胃と腸 29巻8号 (1994年7月)

今月の主題 胆管癌の画像と病理

序説

胆管癌の診断と治療の現況 有山 襄
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はじめに

 胆管癌は胆管壁内を上下に進展し境界が不明瞭な例が多いこと,胆管壁が薄く外膜にリンパ管や神経が豊富に存在するので壁外浸潤が早期に起こりやすいことから,非治癒切除になる場合が多い.また,胆管癌のほとんどは黄疸の発症で発見され,高度黄疸例を一期的に手術すると合併症が高率に発生し,手術死亡率が高い.術前に減黄処置を行って全身状態を改善してから手術が行われるので,診断から手術までに平均3週間が必要である.この間に術前検査を手順よく行って手術適応の有無,術式の決定をしなければならない.

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要旨 胆管癌160症例,162病変の肉眼型と組織学的予後因子(ly,v,pn,n,s,hw,dwとKi-67免疫染色による細胞増殖能)との相関,および癌の細胞異型度とp53蛋白過剰発現について検討した.早期癌(n=9)では,ly1が1例11%にみられたのみで,v,pn,nはすべて陰性であった.進行癌(n=153)では,lyが75%,vが44%,pnが84%,n(n=137)が40%にみられた.これら組織学的予後因子と肉眼型との間に,相関はなかった.漿膜面癌露出は,全例浸潤型癌でみられた.びまん浸潤型は上部胆管に,その他の肉眼型は中下部に多く,上中下部にまたがる広範囲癌は,浸潤型癌に多かった.乳頭限局型・結節限局型・乳頭浸潤型・結節浸潤型の癌では,びまん浸潤型癌に比べて,癌先進部深達度がmである頻度が高かった.びまん浸潤型では,同深達度がssであることが多く,m癌先進部との差は,肝側で平均13.8mm,十二指腸側で8.3mmであった.Ki-67陽性率は,肉眼型,組織型,浸潤とは特に関係なかったが,細胞異型度と相関し,高・低異型度癌の間で有意差を認めた(p<0.05).p53蛋白過剰発現は胆管癌の58.0%(29/50)にみられたが,細胞異型度と組織型と関係なく,予後因子としてよりむしろ診断基準に有用と考えられた.

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要旨 胆管癌の胆管壁内浸潤範囲の診断は鮮明な胆管造影で,主病巣に連続する硬化・狭小像をもとに診断し,満足すべき手術成績を得ている.様々な体位で撮影した鮮明な造影像に経皮経肝胆道鏡(PTCS)診断を組み合わせることにより診断能は向上する.特に,表層拡大進展の有無やその範囲の確定診断にはX線所見のみからでは無理で,PTCSが不可欠である.尾状葉胆管枝(B1)根部造影所見と組織所見との対比の結果,B1根部に狭窄を認めない群と長い狭窄群,造影不良群ではPTCSを加えればB1根部への癌浸潤の有無を診断できると考えられた.B1根部の短い狭窄群では,2/3は炎症細胞浸潤と線維増生のみで癌浸潤はなかったが,1/3の症例では癌浸潤を認め,今後の検討が必要と思われた.

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要旨 胆管癌症例28例について経皮経肝胆道鏡検査法(PTCS)による内視鏡所見と病理組織診断を対比検討した.各内視鏡所見の出現頻度は,隆起性病変は全例100%(乳頭状隆起32%,結節状隆起54%,粘膜下腫瘍様隆起14%),新生血管は26例(93%),発赤は全例(100%),褪色は6例(21%),不整顆粒状粘膜は11例(39%)であった.隆起性病変の性状により胆管癌の肉眼形態を診断することは容易であった.表層拡大型胆管癌症例12例中11例(92%)に不整顆粒状粘膜が,5例(42%)に褪色が認められた.PTCSにより隆起性病変,新生血管,不整顆粒状粘膜,発赤,褪色などの内視鏡所見を注意深く観察することにより,癌の表層進展の診断も十分に可能である.

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要旨 黄疸のない胆管癌9例と胆嚢癌の総胆管浸潤2例に親子スコープ方式でPOCSを行った.子スコープ挿入に際してはEST後に行ったが,EST困難例にはガイド・カテーテル内を通して細径胆管鏡を挿入し観察した.11例中9例で挿入に成功し,観察が可能であった.生検診断または擦過細胞診を併用することで確診しえた.また,胆嚢癌の胆管浸潤例では全体に蒼白調であり,辺縁に細血管の拡張があり,胆管癌と鑑別は可能であった.胆管癌では隆起を呈した症例は黄色調か同色調で,周囲の粘膜に凹凸性変化が認められた.狭窄性病変では周囲粘膜と同色調で辺縁に細血管の拡張を伴っていた.ERCで胆道系に何らかの所見が認められたときは,ガイド・カテーテルを用いたPOCSを行い,胆管癌の可能性が少しでもあるときはESTを行ってPOCS下に確実な生検を行うことで,早期の胆管癌の確定診断が得られるものと考えている.

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要旨 超音波内視鏡(EUS)による胆管癌の進展度の診断能を検討するために,20例の肝外胆管癌(Bm癌5例,Bi癌15例)のEUS像と病理組織像とを比較検討した.EUSの腫瘍描出率は17/20例(85%)であった.肉眼型別では,隆起型が16/17例(94.1%),平坦型が1/3例(33.3%)の描出率であった.腫瘍エコー像は17例中16例でやや低エコーの腫瘤像,胆管壁肥厚像を,1例でやや高エコーの腫瘤像を示した.EUSにより,上皮内進展は9/17例(52.9%)に描出された.EUSによる深達度診断の正診率は14/17例(82.4%)であった.また,膵浸潤は8/13例(61.5%),十二指腸浸潤は7/10例(70%),門脈浸潤は14/15例(93.3%)の正診率であった.

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要旨 ラジアル型細径超音波プローブを用いた胆管内超音波法(IBUS)の肝外胆管癌進展度診断における有用性につき検討した.基礎的検討では,胆管壁内側高エコー層は粘膜層を含む境界エコー,中間低エコー層は主に線維筋層と外膜層,外側高エコー層は漿膜下層に対応し,腫瘍は低エコー層の肥厚として観察された.腫瘍エコーと血管の接触状態を基準として大血管浸潤の有無が診断可能(正診率100%)であり,腫瘍エコーの外縁形状を基準に,外膜層を越えるか否かの壁深達度・膵浸潤診断が可能(正診率91.7%)であった.壁内進展診断は低周波数プローブでは困難な例が多く,今後の課題と思われた.現時点で本法は胆管横断面方向の進展度診断に有用と考えられた.

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要旨 ヘリカルCTとは,X線管球を高速で連続回転させ被検者のテーブルを一定の速度で移動させることにより得られるボリュームスキャンCTのことである.胆道においては,1回の呼吸停止(約20秒)で全胆道がスキャンできるので位相のずれがなく,小さな胆管癌や浸潤型胆管癌例でも確実に病巣部が描出できるようになってきた.また,優れた連続性のために多断面再構成像や3次元再構城像も従来のものより質が高い.それに伴い進展度診断能も進歩し,少なくとも漿膜を越え周囲組織に浸潤したものの診断においては最も信頼性が高いように思われる.しかし,壁深達度診断や壁内進展の診断については,まだその有用性が評価できる段階に至っていないのが現状である.

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要旨 患者は58歳,女性.黄疸と嘔気を主訴に入院となった.CTで拡張した総胆管内に充実性の腫瘤を認めた.内視鏡的膵胆管造影と経皮経肝胆管造影で,下部胆管に片側性の表面不整な隆起性病変(25×15mm)が認められた.腫瘤は圧迫撮影により形状が変化し,胆管右側を基部として可動性を有した.バリウムと二酸化炭素による胆管二重造影では病変の表面構造がより明瞭に描出された.経皮経肝胆道鏡では,新生血管を伴う表面不整な腫瘍がみられ,生検で腺癌の診断を得た.膵頭十二指腸切除術を行い,絶対治癒切除となった.病理学的に,一部線維筋層(fm)まで浸潤する早期乳頭型胆管癌であった.早期乳頭型胆管癌の診断には,直接胆管造影(特に圧迫撮影),胆管二重造影,更に胆道鏡検査が有用であると思われた.

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要旨 深達度fmの早期胆管癌の1切除例を報告した.患者は74歳,女性.黄疸を主訴に来院した.USでは胆管拡張を,直接造影で腫瘍像と狭窄部の確認ができた.CTで胆管壁が十分造影でき,淡い腫瘍濃染像から比較的早期の胆管癌であることが示唆された.PTCCSでは粘膜内の表層進展も診断が可能であった.また,切除標本の検索で超音波内視鏡の有用性がわかった.

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要旨 無黄疸で診断された65歳,男性の早期胆管癌(深達度fm)症例について,US,EUS,術中USなどの超音波検査所見を中心に報告した.本例は,糖尿病治療中に腹部USスクリーニング検査で無症状,無黄疸で診断され,胆管癌の拾い上げ診断におけるUSの有用性を示唆する症例であった.また,USでは胆管壁に対応する高エコー層が温存されており壁外浸潤はないものと考えられた.EUSでは胆管壁の3層構造が描出され,腫瘤直下で外膜(af)を含む線維筋層(fm)を示す低エコーの第2層が温存されていることから深達度はfm以浅と診断でき,また第1層(粘膜を含む境界エコー)の不整・肥厚の所見から壁内浸潤が診断された.これらの所見は,術中USでも同様であり,切除標本の水浸下USでも確認された.EUS,術中USの所見は病理組織所見によく一致し,胆管癌の深達度・進展度診断におけるEUSおよび術中USの有用性が示された.

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要旨 患者は48歳,男性.発熱を伴う右季肋部痛を主訴に来院.超音波検査で胆嚢結石・肝外胆管拡張,ERCPでは膵胆管合流異常・嚢胞状胆管拡張が示された.胆道二重造影で拡張胆管の一部に陥凹性病変・粘膜微細構造の消失および顆粒状変化を認め,同時に施行した胆汁細胞診の結果,Class V(腺癌)と判定された.血管造影では胆管周囲動脈叢に明らかなencasementは認められず,膵胆管合流異常に合併した胆管内に限局する陥凹性胆管癌と診断した.膵頭十二指腸切除術が施行され,病理組織学的に乳頭腺癌,深達度mと診断された.本症では早期胆管癌診断における胆道二重造影の有用性が強調された.

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要旨 患者は63歳の男性で,発熱と黄疸を契機として発見された.術前のERCPでBiの胆管癌と診断.生検では乳頭腺癌であった.EUSで膵浸潤ありと診断したが,門脈に浸潤なく根治手術可能と考え膵頭十二指腸切除術を施行した.肉眼形態は結節浸潤型,乳頭腺癌,深達度はfmであった.術前に腫瘍の存在診断と質的診断は可能であったが深達度診断を誤診した.早期胆管癌の診断については今後壁の垂直方向の深達度診断が課題と考えられた.

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要旨 71歳,男性.上腹部不快感を訴えたため腹部超音波検査を施行し,軽度の胆管拡張を認めたため経皮経肝胆管ドレナージ術を施行した.胆汁の洗浄細胞診で悪性細胞が証明されたため,下部胆管癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行した.組織学的に深達度,m,hinf0,ginf0,panc0,d0,vs0,dw0でStageIであった.早期胆管癌の定義については,種々の論議があり,報告者により様々であった.今回改訂となった胆道癌取扱い規約では,組織学的深達度が粘膜(m)内または線維筋層(fm)内にとどまるもので,リンパ節転移を問わないと規定された.近年,画像診断の進歩と共に早期胆道癌も発見される機会が多くなってきているが,胆管癌では,いまだにその早期診断は困難である.肝外胆管癌においては,黄疸を契機に発症することが多く,ほとんどが進行癌である.無黄疸症例でも不定愁訴に加え,ALP,γ-GTP,LAPなどの胆道系酵素の上昇に注意することや,腹部超音波検査,DIC,更に,ERCP,PTCによる直接造影を積極的に行うことにより診断の向上に努めるべきと考える.

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〔患者〕54歳,女性.主訴:特になし.現病歴:近医で胃潰瘍,十二指腸潰瘍の経過観察中,十二指腸乳頭部に腫瘤を認め紹介を受けた.

〔低緊張十二指腸造影所見〕薄層法では乳頭部に一致して大きさ22mmの立ち上がり明瞭な楕円形の透亮像を認める.外側からはバリウムの流入によるfleckもみられる(Fig.1a).二重造影では同様の隆起性病変を認め,その表面は小結節状である(Fig.1b).

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〔患者〕35歳,女性.1989年12月下旬,上腹部痛を主訴に近医を受診し,胃内視鏡検査で異常を指摘されたため,1990年1月当科に紹介入院となった.入院時現症で腹部にバラ疹を認め,血清梅毒反応はTPHA2,560倍,緒方法256倍以上と強陽性を示した.

用語の使い方・使われ方

彎入(indentation) 磨伊 正義
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 潰瘍や癌性変化により胃壁内に細胞浸潤,結合織増生があると,この部位の胃壁は尋常な弾力性を失い,攣縮性切痕を形成する.これを彎入という.

 多くは小彎側に存在する潰瘍性病変により固有筋層に限局性のspasmが生じ,大彎側に向かい,刺すように切痕を形成する.この彎入は平滑で深く,しばしば1cm以上に及ぶこともあり,その所見は恒常性で圧追や鎮痙剤投与によっても消失しない.多くは小彎側に潰瘍性病変が存在した場合に大彎側の攣縮性彎人としてみられ,部位的には,胃穹窿部,胃体部や幽門前庭部にしばしば認められる所見である.消化性潰瘍が治療すればこの彎入は消失することが多いが,多発潰瘍の治癒期には,胃の変形を来すことが多い.一方,癌性潰瘍に伴って出現する彎入は栂指状圧痕を示すことが多く,その辺縁は不整,硬化,不調和な辺縁像として描出され,癌の浸潤に伴って彎入は増悪する.

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要旨 高分化型進行大腸癌(916例)を細胞異型度から低異型度癌(面積が70%以上,24例)と高異型度癌(892例)に分類し,その組織学的予後因子を検討した.n(+)は,それぞれ,11.1%と37.4%(p<0.05),1y(+)は7.1%と39.6%(p<0.05),v(+)は7.1%と75.0%(p<0.01)であった.原発巣が低異型度癌のうち,転移巣の異型度が低異型度癌であったのは,n(+)の1/2例(この1例では高異型度癌も転移),ly(+)の0/1例,v(+)の1/1例(高異型度癌も転移)であった.細胞異型度は高分化型大腸癌の悪性度判定に重要であるばかりでなく,大腸癌の組織診断基準や内視鏡的治療判定基準にも応用されるべきである.

早期胃癌研究会

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 1994年3月の早期胃癌研究会は3月16日(水)に開催され,当番司会は高木(林外科病院)および多田(京都第一赤十字病院胃腸科)が担当した.

 〔第1例〕63歳,男性.Ⅱa+Ⅱc類似進行胃癌〔新分類:0(Ⅱa+Ⅱc),ss〕(症例提供:大阪医科大学第2内科滝内比呂也).

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要旨 患者は58歳,女性.原爆に被爆.内視鏡では切歯より29~32cmの食道右側壁に立ち上がりのなだらかな,高さが2~3mm程度の隆起性病変があり,病変の口側では縦長の白苔が付着したびらんが2個存在し,その肛門側に発赤が認められた.白苔,発赤に一致してヨードに不染であった.X線では小顆粒状の透亮像の集簇所見があり,壁伸展不良,壁不整などの所見を認めなかった.病理組織所見は0-Ⅱa,深達度epで,癌は周辺の上皮より0.1~0.2mm厚いのみで,粘膜固有層に軽度の線維化や,胚中心が目立つリンパ濾胞の形成があり,更に周囲の粘膜下層では血管の拡張と出血を認めた.

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欧文目次

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 上部消化管の内視鏡(endoscopy)のために,内視鏡医(endoscopist)の多くは細径前方視鏡を選択する.これはこの内視鏡(endoscope)が被検者の苦痛を最小限とするのに適しているからであり,広い観察域とほほ満足しうる記録性を持ち,必要なら内視鏡治療の大部分を実施しうるからである.かつて囁かれた,“細径=粗悪品”の域を完全に抜け出して,内視鏡の水準を維持しながら,なおかつ口腔から十二指腸主乳頭まで網羅しうるからである(panendo・scopy).術者にとって,内視鏡を進める方向が見えることほど安堵することはない.内視鏡医だけではなく,一般内科医,研修医にも親しまれているゆえんであり,いまや内視鏡の代名詞でさえある.

 本書は,この内視鏡の生みの親である著者が開発の御苦労は微塵も示されることなく,10万回の経験をもとに語られた上部消化管内視鏡術のすべてである.苦しみのない内視鏡を目指して著者御自身が実践されてこられた22年間の結晶でもある.

それだけに細径前方視鏡へのこだわりと情熱とが随所に感じられる.

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 私の医学部生時代(1951-1955年),わが国医学界は米国医学の強い影響を受けていたとはいえ,オスラーは教科書でオスラー結節というのを知り,アメリカの偉い内科の先生であったくらいしか知りませんでした.

 ところが,私が脳神経外科医として留学(1964-1965年)した先は,オスラーの母校であるマギル大学の付属のMontreal Neurological Institute(MNI)であり,その創設者のペンフィールドはローズ奨学生としてオックスフォード大学に学んだ際,オスラーの薫陶を受けた間柄であったのです.私はMNIでは,まず神経病理学を学んだので,脳を取り出しに隣のPathological Instituteに行った際,剖検室に近い部屋に,数十個の大きな臓器標本ビンが展示されているのに気付きました.よく見ると,それらは全部オスラーが剖検し,教材として液滲標本としたものでした.少々ショックでした.明治時代に作られた標本が,まだきれいに保存され,現に教材となっているなど,わが国ではほとんど考えられないことであったからです(有名人の脳などは保存されていますが).ここで改めて,オスラーはカナダで生まれ,マギル大学で医学を学び,そこの教授となり,その後ペンシルバニア大学教授,更にジョンズ・ホプキンスの教授になったことを知ったのです.最後はオックスフォード大学の欽定教授でした.

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Effects of vitamin antioxidant supplementation on cell kinetics of patients with adenomatous polyps: O'sullivan KR, Mathias PM, Cahill RJ, et al (Gut34: 963-967, 1993)

 大腸癌は大腸粘膜の過度の増殖が腺腫へ,そして最終的に癌へと複雑な過程を経て発生する.この過程はまず細胞増殖帯が腺窩の上方へ移行することで始まる.実際,大腸腺腫および癌患者では,細胞増殖が亢進していて,増殖帯が腺窩の上方へ移行している.

 腺腫の癌化過程で,大腸粘膜を傷害する原因の1つにDNA損傷と遺伝子の突然変異を引き起こすフリーラジカル活性の充進がある.酸化阻止物質はフリーラジカル活性に対する防御能を有する.

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 “stage frightitis”,壇上恐怖症-心臓が高鳴り,脈拍が増え,口が渇き,手が汗ばむ.更に手足が震え,嘔気を催す-こんな状態を講演の際に,若い医師も熟練した医師も一度は経験したに違いない.

 このような状態を解消するには一体どうしたらよいか?外科医として,また講演者として高名なイリノイ大学外科教授Philip Thorek教授が医学書院ニューヨーク支社から,「Open Your Mouth but Don't Say “Ah!” Rfor Public Speaking」を出版し,これを本年3月末に開かれた日本外科学会総会に合わせ,会長である三島好雄教授が「Dr. トーレックの話し方教室」のタイトルのもとに出版されたのが本書である.

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Adenocarcinoma of the duodenum: factors influencing survival: Rotman N, et al (Br J Surg 81: 83-85, 1994)

 十二指腸の腺癌に対して生存率に影響を与える要因をレトロスペクティブに検討した.

 1978年1月から1988年1月までの10年間に19施設で治療を受けた66症例について,1993年まで経過観察した.すべて組織学的に腺癌と診断されており,ファーター乳頭部,膵臓,胆管の癌は除外されていた.66例のうち,43例は男性,23例は女性.平均年齢は61.7歳(33~87歳).全例に身体的徴候あるいは生化学的に異常を認めた.

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Achlorhydria does not protect against benign upper gastrointestinal ulcers during NSAID use: Janssen M, et al (Dig Dis Sci 39: 362-365, 1994)

 酸のないところに良性の胃十二指腸潰瘍が存在しないことは,一般に認められている.今回,NSAID服用中の患者において,無酸の血清学的証拠の有無と良性胃十二指腸潰瘍の発生頻度について検討を行った.857症例について,年齢,性別,NSAIDの服用,胃十二指腸潰瘍の既往についてアンケート調査を行った.

 無酸症の定義は,血清pepsinogen A<17μg/lとした.全患者中の36症,4.2%がこの基準に該当した.胃十二指腸潰瘍は,PgA<17μg/lでは8.3%,それ以上では69%に認められた.PgA<17μg/lで,胃十二指腸潰瘍を認めた3例は,いずれも悪性貧血患者で(潰瘍が以前に診断された2症例,同時診断された1症例)NSAIDを同時に服用していた.H. pyloriに対するIgG,IgA抗体は認められなかった.また,NSAIDの服用を中止することにより,病変の治癒が認められた.

編集後記 小越 和栄
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今月の特集は久しぶりの胆道疾患である.胆管癌の診断には種々の画像診断が行われている.また,その選択方法や検査の順序も様々である.スクリーニングには一般的に超音波診断が行われているが,その精査には多くの画像診断が行われている.本号では,これらいくつかの画像診断の特徴が比較できるような特集を目指した.

基本情報

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胃と腸
29巻8号 (1994年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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