胃と腸 33巻10号 (1998年9月)

今月の主題 腸管子宮内膜症

序説

腸管子宮内膜症 斉藤 裕輔
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大腸疾患における注腸X線検査と内視鏡検査の役割

 大腸内視鏡検査は診断技術の進歩もさることながら,機器の飛躍的進歩により,表面型大腸腫瘍をはじめとして多くの大腸疾患の診断,特に粘膜微細病変の診断においてその有用性は確立しており,この点で明らかに注腸X線検査を凌駕している.一方,注腸X線検査は病変の全体像を把握し,他臓器との関係の客観的な描出が可能であるという外観撮影としての有用性から,腫瘍の診断においては内視鏡で全体像の観察が不十分となるような大きな病変,腸管の狭窄を伴うような病変の診断において必要となる.炎症性腸疾患においては病変の配列(病変が縦走配列か,横走配列かびまん性配列かなど)や発生位置〔腸間膜付着側かその対側か,結腸紐(taenia coli)との関係〕などから内視鏡検査単独では得られない情報を提供してくれる1).更に粘膜,粘膜下層,固有筋層,漿膜下層,漿膜,漿膜外と腸管壁における層ごとの診断が可能であることから,粘膜下以下に主座を有する病変の診断においては内視鏡診断能を明らかに凌駕していると思われる.今回,本誌で初めて主題として取り上げられる“腸管子宮内膜症”はその診断に注腸X線検査が大いに役立つ疾患の1つである.

主題

腸管子宮内膜症の病態 小平 進
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要旨 子宮内膜組織が異所性に腸管壁に増殖したものが腸管子宮内膜症である.本症が全子宮内膜症に占める率はそれほど多くないが,腸管の中では直腸・S状結腸に発生するものが大部分である.消化管症状を訴える性成熟期後期の女性においては注意を要する疾患で,月経・妊娠歴など婦人科的問診が大切である.診断面でもX線・内視鏡的検査において,悪性腫瘍,炎症性腸疾患などとの鑑別が困難なことがある.また,本症の癌化例があることにも注意を要する.治療としては病巣部の腸管切除が多く行われるが,子宮全摘・両側附属器摘除も同時に行う根治手術については,患者の年齢,妊娠の希望の有無など諸要因を考慮して選択を行わなければならない.

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要旨 過去23年間に経験した腸管子宮内膜症13例について述べた.13例中10例(76.9%)で直腸からS状結腸に認められ,最も頻度が高かった.ほかには虫垂に2例,小腸に1例で認められた.5症例で注腸検査を施行され,腸管子宮内膜症の特徴的な所見として,①直腸RsからS状結腸の前壁主体とした偏側性の陰影欠損像,②腸管の長軸方向に垂直な幅4~5mmのひだ(transverse ridging),③cobblestone様顆粒状変化を認めた.腸管子宮内膜症の診断には臨床経過,症状から診断されることが多いが,注腸X線検査,大腸内視鏡検査の所見も特徴的な所見を呈することがある.

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要旨 子宮内膜症に起因する腸管の肉眼形態変化とその成因となる組織所見,および腸管子宮内膜症の病理診断について検討・考察した.腸管の肉眼形態変化の中で,狭窄と(粘膜下腫瘍様)隆起の一部は,子宮内膜組織が固有筋層に進展することにより生じ,筋層の変形(アーチ状屈曲と肥厚)がその主たる形成要因になると考えられた.潰瘍・びらん,発赤粘膜など粘膜面の変化は,子宮内膜組織が粘膜下層以浅に進展することにより生じ,粘膜内に子宮内膜組織が進展することでそれらの所見を呈する場合は,上皮性腫瘍様隆起を随伴する.子宮内膜症の病理診断に際しては,子宮内膜組織に特有な上皮と問質成分の同定に努めると同時に,vimentin,EMA,estrogen receptor染色などの免疫組織化学が有用と考えられた.

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要旨 腸管子宮内膜症の2例に超音波内視鏡検査を施行した.〔症例1〕は46歳,女性.月経時腹痛,血便を主訴に来院し,大腸内視鏡検査で遠位直腸に表面にびらんを形成する隆起性病変を認めた.〔症例2〕は41歳,女性.月経時血便を主訴に来院し,大腸内視鏡検査で遠位直腸に頂部が発赤した立ち上がりなだらかな隆起性病変を認めた.いずれも生検により腸管子宮内膜症と確診された.超音波内視鏡像は両症例とも第4層以深に主座を有する比較的均一な低エコー腫瘤として描出され,癌腫とは明らかに異なっていた.癌腫との鑑別診断において超削皮内視鏡は有用であったが粘膜下腫瘍,転移性癌との鑑別は現段階では困難である.本邦報告例中超音波内視鏡所見記載例の検討を加え報告する.

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要旨 患者は,38歳,女性.36歳時,当院婦人科で左卵巣子宮内膜症のため子宮付属器切除術施行.術後1年後から,月経周期に一致する下血を主訴として当科紹介.注腸造影検査では,直腸Rs部前壁側からの片側性圧排像とtransverse ridgingを認めた.大腸内視鏡検査では,直腸S状部の粘膜面に一部発赤を伴った管腔の1/2周を占める粘膜下腫瘍様隆起と伸展不良を認めた.画像所見から腸管子宮内膜症を考え,6か月間ホルモン療法を施行し症状は改善した.

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要旨 無症状の31歳,女性の直腸とS状結腸の2か所に粘膜下腫瘍様所見を呈した腸管子宮内膜症を経験した.注腸X線,内視鏡検査に加えて,超音波内視鏡,MRIなどの所見を合わせて術前診断することによって,病変の局在を明確にするとともに,本症の確定診断を下すことができた.本症は腸管内に多発することも少なからずある.本症は病悩期間も長く診断困難例も少なくないため,取り残しのないよう,多発病変を看過しないように努めるべきである.

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要旨 LH-RHアナログを用いたホルモン療法を施行し,経過観察を行いえたS状結腸子宮内膜症の2例を経験した.2例ともに子宮内膜組織のS状結腸粘膜面への露出はみられず,画像所見上は漿膜側からの圧排,浸潤所見であった,また生理周期に一致した下血を認めなかった.ホルモン療法を施行した結果,2例ともにS状結腸漿膜筋層側を主座とする子宮内膜組織が萎縮したと考えられる画像所見の改善を認めた.ホルモン療法単独では再発率も高く,今後の厳重な経過観察が必要と考えられた.

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要旨 患者は28歳,女性.嘔吐,腹痛を主訴に来院し,腸閉塞の診断で入院した.注腸X線検査で回盲部の偏位と盲腸の平滑な陰影欠損,および終末回腸の伸展不良がみられ,内視鏡検査では盲腸に皺襞の腫大を伴う偏側性の管外性圧排と管腔狭小化を認めた.臨床像とX線・内視鏡所見から子宮内膜症を疑い,回盲部切除術を施行した.切除標本では終末回腸,盲腸,および虫垂遠位側が一塊となり,偏側性の粘膜下腫瘍様隆起を呈していた.組織学的には粘膜下層から漿膜にかけて子宮内膜腺と著明な線維化を認めた.腸管子宮内膜症は漿膜を主座とする疾患であるが,本症例は虫垂を含めた回盲部の癒着と線維化のため特異なX線・内視鏡所見を呈したと考えられた.

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要旨 患者は48歳,女性.大腸憩室症で近医で経過観察されていた.大腸精査目的で当院受診となるが,初診時の注腸造影では大腸憩室のみで腫瘍性病変は認めず,1年後の注腸造影で盲腸に粘膜下腫瘍様病変の出現をみた.更に3か月後の注腸造影で病変の増大を認めたため,手術を施行した.切除標本における病理組織学的所見で腸管子宮内膜症との診断を得た.本例は1年3か月間に腸管子宮内膜症の出現と増大を認め,その増大の原因として子宮内膜組織の増殖,経血によるヘモジデリン沈着,固有筋層の肥厚,線維化などが考えられた.

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要旨 大腸子宮内膜症にS状結腸癌を合併した極めてまれな症例を経験した.患者は52歳,女性で,以前に骨盤子宮内膜症で子宮全摘,両側卵巣切除を受け,S状結腸子宮内膜症を指摘されている.便潜血陽性,腹痛のため精査を受けたところ,S状結腸の著しい狭窄を指摘され手術を受けた.病理組織学的所見では,S状結腸子宮内膜症に共存する高~中分化腺癌の浸潤がみられ,組織像,浸潤様式からS状結腸予宮内膜症の癌化ではなく,S状結腸癌の合併と診断した.

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要旨 虚血性大腸炎を合併したS状結腸子宮内膜症の1例を報告する.患者は45歳の女性で,月経時に腹痛と下血で発症した.大腸内視鏡検査では下行結腸に縦走潰瘍と潰瘍周囲の発赤を伴う浮腫状粘膜を,また,注腸X線検査では下行結腸に管腔の狭小化と拇指圧痕像を認め,虚血性大腸炎と診断した.その後の注腸X線検査でS状結腸に粘膜下腫瘍を疑わせる腫瘤状陰影を,また大腸内視鏡検査ではS状結腸に約半周性の粘膜下腫瘤様隆起と粘膜ひだの収束像を認め,虚血性大腸炎を合併したS状結腸粘膜下腫瘍と診断し開腹術を施行した.術中所見で腸管子宮内膜症と診断され,虚血性大腸炎の発症への関与が示唆された.

主題症例をみて

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はじめに

 子宮内膜症とは子宮内膜組織が,子宮以外の臓器,組織に存在した状態で,病変が腸管に認められた場合は腸管子宮内膜症と呼ばれている.この疾患は最近,増加の傾向にあり,検診目的で施行された注腸X線検査や内視鏡検査で,異常を指摘されることも少なくない.しかし,本誌「胃と腸」で,今回,初めて腸管子宮内膜症が主題として取り上げられたことに示されるように,この疾患の画像がまとめて掲載された機会はなかった.だが,他誌を含め,本症の注腸,内視鏡,エコー,CT,MRIなどの画像も集積されつつあり,新しい画像診断を駆使した報告も散見される.

 この疾患では通常,病変の主座が粘膜より深層にあり,しばしば粘膜面にも及ぶ.そのため癌,種々の粘膜下腫瘍,転移性腫瘍,炎症性疾患などの鑑別診断が要求される.本症では病変の発生部位,病型と病期,炎症の浸潤の程度に応じて,様々な形態を呈する.そこで,本号で提示された10例の主題症例をみて,これに筆者の経験例を含めて,腸管子宮内膜症の臨床的な特徴,画像所見の特徴を述べる.

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 〔患者〕患者は78歳の女性.1996年8月中旬から,食欲不振と少量の下血を認めた.同年8月19日,当科を受診し,精査となった.

 〔胃X線所見〕胃X線背臥位二重造影像では,胃体下部から胃角部に,胃壁全周性の伸展不良を認める.この部に,大小不同で丸みのある胃小区が目立つ.これらは大彎側により強い.口側からひだが蛇行しながら集籏して,漸次この領域に移行している(Fig. 1a).

症例からみた読影と診断の基礎

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〔患者〕71歳,女性.主訴:嘔気.

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〔患者〕67歳,男性.主訴:便潜血(+)を主訴に来院.既往歴・家族歴に特記すべきことなし.

早期胃癌研究会

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 1998年6月の早期胃癌研究会は6月17日(水),東商ホールで行われた.司会は馬場保昌(癌研究会附属病院検診センター)と平田一郎(大阪医科大学第2内科)が担当した.ミニレクチャーは「クローン病の狭窄例に対する内視鏡的バルーン拡張術」として樋渡信夫(東北大学第3内科)が行った.

 〔第1例〕56歳,男性.0-Ⅱc型胃癌(症例提供:癌研究会附属病院内科 緒方伸一).

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 1998年7月の早期胃癌研究会は7月15日(水),東商ホールで行われた.司会は長南(JR仙台病院消化器内視鏡センター)と,多田(京都がん協会)が担当した.ミニレクチャーは中野浩(藤田保健衛生大学内科)が「Ⅱc病変のX線診断-撮り方と読影」について解説した.“淡い陰影斑の中の顆粒状陰影(Ⅱc)”のみごとなX線像を内視鏡,肉眼標本,病理組織像と対比しながら部位別に示していただき,大変勉強になった.

 〔第1例〕69歳,女性.広範囲浸潤を示した早期胃癌(症例提供:大阪医科大学第2内科 田中雅也).

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要旨 54歳,女性.糖尿病のインスリン治療中.健診のため内視鏡検査を受けた.食道下部のⅡa様隆起上の発赤斑からの生検は分化型管状腺癌であった.次の内視鏡検査ではこの隆起のほかに食道・胃接合線に接した胃噴門部小轡に小陥凹が認められ,X線像でも同様の所見が描出できた.生検で分化型管状腺癌が食道と胃に認められたので,胃全摘食道下部合併切除を行った.本例は切除標本の組織学的検査により,食道・胃接合部の噴門腺由来が証明できた極めてまれな癌であった.癌はEGJから食道側へ8mmの長さにわたって0-Ⅱa+Ⅱc+Ⅱb(8×6mm)の型で拡がり,胃側へ2mmの長さで0-Ⅱc+IIb(2×6mm)の型で拡がった食道優位(EC)の食道・胃接合部の粘膜癌であった.リンパ節への転移は認めなかった.

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要旨 患者は57歳,男性.腹痛,貧血(血色素5.7g/dl)を主訴に当科に入院した.Mantoux反応陰性,血清総蛋白5,9g/dlで,α1anti-trypsin clearance testは192ml/dayと著明に高値であった.小腸X線検査では下部回腸に輪走ないし斜走する潰瘍による狭窄が多発していた.他の消化管には胃前庭部に潰瘍搬痕を認める以外異常なかった.狭窄症状を繰り返すため回腸部分切除術を行った.切除標本では再生上皮に覆われたUl-Ⅰ~Ⅱの潰瘍が多発し,組織学的に特異的な炎症所見を認めなかった.以上から非特異性多発性小腸潰瘍症と診断したが,潰瘍に治癒傾向を認め,比較的高齢で発見された点が典型例とは異なった.

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欧文目次

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 癌の研究が近来著しく進歩したことは認識しているが,それでもなお,癌死を救うのに最も効率がよいのは,早期発見つまり検診しかないことは明白である.

 最近,“がん検診無用論”という暴論をはじめとして,なんとなく検診に対して逆風が吹き,嘆かわしいところであったが,更に,厚生省は突如として,がん検診を老健法から除外するという方針を発表して,冷水を浴びせた.国民も動揺しているようだが,検診従事者の中にも,本当のところはどうなんだ,と戸迷っている向きもあるやに聞いている.

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 とかく消化管造影のテキストブックというと,専門家特有の特殊用語というか感性先行型定義不明瞭な業界用語が続出して,初心者には近寄り難い雰囲気があるものが多い.本書も初心者を対象とした上部消化管造影のテキストであるが,違和感のない日本語で書かれており誰でも親しみを持って通読できる本である.これは,著者が画像診断学全般を修得したうえで消化管を専門としているからであろう.私自身も一気に読み切ってしまった.偶々,本教室の研修医が本書を既に購入していたので,彼の読後感想と私自身の感想を以下にまとめた.

 (1)立位充盈正面像の読影方法について詳しく記述されている.とかく二重造影にすぐ目が移ってしまいがちであるが,立位充盈正面像の重要性を強調しており,読影の基本姿勢を再認識した.

「胃と腸」質問箱 長南 明道
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胃超音波内視鏡検査における前処置法

質問 胃病変の超音波内視鏡診断を行うにあたって,胃液などによって細かい粒子画像が出現して画質を損なうことが度々あります.脱気水を繰り返し注入・吸引しても明瞭なエコー像が得られないことがありますが,前処置として簡便で効果的な方法はないでしょうか.

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 内科医として診療を始めてから約25年になったが,研修医時代から薬の名前を覚えることに苦しんできた.特に最近は記憶力の低下が著しく,新しい薬の名前が出てこない.同じ悩みを持つ内科医はたくさんいると思うが,その人たちにとってこの書「内科医の薬100-Minimum Requirement第2版」は福音である.薬の新旧で選ぶのでなく,内科医が日常診療に本当に必要な薬100を厳選し,かつその内容は病態に応じた使い方を具体的に示してくれ,かつ使用する際の注意点が懇切丁寧に書かれている.世に普及しているいくつかの治療薬集は,薬を羅列し,用量・用法・副作用を漠然と述べているものが多いが,本書は内科医として知っておくべきことに重点を置き,一切のむだを省いて書かれている実用の書と言える。

 編集および執筆を担当された方々はいずれも一線で活躍中の臨床医であり,診療で気づいた注意すべき点が多く記述されている点がありがたい.特に,若い研修医には当直や救急の場で常に携帯しすぐに検討できるよう小さく軽い書に仕上がっている.もちろん,熟練した医師にも,特に専門外の疾患に対する治療薬の選択にも非常に簡便となっているアイディアの書と言える.

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 近年,内視鏡手術や周辺機器の進歩により,外科手術,周術期管理はますます複雑の度を加えているが,その一方ではartとしての基本的な手技の習得についての重要性が指摘されている.この度,高知医科大学の小越章平教授(現副学長)による手術手技の解説書「イラスト外科セミナー」が8年ぶりに改訂の運びとなった.本書初版は“劇画タッチの手術テキスト”として若い外科医あるいは研修医に好評を博し,破格のベストセラーとして話題を呼んだものである。

 本書の構成は,第1部の「手術のポイント」,第2部の「手術記録の書き方」から成っている.第1部では一般外科手術全般にわたり,「術前術後管理のポイント」とともに,手術手技について基本に忠実に,学生時代から絵画クラブで鍛練された著者自身の手によるイラストを多用し詳細に記述されている.初心者が陥りやすいpitfallについてもあますところなく,プロとは違った温かみのある線で図示されている.本書の生命であるこのイラストは,読者に今にも自分で描けそうな気にさせるものであり,著者の主張する“描いて学ぶ外科学”のコンセプトが遺憾なく発揮されている.確かに,この種の外科手術や解剖書の挿絵の威力は,“どこがポイントか”よく理解している外科医が自分自身で描写説明するに尽きることは論を待たない.

編集後記 多田 正大
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 下部大腸疾患を鑑別するにあたって,常に頭を悩ますのが本号で取り上げた腸管子宮内膜症である.病変の多くは粘膜層より下部にあるため,画像診断として種々の粘膜下腫瘍,悪性腫瘍の浸潤ないし転移,炎症などを考えておかなければならない.本号で提示された症例はいずれも病変部は見事な画像で表現されており,鑑別診断は容易である.しかし実際の臨床現場ではこううまくはゆかない.下腹部不定愁訴も女性に,うっかり過敏性腸症候群ですと告げようものなら,後で恥をかくのが本症である.まして虚血性変化や腹膜炎を合併したときには,診断はお手上げとなる.

基本情報

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胃と腸
33巻10号 (1998年9月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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