胃と腸 28巻7号 (1993年6月)

今月の主題 十二指腸腫瘍

主題

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要旨 十二指腸腫瘍および腫瘍様病変は比較的まれで,X線検査や内視鏡検査が進歩・普及し,十二指腸が胃の次に位置する臓器でありながら,食道・胃・大腸などほかの消化管の腫瘍に比べ,臨床的になじみの薄い疾患と言えよう.十二指腸腫瘍および腫瘍様病変は,症状を有する古典的な腫瘍,検査で偶然発見される小病変,免疫組織学的に同定される内分泌細胞腫瘍の3つに大別できる.われわれは,この観点から,十二指腸腫瘍および腫瘍様病変を分類し,頻度を中心とした一般的事項を検討した.小腸全体でみると,小腸腫瘍自体が少なく,非上皮性腫瘍の占める割合が大きく,欧米に比べカルチノイド腫瘍が少ない.十二指腸癌はX線・内視鏡検査の普及により,乳頭上部の癌,特に早期癌の発見が増えており,早期癌では下行部より球部に多いことがわかった.更に,十二指腸腫瘍および腫瘍様病変をめぐって,十二指腸腫瘍が少ない理由,十二指腸癌の組織発生,十二指腸乳頭部癌の取り扱い,カルチノイド腫瘍といった問題について考察した.十二指腸腫瘍が少ない理由として,小腸の解剖・生理学的および免疫学的要因,小腸の発生・分化の関与などが示唆された.カルチノイド腫瘍は内分泌細胞腫瘍をめぐる概念の認識がまず必要であり,早期癌を含む他の十二指腸小病変と同様,丹念な内視鏡検査や免疫組織化学検査の普及によって,新しい知見,認識が得られるであろうことを述べた.

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要旨 内視鏡生検ないし切除の原発性十二指腸腫瘍・腫瘍様病変(乳頭部病変を除く)の77/103(74.8%)は異所性胃粘膜,Brunner腺過形成などの腫瘍様病変で占められ,上皮性腫瘍は21/103(20.4%),非上皮性腫瘍は5/103(4.8%)であった.上皮性腫瘍では腺癌が11/21(52.4%),腺腫が8/21(38.1%)を占め,非上皮性腫瘍は4/5(80.0%)が悪性リンパ腫であった.部位別の病変頻度では,第1部の63/72(87.5%)は腫瘍様病変であった.しかし第2部では腫瘍が16/30(53.3%)を占め,その内訳は腺癌9/30(30.0%),腺癌4/30(13.3%)であり,第2部に病変を認めた場合は,腺癌・腺腫を念頭に置く必要が示された.外科切除例,内視鏡切除例合わせて3例のBrunner腺腫瘍を経験した.3例ともに正常Brunner腺・過形成とは明らかに異なる組織形態像を示し,Ki-67染色により高い細胞増殖能がみられた.これらの病変は,従来は存在しないと考えられてきたBrunner腺の真の腺腫と考えられ,うち1例はBrunner腺腺癌と想定される異型の強い領域を伴っていた.

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要旨 1971年から1991年の21年間に経験した十二指腸悪性病変128例の内視鏡像,診断経過などから,診断,殊に質的診断における問題点の所在あるいは今後の対応などについて検討した.膵癌の直接浸潤や肺癌の転移など転移浸潤性病変の場合,悪性の診断は容易であった.乳頭部以外の原発性十二指腸癌10例中,進行癌8例は膵癌の直接浸潤との鑑別が問題となり,早期癌の発見には良性病変との鑑別や腺腫内癌に対する確実な診断が必要であった.腺腫のうち,家族性大腸ポリポーシス合併例の1例は4年8ヶ月の経過で1/3周性の巨大な病変になったが,切除材料でも癌巣は認められず,腺腫のまま大型化する病変の存在が推察された.またカルチノイドの肉眼診断は困難で生検診断に頼らざるをえなかった.

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要旨 上部消化管内視鏡検査5,335例における十二指腸球部隆起性病変の頻度および各疾患別頻度を検討した結果,その頻度は2.7%で,非特異性隆起性病変,異所性胃粘膜の順に多く,この二者で全体の77%を占めた.次いでX線および内視鏡検査が施行され球部に隆起性病変を認めた126例について,これらの所見に基づく新しい形態分類の提案を行い,各形態別の特徴について検討した.この分類は多発性3型と単発性4型に分けられ,前者はびまん性,顆粒状の胃小区様模様を呈するもの(A型),1~3mm大のびまん性ないし散在性細隆起(B型),そして4mm以上の表面平滑な無茎性小隆起(C型)であり,後者は表面平滑な無茎性ないし有茎性隆起(D型),中心陥凹を伴う表面平滑な無茎性ないし有茎性隆起(E型),結節状ないし分葉状の,無茎性ないし有茎性隆起(F型),そして胃小区様模様に類似した中心陥凹を伴う結節ないし分葉状の隆起(G型)である.多発性35例は悪性リンパ腫の1例を除きすべて良性であった.単発性91例の中で認めた悪性9例はカルチノイド,早期癌,転移性癌,悪性リンパ腫などであり,良・悪性の鑑別点は粘膜のびらんないし出血,中心陥凹辺縁の不整,短期間での増大傾向などであった.この分類を用いれば十二指腸球部隆起性病変の鑑別診断は容易であると考えられた.

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要旨 患者は76歳,女性.全身倦怠感と胸痛を主訴として近医に入院した.高度の貧血を指摘され,諸検査にて出血性十二指腸腫瘍の診断で当科へ転院した.上部消化管X線および内視鏡検査により球部前壁に基部をもつ6×3cm大の有茎性ポリープと診断された.血管造影では豊富な腫瘍血管が描出され,腹腔鏡でも十二指腸前壁漿膜に拡張した腫瘍血管の集中が観察された.腫瘍の大きさおよび出血の可能性も考慮し,外科的切除を行った.摘出標本は6.5×3×2.5cmの粗大結節状の軟らかい腫瘍で,組織学的に異型のないBrunner腺房の過形成から成っていた.以上から巨大Brunner腺腫と診断した.腺腫基部には血管造影所見に一致する豊富な血管組織が認められた.

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要旨 患者は86歳,女性.他院で十二指腸球部の隆起性病変を指摘され,精査治療目的で当科入院となった.上部消化管X線および内視鏡検査で十二指腸球部上壁に結節状の山田Ⅳ型の隆起性病変が存在した.頂部からの生検では腺腫との診断であったが,focal cancerの存在も否定できず,完全生検目的のため内視鏡的ポリペクトミーを施行し,24×22×20mm大の標本を回収した.病理組織学的には腺腫の一部に高分化腺癌が存在するcancer in adenomaの症例であった.本邦では内視鏡的切除を行った早期十二指腸癌42例中,生検で癌陽性の症例は16例と少なく,完全生検を目的とした内視鏡的ポリペクトミーは第一義的な診断・治療手技として有効であると思われた.

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要旨 患者は66歳,男性.主訴は上腹部不快感.成人病検診で胃十二指腸内視鏡を施行した際に十二指腸下降脚内側に隆起性病変を指摘された.病変は副乳頭より口側にあり大きさ1.5cm,表面に軽度の不整をみる扁平な隆起性病変であった.生検では粘膜上皮の過形成と異型腺管上皮をみる十二指腸腺腫と診断された.その後3~5か月ごとに内視鏡検査と生検による経過観察が行われたが,腺管上皮細胞の異型性は軽度で良性腺腫と診断されていた.初回の内視鏡検査から3年10か月を経た第10回目の生検で高分化型腺癌の診断を得た.比較的扁平な腫瘍であったこと,腫瘍存在部位が副乳頭に近かったことなどから,十二指腸切開による外科的局所切除が行われた.病理組織検査では粘膜癌でcarcinoma in adenomaの所見であった.十二指腸腺腫の経過観察に興味ある症例であった.

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要旨 患者は51歳,男性.7年前から末期慢性腎不全と診断され血液維持透析中であった.胃X線・内視鏡検査で,十二指腸球部から第2部にかけて発赤・びらんを伴う類円形の大小不同の隆起性病変が多発していた.strip biopsyと生検でBrunner腺過形成の確定診断を得た.現在までに本邦でのBrunner腺過形成の報告は多数あるが,このような形態および分布を示す症例はまれであり,その特徴像と成因について文献的考察を加えた.

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要旨 患者は66歳,女性.貧血を主訴に近医を受診し,上部消化管X線検査で十二指腸に隆起性病変が認められ精査目的で当院を受診.内視鏡検査で十二指腸球部に40×40mm大の有茎性ポリープが認められ,後日ポリペクトミーを施行.切除されたポリープは50×30×18mm大であった.内視鏡的にポリペクトミーされたBrunner腺腫は,これまでの報告では最大径60mmであるが,ポリープの全体の大きさを示す体積については,筆者らの症例がこれまでの報告中最大であった.

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要旨 患者は69歳,男性.胃癌検診をきっかけに十二指腸球部癌が発見された.X線検査では十二指腸球部前壁に径12mmのⅡa+Ⅱc様病変と,径8mmの半球状隆起が並んでいた.内視鏡および生検所見から,前者は深部浸潤型Ⅱa+Ⅱcと診断した.後者は粘膜下腫瘍様で頂点には強固な粘液の付着がみられた.病理組織学的には,前者は10×10mmの陥凹部に主座を持つ乳頭状腺癌で筋層まで浸潤していた.後者は田中らの粘液分泌型ポリープの1型に相当し,PCNA陽性の増殖細胞が粘膜下層から筋層直上に分布していた.本症例の小さな進行癌の成り立ちとして,粘液分泌型ポリープ内腔の増殖帯に癌が生じ,容易に筋層に浸潤した可能性が考えられる.

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 〔患者〕38歳,女性.主訴:心窩部痛.現病歴:1か月前から空腹時の心窩部痛を覚え,本院内科を受診した.

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 〔患者〕39歳,男性.検診で便潜血反応陽性を指摘され来院.大腸内視鏡検査で回盲部に腫瘤を指摘され,当科に紹介入院となった.

用語の使い方・使われ方

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 陥凹型早期胃癌のうち粘膜ひだ集中を伴う病変では,粘膜ひだ上に特徴的な悪性所見を認める場合が多い.従来①中断像(太まりもやせもせず中断しているもの),②先細り〔やせ像〕(ひだの先端が急に細くなるもの),③腫大(ひだ先端部が腫大膨隆するもの),④段差(ひだの途中で段差がみられるもの),⑤蚕食像,が悪性診断指標とされてきた.このうち中断,蚕食像が出現率も高く,また癌の浸潤境界と一致する率が高いと報告されている.ひだ集中を伴う病変においては古くから,潰瘍が先か,癌が先かの議論が行われてきた.その結果現在では「潰瘍の癌化はないか,あったとしても極めてまれ」とされている.したがってひだ集中は,ひだ集中を伴わない浅い陥凹型癌巣中に消化性潰瘍が生じ,粘膜筋板が破壊され,粘膜下層に線維化が起こり,その結果ひだ集中が起こると考えられる.すなわちひだ先端の中断像やひだが急に細くなる(先細り)部は陥凹型胃癌における癌細胞側方浸潤の先進部に一致する.したがって蚕食像の場合と同様に癌が表面に露出すると容易にびらんを発生し,正常の粘膜より浅い陥凹を示すようになるが,これらの変化がひだの先端に生じたものが,ひだの中断,ひだの先細り(やせ)である.

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 偽憩室形成(pseudodiverticular formation)は初め十二指腸球部の変形に使われたX線所見で,憩室様膨隆とも言われる.現在では内視鏡所見でも使用される.

 この所見は全消化管でみられるが,特に胃の大彎,十二指腸球部,小腸,大腸に多くみられる.この所見は多発または線状の潰瘍性病変によって形成される.治癒または陳旧化した潰瘍性病変による病変部の線維化のために潰瘍対側の健常粘膜はひきつれ,潰瘍の対側に偽憩室を形成し膨隆状変化をみる.この所見は炎症性疾患でみられ,腫瘍性疾患ではほとんどみられない.腫瘍性疾患との鑑別点の1つとして挙げることができる.

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要旨 患者は50歳,男性.下腹部痛,下痢,腹満感,食欲不振,全身倦怠感を主訴として入院.47歳時,腸穿孔で他院において緊急手術,回腸切除の既往歴あり.末梢血白血球数,好酸球数の軽度増加を認めた.経口小腸造影およびゾンデ法小腸造影で下部回腸に約10cmの管腔狭窄,浮腫状に腫大した皺襞およびその口側小腸の拡張を認めた.内視鏡的には浮腫状に腫大蛇行した皺襞上に活動性の小潰瘍を認めた.同部からの生検で粘膜下層に著明な浮腫と好酸球を主体とした炎症細胞浸潤を認めた.前医での回腸切除標本の見直しで好酸球浸潤は腸壁全層に認められ,好酸球性胃腸炎と診断した.中心静脈栄養療法のみで,症状軽快,腫大した皺襞は消失し,潰瘍も瘢痕を残さず治癒した.

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要旨 患者は71歳,男性.胃検診で異常所見を指摘され入院した.入院時の身体所見,一般検査所見に異常は認められなかった.胃X線所見では,胃角部に粘膜ひだ集中が認められ,そのひだは集中点より徐々に太まり,花弁状となっていた.粘膜ひだ集中点には顆粒状陰影と不整陥凹がある.X線診断はⅡc+Ⅱa型早期癌であった.内視鏡検査では,胃角部に発赤顆粒を伴う浅い陥凹があり,その周囲に徐々に高まる隆起がみられる.色素内視鏡像では隆起は花弁状で,全体像は菊花状であった.切除胃肉眼所見では,胃角部小彎に3.5×3.Ocmの大きさの,中央が少し陥凹し,その周辺が花弁状に隆起し,全体像は菊花状にみえる病変が認められた.病理組織学的検索では癌は高分化型腺癌(tub1),癌は粘膜内にとどまり,病変の中央にUl-Ⅲの潰瘍瘢痕が認められた.この型の早期癌は佐野が特殊型としたⅡc+Ⅱa型である.この例ではⅡcの面積よりⅡaのほうが大きく,早期癌分類の規約によればⅡa+Ⅱc型とすべきである.しかし,佐野も述べているように,この特徴のある形をした早期癌をⅡc+Ⅱa型とし1つの群として記憶しておくほうが,臨床診断上は有利である.

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要旨 患者は49歳,男性.検診で便潜血陽性を指摘され来院.注腸X線検査では上行結腸に扁平な隆起性病変を認め,大腸内視鏡検査では同部位にⅡa+Ⅱc型の腫瘍が認められ,生検で悪性リンパ腫と診断された.理学的には表在のリンパ節腫大はなく,CTや超音波検査でも腹腔内リンパ節腫大や肝脾腫はみられなかった.上行結腸原発悪性リンパ腫の診断で右半結腸切除を施行した.摘出標本では上行結腸に15×12mm大のⅡa+Ⅱc型の腫瘍を認め,組織学的には粘膜固有層,粘膜下層に浸潤したnon-Hodgkin's lymphoma,diffuse,mediurn-sized cell typeであった.免疫組織化学染色ではCD21,IgM,λで陽性を示し,B cell由来であった.大腸原発の早期悪性リンパ腫の形態について若干の考察を加えた.

早期胃癌研究会

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 1993年4月の早期胃癌研究会は4月21日,渕上(松山赤十字病院消化器),西元寺(北里大学内科)の司会で開催された.

学会印象記

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 第45回日本消化器内視鏡学会総会は5月13日から15日までの3日間にわたり,新潟県立がんセンター新潟病院内科・小越和栄先生を会長として,新潟県民会館を中心に盛大に開催された,総会1日目,2日目は雨天となり,5月としては肌寒ささえ感じたが,いずれの会場にも多数の会員がつめかけ,熱気にあふれた討論が行われていた.今総会では一般演題に6分の発表時間と4分の討論時間が設けられ,いずれの演題に対しても余裕をもって,踏み込んだ議論が行われたように感じられた.

 総会1日目のシンポジウム(1)「胃癌の発育・進展(あるいは自然史)からみた内視鏡的治療の問題点」(司会;八尾恒良,磨伊正義)は,最近注目されている内視鏡的粘膜切除術に対する理論的根拠を深るためにも,時宜を得た主題であった.発表の中では,それぞれの施設で,様々な理由で内視鏡的な経過観察がなされた興味深い胃癌症例が紹介された.これらの症例の分析から,どのような癌が発育・進展が早いか,遅いかが,ひとつの話題の中心であり,同時に内視鏡的粘膜切除の適応に関心が寄せられた.討論の中では,年齢,癌の組織型,内視鏡的形態あるいは超音波内視鏡による深達度診断,核DNAの分析などさまざまな角度からアプローチされた.個々の施設では癌の自然史を知り得た症例数に限界があったためか,今回の検討で完全な統一見解を出すまでには至らなかった印象があるが,今後も粘膜切除という先端的な治療法が発展するためには,ますます精密な内視鏡的観察と,多数の症例の蓄積と分析が必要であることが改めて認識された.

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欧文目次

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 本書は大腸の小さな上皮性腫瘍の臨床と病理について,特に平坦・陥凹型の早期癌について記述されたものです.早期大腸癌の診断学の歴史に始まり,平坦・陥凹型早期癌診断についての著者の豊富な経験が本書のいたるところに脈々と流れています.

 大腸内視鏡検査法が普及したのはつい最近のことであり,それはまだ一般化しているとは言えないでしょう.本書の大腸内視鏡検査法の解説を読んでいるうちにその検査ができるような,症例の写真を見ているうちに小さな平坦・陥凹型病変を発見してその病理組織診断をしているような気分になってきます,いわば大腸の小さな腫瘍の全貌が見えてくるので,内視鏡診断と治療を志す初心者,大腸腫瘍の病理学を学ぶ者にとって最高の好個の入門書であります.しかし,本書はそればかりではありません.

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編集後記 吉田 茂昭
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 周知のように十二指腸病変の大多数は消化性潰瘍であり,腫瘍性病変は極めて少なく,更にその中の悪性腫瘍はと言えば,むしろまれという範疇に入ってしまう.また,この十二指腸腫瘍の意味するところはかなり曖昧であり,殊に十二指腸ではブルンネル腺の過形成による隆起性病変をブルンネル“腺腫”と呼んでいることもあって,その曖昧さに拍車をかけているように思われる.

 今回,「胃と腸」として初めて十二指腸腫瘍を主題として取り上げることになったが,その際に問題となったのはまさにこれらの点であった.したがって,主題を担当された方々には,病理学的な“neoplasm”に限定せず,腫瘤像を形成する病変を広く含めて執筆をお願いし,症例数を含めて,まずその現状を把握することを第1の目標とした.

基本情報

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胃と腸
28巻7号 (1993年6月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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