胃と腸 29巻7号 (1994年6月)

今月の主題 多発胃癌

序説

多発胃癌 髙木 國夫
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 多発胃癌については,臨床診断,外科治療,病理学的な面で,種々多くの問題点があるが,「胃と腸」でこの問題が特集として取り上げられたのは,1968年12月の「多発胃癌」のみであった.今回,1994年に「多発胃癌」を企画したが,この25年間には,胃癌の診断,治療,病理のそれぞれの分野で,多くの進歩がなされてきたにもかかわらず,この「多発胃癌」が25年間取り扱われなかったことは,意外と共に奇異に思われる.

 多発胃癌の多くの問題の中で,例えば,多発胃癌の頻度についてみてみる.胃癌の中で,詳細な検討がなされている早期胃癌の多発頻度を,早期胃癌1,000例以上を集積した施設の報告でみると(Table 1)1),6~9%が6施設,10%が2施設,11~15%が5施設であって,最も高い頻度15%は,最も低い6%の倍以上を示している.この差異は,切除標本の病理組織学的検索,特に標本の切り出しの仕方に関連しているものであろう.

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要旨 1986年から1991年の6年間に外科的に切除された胃癌症例1,159例のうち,胃癌の多発を266例(23.0%)に認めた.肉眼的に病変を同定できた例に限ると203例(17.5%)であった.多発例の平均年齢は単発の症例に対して有意に高く,男性に多い傾向がみられた.肉眼的に2つの癌を認めた130例においては粘膜内癌同士(31.5%),あるいは進行癌と粘膜内癌の組み合わせが多く(30.8%),進行癌同士の組み合わせはまれ(1.5%)であった.組織型の組み合わせでは,副癌巣は高分化型腺癌が多かった.術前には副癌巣は61例で見逃されていた.肉眼的に所見を認めず組織学的に副癌巣を認めた症例が1,159例中66例(5.7%)みられた.高分化型腺癌の多発する胃の背景粘膜には不規則な枝分かれ,拡張を示す腸上皮化生巣が認められた.胃癌の多発の頻度は高く,X線診断医,内視鏡医,病理医とも副癌巣を見つける努力が必要である.組織学的な副癌巣の存在は内視鏡的治療後の経過観察の必要性を示している.

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要旨 十分な検索ができた84例(196個)の多発早期胃癌中45例(54%)に見逃し癌巣(58個)を認め,これらの特徴を発見癌(138個)と比較検討した.①見逃し癌(平均長径12mm)は発見癌(28mm)より有意に小さかったが,20mm以上の癌巣も10個(17%)認めた.②肉眼形態はⅡc(67%)とⅡb(16%)で80%以上を占めていた.③占居部位はCMA分類では下部(23%)が上部(30%),中部(34%)より,また大彎(11%),小彎(25%)が,前壁(40%),後壁(33%)より見逃し率が低い傾向にあった.④上部の前壁と小彎,中部大彎,下部後壁では見逃し癌と発見癌の長径に有意差がなく,これらの部位は大きさに関係なく見逃しやすいことが示唆された.⑤見逃しⅡcでは,発見Ⅱcよりsmの線維化(潰瘍瘢痕)の出現率が低く,低分化腺癌の割合が多い傾向にあった.

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要旨 切除胃癌1,603例の全割による組織検査の結果,247例の多発癌を検索しえた.このうち最大径6mm以上の副病変を対象にX線学的検討を行い,更に肉眼診断,肉眼型,組織型,深達度,発生部位や癌の大きさを対比し下記の結果を得た.多発癌の頻度は15.4%で,早期癌で18.0%,進行癌で12.1%であった.術前X線診断で確診できた病変は34.9%で,存在を指摘できなかった病変は49.6%であった.見直し診断では診断率が向上したが,やはり27.2%は存在診断ができなかった.術前に診断できない病変は平坦型や浅い陥凹型の粘膜内癌が多く,特に未分化型に多かった.発生部位では,ほぼ全領域に分布していたが,前壁,大彎,前庭部の診断率が低かった.

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要旨 当院で外科的もしくは内視鏡的に切除された胃癌1,871例のうち,同時性多発胃癌は156例(8.3%)であった.これらのうち切除標本で指摘可能な130例279病変を対象とし,術前診断,見逃し病変の拾い上げ診断の検討を行った.術前正診率は68.5%であった.初回検査の正診率は,内視鏡検査はX線検査に比し有意に高かった.主病変と副病変問の距離には見逃し率に有意差はなく,見逃し率の高い病変は深達度m,最大径が5mm以下,また占拠部位では体上部と幽門部,小彎で,見逃し病変に多発癌としての特徴はなかった.拾い上げ診断能はX線検査53.5%,内視鏡検査41.9%で両者間に差はなかった.

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要旨 多発早期胃癌の頻度は外科切除例の11.4%,内視鏡的切除例(ER例)の10.4%であった.ER例では同時性多発早期胃癌4.8%,異時性多発早期胃癌5.6%であった.異時性病変発見までの期間はER後1年以上経過し発見された例が73.7%と高率で,ER後2年以内に約半数,5年以内に79.0%が発見されていた.ER後の経過年数が6年以上では内視鏡検査受診率は30%前後と低率で,他病死による死亡率も増加していた.外科切除例,ER例とも主・副病変の組織型はいずれも分化型,肉眼型では同一肉眼型が,存在部位ではM,A領域の同一区域あるいは隣接区域に高率であった.異時性多発病変のER例では大きさ11~20mmでの発見が21.1%を占め,1例が深達度sm1で,10mm前後での発見努力が必要である.ER後外科切除例では2例の異時性進行癌の見逃し例があった.外科切除例での副病変の大きさは10mm以下が55.9%を占め,そのうち病理発見が70.2%と高率であり,ER後の経過観察では微小胃癌,小胃癌の存在に十分注意を払う必要がある.

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要旨 早期胃癌の内視鏡的治療における多発癌の問題について検討した.内視鏡的治療における多発癌と対比するため,切除胃における多発性早期胃癌の検討も行った.切除胃における同時性多発性早期胃癌の頻度は9.4%であった.しかし,高齢者ではその頻度が高く,70歳台は13.7%,80歳台では17.6%であった.切除胃における多発性早期胃癌の組織型は分化型癌と分化型癌の組み合わせが79.3%であった.内視鏡的治療のうちレーザー照射治療を行った57症例71病巣(平均年齢74.9歳)では,“同時期発見癌”が10.5%,“経過中発見癌”が8.8%であった.内視鏡的粘膜切除術を行った58症例65病巣(平均年齢68.9歳)では,“同時期発見癌”が6.9%,“経過中発見癌”が5.2%であった.経過中に胃内他部位に発見された癌(=経過中発見癌)はすべて内視鏡的治療の適応であったことから,現行の経過観察法で十分であると考えられた.また,多発癌症例は新たに癌が発見される可能性が高く,特に慎重な内視鏡観察が必要である.

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要旨 当外科開設以来17年6か月間に切除された早期胃癌428例のうち,同時性多発癌は57例(13.3%),147病変であった.年齢および性別では単発早期胃癌の平均年齢が57.4歳であったのに対し,多発癌では62.8歳で,男女比は5.3:1と高齢者男性に圧倒的に多くみられた.肉眼型はⅡcを主体とした陥凹型が73病変(49.7%)を占め,Ⅱb型34病変(23.1%),隆起型が40病変(27.2%)となり,陥凹・平坦型で72.8%を占めている.その組み合わせは陥凹性病変では陥凹型同士の組み合わせが51.4%にみられたが,隆起性病変では隆起型との併存は35.0%で残りは陥凹型と平坦型の組み合わせであった.これは,胃全割標本による組織学的検索により術前指摘しえなかった微小多発癌巣が多いことに起因している.一方,主病巣と副病巣の位置関係をみると噴門側に副病巣が存在する頻度は43.8%もあり,術前の噴門側粘膜の十分な精査が必要となる.また,腺領域別には胃底腺領域に発生した未分化型腺癌はわずか2病変にしかすぎず,分化型,未分化型癌とも,そのほとんどは萎縮領域を幽門腺領域に発生していた.これら多発早期胃癌の背景粘膜をみると,まず単発の分化型腺癌症例ではびまん広範腸上皮化生粘膜が48.9%であったのに対し,多発癌では80%までが高度かつ密な腸上皮化生粘膜を背景病変としていた.更に多発胃癌は腺腫を併存している頻度が高く,14.3%に腺腫を合併していた.以上の事実から,高齢者,男性で高度の腸上皮化生を伴った萎縮粘膜のみられる胃では,多発胃癌の可能性を念頭に置いての臨床対応が必要と言える.

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要旨 多発胃癌310例(切除胃癌の8.8%),685病巣について単発癌3,205例(3,205病巣)と比較した.多発胃癌病巣は単発胃癌に比べてC領域にある割合が高く,隆起型,平坦型が高率で,分化型が大部分であった.残胃の癌の検討から,多発癌として同じ傾向を有するものがあると考えられた.多発癌はリンパ節転移率が低い(33.3%;単発43.8%)ものの生存率は単発癌と同じであった(5年生存率:73.5%,70.0%,10年生存率:59.1%,57.2%).今後,多発癌の取り扱いについての基準が必要であろう.

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〔患者〕73歳,女性.主訴:嘔吐.現病歴:1988年6月ごろから,特に誘因なく腹部膨満感と全身倦怠感を自覚するようになった.膨満感は徐々に増強し,食後に胆汁を混じた食物残渣を嘔吐するようになった.近医を受診したところ,小腸造影で上部空腸の全周性狭窄を指摘され当科を紹介された.入院時検査成績では,軽度の鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を認める以外著変を認めなかった.

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〔患者〕46歳,男性.特に自覚症状はなかったが,次女(13歳)が口周囲の色素沈着のため皮膚科を受診したところPeutz-Jegher's症候群(以下P-Jと略す)の疑いありと言われ精査希望で来院.理学所見では,口周囲(Fig.1a),手掌,足底(Fig.1b)に色素沈着を認め,右下腹部に可動性の柔らかい腫瘤を触知した.

学会印象記

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 第2回日本消化器関連学会週間(DDW-Japan)は4月22日から26日までの5日間,神戸ポートアイランドで開催された.今回は日本消化器病学会,日本膵臓学会,日本胆道学会,日本消化器内視鏡学会が参加し,それぞれのプログラムが併行して,あるいは合同で進められたが,第80回日本消化器病学会を中心に,DDWの印象を述べたい.

 消化器病学会は鎌田武信会長(大阪大学第1内科)の,“21世紀を目前に控え,その懸け橋となる学会”というテーマで統一されたものであった.鎌田会長の抱負を引用すると,“1970年代から始まった学際的な生命現象へのアプローチが新しい波となり,それが医科学(ライフサイエンス,ヒューマンサイエンス)として結実しようとしています.これを私は,System Biomedineと呼んでいます.すなわちCTやMRIなどに象徴されるMEの発達が,画像診断学をはじめとして,医学の各方面で改革を引き起こしました.また,生物学の新しいテクニックである分子生物学を手にしたことによって,いくつかの疾患ではその原因遣伝子が同定され,同時に細胞レベルで,その障害ばかりでなく修復のメカニズムが解明されつつあります.”という現状分析から,特別講演,会長講演,シンポジウムは構成されていた.これらについては後述するが,リサーチフォーラム,クリニカルフォーラムが数多く企画されていた.

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 第2回となる1994年度日本消化器関連学会週間(DDW-Japan 1994)が,昨年9月に行われた第1回と同じ神戸で4月22日から26日まで開催された.その基本理念は消化器関連学会が一同に集まり,調和のとれたスリムでアカデミックな学会を運営することにより,学問的・教育的水準のレベルアップと時間的・経済的問題の節減を達成することとされている.今回は消化器関連学会が一同に集まることはできなかったが,日本膵臓学会,日本消化器病学会,日本消化器内視鏡学会,日本胆道学会の全面的参加と日本大腸肛門病学会,日本肝臓学会の部分参加で行われた.第80回日本消化器病学総会と第25回日本膵臓学会大会は4月22日から24日まで,第30回日本胆道学会総会は23日から25日まで,第47回日本消化器内視鏡学会総会は24日から26日までであった.

 筆者は24日から26日まで参加し,主に日本消化器内視鏡学会の発表を聴いた.発表は,筆者が主に日常業務としている大腸についてのものと,専門外のものでもしばしば遭遇することのある疾患について聴くようにした.今回の日本消化器内視鏡学会のスライドは“英語で作成”と規定されていた.諸学会が英文誌の発行を考慮しているのと同一の意図によるためかと思われた.一般演題は一題あたり口演が10分,示説が6分で,十分な時間がとられていた.プログラムを消化するために質疑の時間を削除しなければならないようなことはなく,活発な討論がなされ,スリムで,アカデミックな運営がなされていたように思われた.

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要旨 胃原発悪性リンパ腫(以下胃悪性リンパ腫)における肉眼形態をsubmucosal tumor-like type(以下ST type; 粘膜下層・筋層を中心とする限局膨張性増殖を想定したもの),non-submucosal tumor-like type(以下non-ST type; 粘膜に沿ったびまん性浸潤性増殖を想定したもの),そしてcombined type(それら両型の形態を有するもの)の3つに分類した.ST typeは,胃悪性リンパ腫の27%を占めlarge cell,immunoblastic typeと有意な関連性が認められ,reactive lymphoid cell hyperplasia(以下RLH)の合併は少ない.non-ST typeは,胃悪性リンパ腫の68%を占めdiffuse,small cleaved cell type; plasmacytomaと関連性が認められ,RLH合併頻度が高い.combined typeは5%のみであった.今回の検討から胃悪性リンパ腫の肉眼形態は組織型,増殖様式,RLH合併の有無と有意に関係していることが示唆された.

早期胃癌研究会

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 1993年10月の早期胃癌研究会は,10月20日(水),飯田(川崎医科大学消化器内科),八尾(福岡大学筑紫病院消化器科)の司会で開催された.

〔第1例〕48歳,男性.0-Ⅱc+Ⅱb型食道表在癌,深達度mm2(症例提供:東京都がん検診センター消化器科 北野伸浩).

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 1994年1月の早期胃癌研究会は1月19日(水),望月(仙台市医療センター),長廻(東京女子医大消化器病センター)の司会で開催された.

〔第1例〕57歳,女性.若年性胃腸ポリポーシス(提供:福岡大学筑紫病院消化器科 古川敬一).

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 1994年2月の早期胃癌研究会は,2月16日(水)に開催され,当番司会は吉田(国立がんセンター東病院内科)および牛尾(国立がんセンター中央病院放射線診断部)が担当した.

〔第1例〕60歳,女性.早期食道癌(症例提供:都立駒込病院内科 門馬久美子).

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要旨 患者は54歳,男性.1978年に集団検診で胃のポリープ様病変を指摘され,内視鏡下生検で過形成性ポリープの診断を受けた.その後6年間,主に内視鏡で経過観察されていたが,1984年になってポリープの大きさ,表面の性状に著しい変化がみられ,生検で高分化型腺癌と診断されたため胃亜全摘術が行われた.肉眼的には大きさ3.3×2.2×1.0(高さ)cmの,中心に軽度陥凹を伴う隆起性病変であった.病理組織学的には大部分が高分化型管状腺癌で占められていたが,周辺に過形成性変化が残っており,臨床経過からも過形成性ポリープが癌化したものと考えられた.なお,深達度はsmであり,リンパ節転移もなく8年後の現在再発を認めない.

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要旨 脊椎後彎の女性に認められた18cmに及ぶ広範なBarrett食道とそれに伴ったBarrett食道潰瘍の1例を報告した.患者は64歳,女性.脊椎後彎症のため5年前から矮軀となった.食欲不振と食後の嘔吐を主訴として来院した.X線検査で胸部上部食道に潰瘍と狭窄,胸部下部食道に潰瘍を認め,食道裂孔ヘルニアを伴っていた.内視鏡的には上切歯列から20cmの部位に狭窄と潰瘍,35cmの部位に潰瘍を認めた.生検では胸部上部食道の潰瘍辺縁からの生検でいわゆるspecialized columnar epitheliumが採取され,以下胸部食道全域で円柱上皮が認められた.脊椎後彎に伴う食道胃逆流がBarrett食道の発生と進展に関与したことが疑われた.

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欧文目次

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 とても可愛い本である.赤表紙もポケットサイズも,ぶ厚さも可愛い.思わず手にとってみたくなる.パラパラとめくってみる.イラストもいい.これは,何の本だ? 外国人が病院に来たときのために,病院職員が勉強する英会話の本であるという.暖かい発想の本である.日本で病気になるだけでもストレスなのに,更に行った先の病院で,言葉が通じないことが多い.もともと日本の病院は,日本人でさえ,わかりにくい所である.言葉の通じない外国人にとっては,これが更にストレスとなり,不安が増幅する.これをすべてとはいかないが,クリアーしようとする暖かい本が本書なのである.

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 Non-optic endosonography in advanced carcinoma of the esophagus: Glover JR, Sargeant IR, Bown SG, Lees WR (Gastrointest Endosc 40: 194-198, 1994)

 超音波内視鏡(EUS)は,CT,MRなどと共に食道癌の進展度の評価に用いられ,ステージングの正診率は80~90%と,その有用性について異論のないところだが,コスト面が高いことや,径が13mmと太く狭窄部やその肛門側の情報が得られないなど問題点もある.そこで著者らは,経食道心エコーのために開発された細径の非光学系5MHz超音波プローブ(UST-936-5)を用いて食道癌の進展度の評価を行った.

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 従来から肝臓病学の世界的なテキストとして定評のある,Schiff親子による“Diseases of the Liver”が6年ぶりに大幅な改訂がなされ,第7版が出版された.

 この6年間,肝胆疾患については基礎および臨床の面で幾多の進歩がみられ,その進歩に基づいた項目の修正,項目の追加,流れに沿った項目の変更と,第6版のテキストらしい良さを残しながら内容的には一新されている.

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 Colonoscopic surveillance reduces mortality from colorectal cancer in ulcerative colitis: Choi PM, et al (Gastroenterology 105: 418-424, 1993)

 長期の潰瘍性大腸炎患者における大腸癌の早期発見のために大腸内視鏡検査による定期的観察が広く行われている.

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 Wayne State University外科の須川暢一・Lucas両教授およびGeorgia Medical College内科のSchuman教授が編集した消化管出血の診断および治療に関するテキストブックを読む機会があった.

 B5判564頁の手ごろな大きさで,第1部総論,第2部出血部位,第3部診断,第4部救急処置,第5部静脈瘤以外の消化管出血の治療,第6部静脈瘤出血の治療,に大別され,それぞれに極めて系統的な章立てが行われ,消化管出血のあらゆる面が網羅されている.

編集後記 斉藤 利彦
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 本誌で多発胃癌を主題として取り上げたのは,今から24年前の1968年である.今日,種々の問題を抱えて再び主題として多発胃癌が取り上げられた意義は大きく,殊に,多発胃癌に対する臨床医の対応のあり方も考えさせられる.例えば術前診断についても相変わらず主病巣に目を奪われ,胃内をくまなく観察していないのではないだろうか危惧される.しかし,多発胃癌の頻度は24年前の5%前後から10%前後と増加し,しかも早期胃癌での多発が増加している.反面,術後の病理組織学的検索により発見される多発胃癌も多く含まれ,切除胃の検索のあり方でも頻度に差異を生じていることも事実である.

 24年前と異なり,内視鏡的治療がここに加わったことも注目しなければならない.治療後の経過観察中に発見される異時性胃癌もみられることから,内視鏡的に治癒と判定されても,より一層,経過観察が重要になってくる。QOLが叫ばれている現在,これまでの積み重ねられたデータをもとに常に多発胃癌を念頭に置いて診断に当たらなければならない.また,多発胃癌の組織型,背景粘膜,予後に与える影響などを考えると,本号もより一層,読者の興味をそそることと思われる.

基本情報

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胃と腸
29巻7号 (1994年6月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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