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書評「イラスト外科セミナー―手術のポイントと記録の書き方 第2版」
愛甲 孝
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.1390
発行日 1998年9月25日
Published Date 1998/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103829
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近年,内視鏡手術や周辺機器の進歩により,外科手術,周術期管理はますます複雑の度を加えているが,その一方ではartとしての基本的な手技の習得についての重要性が指摘されている.この度,高知医科大学の小越章平教授(現副学長)による手術手技の解説書「イラスト外科セミナー」が8年ぶりに改訂の運びとなった.本書初版は“劇画タッチの手術テキスト”として若い外科医あるいは研修医に好評を博し,破格のベストセラーとして話題を呼んだものである。
本書の構成は,第1部の「手術のポイント」,第2部の「手術記録の書き方」から成っている.第1部では一般外科手術全般にわたり,「術前術後管理のポイント」とともに,手術手技について基本に忠実に,学生時代から絵画クラブで鍛練された著者自身の手によるイラストを多用し詳細に記述されている.初心者が陥りやすいpitfallについてもあますところなく,プロとは違った温かみのある線で図示されている.本書の生命であるこのイラストは,読者に今にも自分で描けそうな気にさせるものであり,著者の主張する“描いて学ぶ外科学”のコンセプトが遺憾なく発揮されている.確かに,この種の外科手術や解剖書の挿絵の威力は,“どこがポイントか”よく理解している外科医が自分自身で描写説明するに尽きることは論を待たない.
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