても述べた.

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要旨 従来,Helicobacter pylori(H.Pylori)感染胃粘膜に形態変化があるか否かは明らかにされていない。われわれは除菌による最も著明な変化は胃底腺粘膜のびまん性発赤と胃小区の浮腫様所見の消褪であることを観察してきた.そこで,今回は特に除菌後の胃底腺粘膜について発赤所見を中心に検討した.内視鏡的にみたびまん性発赤は除菌後3か月以内に計83.4%が消褪した.しかし,点状発赤の消失率は43.7%にすぎなかった.胃底腺粘膜の,びまん性発赤の程度と好中球浸潤の強さには有意な相関を認めた.また,客観的な発赤の指標としてHb indexを検討すると,H.Pylori陽性例の胃底腺粘膜においては高値を示し,除菌によって有意に低下した.これらの事実から,胃底腺粘膜のびまん性発赤はH.Pylori陽性の慢性活動性胃炎の極めて重要な指標であると考えられた.

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要旨 Helicobacter Pylori(H.Pylori)除菌に成功した長期経過観察80例を対象として,除菌前後の内視鏡的胃炎像の変化をSydney Systemに準じて検討した.その結果,胃体上部から胃底部にかけてみられる点状発赤の改善,粘膜ひだ肥厚の改善,結節性変化の改善,血管透見の明瞭化がH.Pylori除菌に伴う内視鏡変化と考えられた.血管透見の明瞭化については,組織学的な炎症所見の消失による2次的な内視鏡変化の可能性が推測された.

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要旨 萎縮性胃炎症例の大多数がHelicobacter Pylori(H.Pylori)陽性であり,H.Pyloriは萎縮の発症と進展にかかわる因子である.横断研究では,胃体中部小彎まで萎縮が拡大した症例群は,萎縮なしの症例群と萎縮が幽門部に限局する症例群に比べて,H.pylori陽性率が有意に高い.follow-up studyでは,H.Pylori陰性例で萎縮性胃炎の拡大がみられることはまれで,陽性例では年齢とは関係なくある時期急速に萎縮性胃炎が拡大することが示されている.疫学研究からH.Pylori感染の獲得時期を5歳未満と推定すると,胃体部中央小彎まで萎縮が拡大するのに感染後30年を要している.萎縮性胃炎の拡大過程は一律ではなく,H.Pylori以外の因子も関与すると考えられる.

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要旨 Helicobacter Pylori(H.pylori)の除菌により病理組織所見が改善することは周知の事実となっている.しかしながら,H.Pyloriの除菌が内視鏡所見を改善するか否かについては十分な検討が行われていない.今回,われわれは3年以上持続していた鳥肌胃炎がH.pylori除菌で改善した1例を経験したので報告する.患者は,32歳,女性.心窩部痛精査のため上部消化管内視鏡検査を施行し,前庭部に結節性過形成を呈する鳥肌胃炎(H.Pylori陽性)と診断した.3年前にも同様の内視鏡所見を認めていた.十分な説明と同意のうえ,H.Pylori除菌療法を施行し,短期間のうちに病理組織像とともに,自覚症状,内視鏡所見の著明な改善を認めた.

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〔患者〕70歳,男性.1996年10月初旬から嚥下時違和感が出現した.12月18日当科受診し,上部消化管内視鏡,細径超音波プローブ検査で粘膜下層に限局する食道リンパ管腫と診断し,1997年3月17日内視鏡的切除を施行後入院した.

〔内視鏡所見〕切歯から25~28cmの食道前壁側に壁の1/3周に立ち上がりなだらかで,表面は正常粘膜で覆われ結節状で透光性を有し,一部小出血部を伴う粘膜下腫瘍を認めた(Fig.1a, b,2).生検鉗子による圧迫では柔軟であった.この際の生検では病理学的診断は得られなかった.

症例からみた読影と診断の基礎

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〔患者〕66歳,男性.便潜血反応陽性を指摘された.

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〔患者〕50歳,女性.主訴:心窩部痛,黒色便.

早期胃癌研究会

1998年4月の例会から 𠮷田 操 , 長廻 紘
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 1998年4月度の早期胃癌研究会は4月22日(水),東商ホールで開催された.司会は𠮷田操(東京都立駒込病院外科)と長廻紘(群馬県立がんセンター)が担当した.ミニレクチャーは豊永純(久留米大学医学部消化器病センター)が「胃静脈瘤出血による内視鏡的治療およびB-RTO」と題して講演した.考え方,手技ならびに成績をわかりやすく解説した.また見事なビデオによる症例提示があり,堪能した.

 〔第1例〕56歳,男性.潰瘍瘢痕として経過観察され,リンパ管侵襲が著明であった0-Ⅱc型胃癌(症例提供:岐阜大学医学部附属病院放射線科 後藤裕夫).

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要旨 患者は54歳,男性.検診の上部消化管造影検査で食道に異常を指摘され近医を受診した.内視鏡検査で胸部上部食道右壁に病変を認めたが,生検の結果では明らかな悪性所見が得られず精査加療目的に当院に紹介入院となった.内視鏡検査では,表面全体が正常食道上皮で被覆され粘膜下腫瘍様の形態を呈し辺縁に周堤様隆起を伴う陥凹性病変を認めたが,ヨード染色で染色性を示した.生検組織で一部に上皮のびらんと炎症性変化を呈し,同部で扁平上皮癌を認めたため0-Ⅲ型食道表在癌と診断し,右開胸開腹胸部食道切除術RⅢを施行した.病理組織学的に0-Ⅲ型様病変は,上皮下に主座のある低分化型扁平上皮癌で濾胞形成を伴ったlymphoid stromaを特徴とした髄様型で,深達度sm2,infα,ly0,v0,n(-)と診断された.

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要旨 患者は30歳,男性.未分化型早期胃癌で,肉眼的に明瞭な陥凹の境界と組織学的な癌の浸潤範囲が小規模ながら一致しない例であった.そこで,画像および切除標本,病理組織所見の対比を行い,その微細所見を中心に総合的な病変構築を検討した.癌の組織学的な粘膜内浸潤形式をm-全層浸潤とm-非全層浸潤に分けると,切除標本上明瞭な陥凹部にほぼ一致してm-全層浸潤,陥凹辺縁の肛門側領域に中間層~表層を主体とするm-非全層浸潤が拡がっていた.m-非全層領域の画像および切除標本上の肉眼所見は,微細な凹凸変化を示し胃小区の粗大化様所見や不整網状陰影を呈していた.このような微細所見の検討は,癌の浸潤範囲の診断や微小癌の発見など画像形態診断を向上させるものと思われた.

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要旨 患者は67歳の男性.23年前に胃前庭部の早期癌で胃切除術(BillrothⅡ法再建術,結腸前,Braun吻合あり)を受けている。無症状であるが,残胃粘膜のスクリーニング検査を内視鏡で行い病巣を見い出した.X線像では残胃大彎にひだ集中を伴い,小フレッケが存在する微細で不整な小区模様を呈する陥凹性病変であり,内視鏡的には,境界の滑らかな陥凹で,色調はやや褪色し,表面は光沢を有していた.残胃全摘術を施行,病理組織学的に径1.6×1.6cm,Ⅱc,深達度mの印環細胞癌であった.本例の粘膜表層に浸潤する印環細胞癌は,分化度が高く,粘液を胞体に有し,間質内浸潤を主体として増殖し,被覆上皮は保たれていた.内視鏡上光沢のある滑らかなⅡc局面は,この組織学的特徴が反映されているものと思われた.

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要旨 患者は49歳,女性.子宮筋腫の診断で開腹したところ,S状結腸がびまん性に肥厚し,子宮と強固に癒着していたため外科転科となった.注腸でS状結腸に鋸歯状の全周性狭窄を認め,大腸内視鏡でも肛門縁から25cmに結節状の粘膜の変化を認めたが,生検では悪性所見はなかった.以上から,腸間膜脂肪織炎を疑い,低位前方切除術,単純子宮全摘術を施行した.摘出標本で子宮内部に子宮内避妊具(intrauterine device)を認めた.病理組織学的には,子宮筋層内にDruse(菌塊)の形成を認め,S状結腸には炎症性細胞浸潤が存在していた.以上から,子宮放線菌症がS状結腸に波及し,びまん性に狭窄を来したと診断した.

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要旨 径2mmの直腸印環細胞癌を経験したので報告する.患者は71歳,女性で貧血の精査目的で紹介された.大腸内視鏡検査で,Raに褪色した表面隆起型病変を認め,生検を施行.大きさは2mmであったが,粘膜内には印環細胞癌の増生が認められ,粘膜下組織にもわずかに浸潤していた.リンパ節郭清のため,低位前方切除術を行った。術前に点墨を行い,切り出した直腸の生検後組織を連続切片で検索したが,腫瘍の残存は認めなかった.しかし,1群リンパ節3個に転移を認めていた.

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欧文目次

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 多田正弘博士の力作の1つであろう「胃内視鏡治療―Strip biopsyの実際」の書評を引き受けることとなり,通読させていただいた.

 多田先生は竹本忠良名誉教授,沖田極教授の紹介を待つまでもなく,日本の消化器内視鏡の分野での逸材であり,広く消化器内視鏡の領域で,日本を代表する研究者の1人である.学会ではその発表を聞くことはあっても個人的にお話できるチャンスはあまりなかったが,3年ほど前であろうか,毎年1月に開催される

私たちの小さなサロン風のシンポジウムに招待した折,3日ほど御一緒する機会に恵まれた.この会は消化器内視鏡の最先端の話題について討論するもので,日本で比較的よく知られているDr.Classen,Dr.Sivak,Dr.Geenenに私が加わってオーガナイズしている.毎年15人ほどの固定メンバーに10人ほどのニューメンバーが討論に参加するが,発表後,約30分の討論に耐えねばならない.フロリダのオーランドで開かれ,発表のpriorityを尊重してproceedingを印刷することはない.しかし今では欧米の若い先生方にとって1つの登龍門と受けとめられていると聞く.

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 著者のDr.James ChurchはCleveland ClinicのDavid G.Jagleman遺伝性大腸癌センターの遺伝性大腸癌登録の解析をDr.David Jagleman亡き後,一手に引き受け,Leed castle polyposis group meeting,ICGHNPCC meetingなどで活躍している外科医である.この領域の造詣が特に深く,昨年のAmerican Society of Colorectal SurgeonでもProgram ChairmanとしてHereditary Colorectal Cancerのシンポジウムを主催している.

 私が1985年Cleveland Clinicのvisiting professeorとしてCleveland Clinicに滞在していたころにはDr.David Jaglemanがまだ健在で,そのころ彼はsenior surgeonだったので以来親しくおつきあい願っている.学問的にもいろいろ彼から教えられる点が多かった.

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 消化器癌の診断と治療は臨床医に課せられた重要な命題である.そのためには病変を忠実に表現する明快な画像を得る技術を修得すること,それを適正に読影する洞察力と経験がなければならない.本書が企画された経緯については,編者の1人である西元寺克禮教授の長い序文に述べられているが,最近軽視される傾向にある消化器癌の画像診断の基礎を再び世に広める目的で,北里大学内科グループの総力を傾注して完成したものである.“研究を重要視する大学病院では,消化器の画像を読影する基礎を伝授してもらえない……”,若い臨床医の嘆きの声を耳にすることが多いが,北里大学グループは伝統的に画像診断を重要視する,今どき珍しい教室である.

 あえて紹介するまでもなかろうが,北里大学内科は27年前に岡部治弥教授によって興され,消化器内科として常に学会を活性化させてきた功績の大きいグループである.現在は二代目の西元寺教授に受け継がれているが,画像診断にかける真摯さは他に類をみない教室である.X線・内視鏡・病理所見を詳細に対比することから始まり,典型的な癌の画像所見のポイントを窮めた後,非典型的な病変の診断へ応用する手順を頑ななまでに一貫しており,その独特の診断学は国内外から注目されている.

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 消化器領域の臨床で超音波検査が必須のものになったことは誰も異論のないところであろう.しかし,こと消化管については今日必要性,有用性いずれについても認知されているとは言い難い.この点は著者自身が本書の序に記しているとおりである.かつて消化管の超音波診断(例えば潰瘍の超音波所見の検討といったようなもの)については診断機器の精度の問題もあり学会レベルでも厳しい評価がなされることが一般的であった.かくいう私も正直なところ消化管に対してはごく限られた疾患以外役に立たないと考えた時期がある.著者がその当時から一貫して超音波による消化管診断の可能性について主張し続けてきたことは注目すべきであり,パイオニアと言っても過言ではなかろう.今日多くの消化管疾患にとって超音波検査が役立つことは本書に示されたとおりで,筆者も現在は消化管の日常診療で超音波を大いに活用している.

 著者らのこの領域での先駆者としての自信のほどは,豊富な経験症例の呈示にも見てとれる.胃十二指腸潰瘍,回腸炎,大腸炎,虫垂炎,消化管腫瘍,ヘルニア,腸閉塞,そのほか様々な典型的超音波所見が示されている.しかし著者の自信は,何よりも消化管超音波診断法についての主義主張が明確で説明に迷いがない点に最もよく現れている.

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 著者は大学院生のときに出会った1枚の脳の正中矢状断像のすばらしさに感動しMRIを職業にしようと決心,企業で体動補正や心臓用のパルス系列の開発に携わった経歴を持つ.

 本書は,物理学はおもしろい! あるいはおもしろくできるという信念を持つ著者が,まだまだ未知の領域を有するMRI物理学を1人でも多くの人に理解してもらおうと企画したものである.

編集後記 渡辺 英伸
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 Sydney Systemは,胃炎の国際比較ばかりではなく,胃炎とそのほかの胃疾患との関連を解明するためにも,有用な胃炎分類法である.しかし,依然として,問題点を含んでいる.特に,内視鏡分類と組織分類(また,組織項目のgrading)との対応は不完全で,これらの点は既に日本人の手によって解決されているべきであった.しかし,本号をみる限り,これら問題点の解決に向けて,日本でようやくエンジンがかかってきたという感がする.除菌後の内視鏡所見(改善・不変・増悪など)が指摘されているが,それらがどのような組織学的所見(Helicobacter Pylori,胃酸・ペプシン,血管透見像は真の萎縮か,など)に起因しているのか,更に詳細に一対一で分析されるべきであろう.本号で,Sydney Systemの利点と問題点は明らかにされた.それを頭に入れたうえで,このSystemを運用しながら前述の課題と問題を解明することが,今,望まれている.

基本情報

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胃と腸
33巻8号 (1998年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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