胃と腸 28巻6号 (1993年5月)

今月の主題 大腸腫瘍切除後の経過追跡

序説

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 大腸のポリペクトミーが日常診療の中でこれだけ頻繁に行われるようになった結果,ポリペクトミー後の経過観察の仕方が大きな問題になってきた.腸切除後の潰瘍の治癒経過を観察したり,有茎性腺腫の摘除後の局所再発の有無を確認する目的で何度も内視鏡検査を行うことは,もはやルーチン検査としての妥当性が認められなくなってきた.妥当でないというよりは,むしろ無駄な検査で行うべきではないと言うべきであろう.初めから厳しい苦言を呈するのは,本特集の目的とするところが大腸腫瘍に対するポリペクトミーあるいは大腸切除後に,一般的に行われていると推察される経過観察の仕方に警鐘を与えることにあるからにほかならない.

 大腸にひとたび腺腫,癌などの腫瘍性病変が発生すると,その粘膜に新たに腫瘍性病変が発生する頻度が高くなるということはよく知られている.すなわち,腺腫に対するポリペクトミー,癌に対する腸切除が行われた残存大腸は大腸腫瘍発生の高危険臓器であり,そのように認識して対処しなければならないのである.単に腺腫を摘除した跡や吻合部のみに注意を払い,腫瘍発生の頻度の高い広範囲の大腸粘膜の観察を怠っては第2の腫瘍を見逃すことにもなりかねない.したがって,ポリペクトミーおよび大腸癌手術の後には,新生する腫瘍性病変の早期発見のために,大腸全体の定期的な検査が必要となってくる.これが単純な経過観察(follow-up)と異なり,サーベイランス(surveillance)と呼ばれるゆえんである.大腸癌手術後には,局所再発の早期発見を目的としたサーベイランスが必要であるが,大腸全体のサーベイランスも同様に重要であり,特に局所再発の危険が去った3~5年以後は,ポリペクトミー後と同じ目的でサーベイランスを行うことが必要になってくる.

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要旨 サーベイランスを施行した111例,延べ551回の全大腸内視鏡検査(1972~1991年)を対象として,異時性大腸癌,大腸腺腫の発生とその期間について検討を加えた.異時性大腸癌の発生はG2腺腫から2例3病変,G3腺腫とG4腺腫(m癌)から各1例の合計4例(3.6%)5病変で認められ,その期間は平均3.4年であった.また頻度はG2腺腫で低く(2.7%),G3腺腫(5.3%),m癌(6.7%)でやや高かった.経過が2年未満で異時性腺腫が発生する頻度は極めて低く(7.7%),4年未満では46.7%で出現し,4年以上では70%以上で発生した.いったん消失してから第2の腺腫が発生するまでの期間は3年10か月±2年4か月であり,通常の腺腫摘除後には3~4年に1回のサーベイランスを施行すればよいことがわかった.

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要旨 最近の10年間に国立がんセンターで大腸ポリペクトミー後,局所再発を来した10症例11病変を対象に,再発病変の肉眼的・組織学的特徴について検討した.対象症例の初回ポリペクトミー時の組織学的所見は腺腫4病変,腺腫内癌5病変,sm癌2病変であった.腺腫と腺腫内癌症例のポリペクトミー前と再発時の肉眼形態的推移をみると,ポリペクトミー前Ⅰp型の5病変は再発時にはⅠp型2例,Ⅰs型,Ⅱa型と結節集籏型の各1例へと変化していた.その他のポリペクトミー前Ⅰs型の2例はⅠs型とⅡa型の各1例に,Ⅱa型の1例はⅡa型に,結節集籏型の1例は小結節に変化し,再発病変では背が低くなる傾向が認められた.また,9病変中4病変にひだの集中や潰瘍搬痕像を認め,ポリペクトミー後の再発像の特徴と考えられた.組織学的変化をみると,初回ポリペクトミー時に腺腫であった4病変は腺腫2病変,腺腫内癌2病変に推移し,腺腫内癌5病変は腺腫4病変,腺腫内癌1病変へと変化していたが,sm癌や進行癌などの浸潤癌に変化したものは認められなかった.sm癌2症例ではポリペクトミー後の経過観察中,2例とも粘膜面に異常所見を認めない時期が存在した後,6か月後と7か月後に進行癌像として認められた.また,1例ではポリペクトミー部位近傍にリンパ節転移が粘膜下腫瘍像として認められた.

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要旨 1980年1月より1992年10月までの聞に大腸腫瘍の内視鏡的切除を行い,その後,経過観察された337例について検討した.また,その期間に診断された表面型大腸腫瘍192病変の合併病変と,そのルーチンX線検査の描出能について検討し,次のような結論を得た.①初回病変が単発であっても,多発であっても経過中に癌を見つける率は変わらなかった.また,腺腫例と早期癌を含む例を比較しても変わらなかった.②経過観察中に見つかった癌は,右側結腸に多かった.③内視鏡検査の見逃し率は,5mm以下で27.4%,6~10mmで12.5%であり,上行結腸,直腸,S状結腸で高かった.④表面型大腸腫瘍のルーチンX線描出能は,5mm以下のⅡa,Ⅱa様腺腫で60%,Ⅱa+Ⅱc,Ⅱa+Ⅱc様腺腫,Ⅱc,Ⅱc様腺腫(Ⅱc+Ⅱa,Ⅱc+Ⅱa様腺腫を含む)で46%であった.また,内視鏡検査で見逃された21病変のうち9病変が描出されていた.⑤Ⅱa,Ⅱa様腺腫は,隆起型腺腫,隆起型早期癌との合併が多く,17病変の表面型腫瘍が合併していた.また,進行癌との合併が5例にみられた.Ⅱa+Ⅱc,Ⅱa+Ⅱc様腺腫でも,11病変の表面型腫瘍の合併をみた.しかし,Ⅱc,Ⅱc様腺腫(Ⅱc+Ⅱa,Ⅱc+Ⅱa様腺腫を含む)では,隆起型腺腫との合併は少なく,表面型腫瘍との合併はなかった.以上より,表面型大腸腫瘍は,同時性にも,異時性にも多発するものが多く,経過観察では見逃し病変の拾い上げが重要である.

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要旨 表面型大腸腫瘍の内視鏡治療後の経過を検討した.対象は当院で内視鏡検査を4回以上受け,初回検査時に表面型腫瘍を内視鏡治療された145症例である.その結果,検査回数を重ねると腫瘍発見治療率は減少し,Ⅱa+Ⅱc,平坦・陥凹型腫瘍,creping tumorはその割合は少ないが検査ごとに発見・治療された.早期癌は,隆起型では検査3回目までに治療されていたが,表面型およびcreeping tumorでは検査回数を重ねても発見・治療された.陥凹型は他の形態と異なり,検査4回目までsm癌が認められた.内視鏡治療後の経過観察の留意点は,検査回数とは関係なく表面型腫瘍,その中でも陥凹型癌を念頭に置き,注意深い観察を行うことである.

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要旨 過去11年間(1981~1991年)に癌研究会附属病院で切除した大腸癌術後患者の残存腸管のサーベイランス結果に基づいて,腫瘍性病変の発見率とリスクファクターを検討した.489例(36.0%)が内視鏡によるサーベイランスを受け,110例(22.5%)に腺腫,32例(6.5%)に癌が発見された.癌を発見した32例中10例は局所再発ないし播種性病変と判断され,7例は同時性多発癌と判断され,15例が異時性多発癌と考えられた.手術時腺腫合併例での腺腫,癌の発見率はそれぞれ37.5%,8.2%で,非合併例では,それぞれ15.4%,2.7%だった.大腸癌の家族歴や,他臓器癌の既往も異時性多発病変のハイリスクと考えられた.また,腺腫を合併しない症例のサーベイランスで,早期に進行癌で発見される症例があり,rapid growing typeの大腸癌の存在が示唆された.

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要旨 初回内視鏡検査での生検にて腺腫と診断された,10mm以下の無茎性,亜有茎性の隆起型大腸腺腫(以下,大腸隆起型腺腫と略す)99例105病変について,2年~10年1か月(平均4年1か月)の経過観察を行い,以下のような結果を得た.①10mm以下の大腸隆起型(半球状)腺腫について,平均観察期間4年1か月では形態変化を伴う著しい増大は認めず,増大病変のほとんどは軽度(2~3mm)の増大であった.②10mm以下の大腸隆起型腺腫に対する積極的なポリペクトミーは,大腸癌を減少させるためにさほど有効に作用していないだろうと推定された.③腺腫か癌かの生検による病理診断が十分に確立していない現状では,10mm以下の大腸隆起型腺腫に対する処置は,一定期間経過観察を行い,大きさや形態の変化を認めた時点でポリペクトミーなどを考慮してもよいのではないかと考える.

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 丸山 それでは座談会を始めさせていただきます.まず私のほうから口火を切らせていただきます.「大腸腫瘍切除後の経過追跡」という主題なのですが,最初にポリペクトミー後のサーベイランスの問題と,それから大腸癌術後の残存腸管のサーベイランスと,2つのトピックスに分けたいと思います.

 最初にポリペクトミー後のサーベイランスを取り上げます.このポリペクトミーは,実際には,大部分の腺腫,それから粘膜内癌,m癌と称するもの,更に,最近ではsm1と称する,非常に軽度な粘膜下層の浸潤を呈するsm癌も一部含まれます.しかし,長い時間経過でみると,恐らく大部分は腺腫かm癌ということになるだろうと思います.

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 〔患者〕64歳,男性.食事摂取後の胸部痛と違和感を主訴に,食道造影と食道内視鏡検査を施行し,食道病変を指摘された.

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 〔患者〕38歳,男性.胃検診を受け異常所見を指摘された.入院時の一般検査成績に異常所見は認められなかった.

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 ひだの蚕食像(虫食い像)はⅡc型早期胃癌を中心とした陥凹型留癌に認められる所見で,悪性診断指標の最も重要な所見の1つである.集中するひだの.先端にも認められるし,ひだ集中を伴わない場合にも癌の辺縁に認められる.

 蚕食像(虫食い像)とは字のごとく,蚕が桑の葉を食べているとき,その桑の葉の形態が似ていることに由来した名称と思われる(虫食い像はネズミにかじられたような感じを表現した名称で“mouse-eaten”と訳されている.蚕食像と虫食い像は同じ所見である).Fig.1に実際に蚕が桑の葉を食べているところを示す.桑の葉の辺縁は微細な不整を示す.

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 棍棒は,そもそも浄化を表す剣とは対照的に,懲罰に使われた道具で,攻撃的な力や勇猛さの象徴である.オリーブの木で作った棍棒を手にした,ギリシア神話のヘラクレスの像を思い浮かべる人も少なくないだろう.

 古くから,X線診断上,集中ひだの先端が太まっている所見は,棍棒状の肥大,肥厚と表現され,癌診断の有力な手がかりとされてきた.これは単に,形の類似から連想されただけでなく,この言葉の持つ荒々しいイメージも強く働いて名付けられたのかもしれない.

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要旨 患者は73歳,男性.胃集検で体上部後壁に多発する隆起性病変を指摘され,精密検査を目的として来院.X線・内視鏡検査により,びまん性粘膜下異所腺に合併して早期胃癌3病巣と胃腺腫2病巣を発見した.胃全摘術を施行し,標本を全割して行った病理組織学的検索では胃腺腫の1病巣が高分化型腺癌に診断を改められ,早期胃癌4病巣と胃腺腫1病巣に加えて,微小Ⅱb3病巣が発見され,合計早期胃癌7病巣と胃腺腫1病巣が証明された.びまん性粘膜下異所腺の診療に際しては胃癌の合併,中でも多発胃癌に十分に注意する必要があると考えられた.

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要旨 食道胃接合部に発生したpseudomalignant erosionの4例を報告した.全例とも自覚症状に乏しく,検診にて消化管造影あるいは内視鏡検査によって発見された単発性のポリープであり,生検あるいはpolypectomyが施行された.組織学的には,ポリープの表面を覆う重層扁平上皮の一部がびらん性病変を形成し,同部には炎症細胞浸潤を伴う肉芽組織に加えて,大型の組織球様ないし内皮細胞様の,細胞異型および核分裂像に富む細胞が多数認められた.この異型細胞は免疫組織化学的にはvimentinにのみ陽性を示し,他のマーカーはすべて陰性であった.以上より,pseudomalignant erosionと診断した.6か月~6年4か月経過した現在まで再発を認めていない.

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要旨 S状結腸に発生した顆粒細胞腫の1例を経験した.患者は交代性の便通異常を主訴に来院した71歳の女性で,注腸X線検査および内視鏡検査でS状結腸に約8mm大の広基性の腫瘤を認めた.腫瘤は中心が膨隆し,乳房様に2段となった特異な形態を呈していた.超音波内視鏡検査では第3層に均一な低エコーを認め,カルチノイドや粘膜筋板由来の筋腫との鑑別が困難であったが,ポリペクトミー可能と判断された.ポリペクトミーで摘出された腫瘍の大きさは8×8mmであった.病理診断は,H・E染色では細胞質に好酸球性の顆粒を有する細胞から構成され,免疫組織染色でS-100蛋白陽性の顆粒細胞腫であった.

早期胃癌研究会

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 3月の早期胃癌研究会は,3月17日(水)に開催された.司会は岡崎(周東総合病院内科)と磨伊(金沢大学がん研究所外科)が担当し,食道2例,胃2例,大腸2例が検討された.

学会印象記

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 第79回日本消化器病学会総会は,京都府立医科大学公衆衛生学・川井啓市教授を会長として,3月29日から3日間,国立京都国際会館を会場として開催された.第1日目は小雪混じりの寒い1日であったが,2日目,3日目は穏やかで暖かい学会日和(?)であった.会場が国際会館1か所のみであったこともあり,多数の会員で会場は大変な混雑であった.

 今回の学会は,川井会長の“医学が研究の進歩だけを誇りとする時期は過ぎ,杜会との調和の中で,周辺の領域との関わりの中で進むべきもの”とのお考えで,「消化器病の進歩と社会」を意識した構成とのことであった.プログラムは,川井会長による会長講演に始まり,鎌田武信教授(大阪大学第1内科)の次期会長講演,特別講演5,招待講演3,宿題講演2,シンポジウム2,パネルディスカッション2,リサーチフォーラム10,600題近い一般演題,200題を越えるポスター演題,10名の外国ゲスト講演者によるGuest Lecture,昼食の時間帯に組み込まれたMeet The Professors 15,国際シンポジウム4,卒後教育セミナー8,学会附債研究会5など,実に盛り沢山な内容であった.時間的な制約から全体のごく一部のセッションに参加できたにすぎず,くやしい思いを随所にしたことが残念であった.

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欧文目次

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 19世紀後半から20世紀初めになって,ようやく人類は膵臓疾患を認識し膵臓の構造と機能を解明しはじめた.20世紀を3期に分けてみると,膵臓外科は初めの1/3世紀が揺藍期であり,次の1/3世紀が青年期で膵臓の良性・悪性疾患に対し積極的に外科的治療を試み,現在を含む1/3世紀である成人期の基礎を作った時期であった.20世紀もあと数年となった今日,膵臓外科医として衆目の一致する齋藤洋一,中山和道,高田忠敬の3教授が編集された本書は,約90人におよぶ本邦の膵臓病を専攻する医師により執筆されたもので,執筆者の大半は外科医であるが,少数ながら高名な病理学者や内科医もそれぞれ重要なテーマについて担当されている.本書が研修医および一般病院の若手勤務医を主たる対象として編集されたものとはいえ,まことに成人期の膵臓外科の集大成ということができる.

 本書は“外科に必要な膵臓の構造と生理機能”にはじまる.この章には,膵臓の発生と異常,解剖と微細構造のほか,内外分泌について触れ,更に膵臓と臓器相関が述べられている.第Ⅱ章は“膵臓疾患における概念と規約の解説”であり,急性膵炎の重症度判定基準,慢性膵炎の臨床診断基準,膵癌取扱い規約が解説され,わが国で発見され追究されてきた粘液産生膵癌が詳述され,膵管癒合不全や膵胆管合流異常についても述べられている.第Ⅲ章は“膵臓外科における形態学的診断法”であり,近時とみに進歩発達を遂げた画像診断法による鑑別や癌進展度の診断について詳述されており,細胞診や組織診にまで言及している.第Ⅳ章は“外科に必要な膵機能検査”であり,膵外・内分泌機能検査について述べられているが,腫瘍マーカーについても記述されている,第Ⅴ章は“術前後・術中管理”で,術前・術中・術後管理のほかに退院後の管理について,更に膵手術と栄養管理にまで論述されている.第Ⅵ章は"外科的治療を必要とする膵疾患の治療方針"と題し,膵外傷から膵液瘻,急性・慢性膵炎,膵嚢胞,膵癌,膵内分泌腫瘍に至るまで治療方針が記載されている.

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 最近は教科書や論文をじっくり読んで勉強する傾向が特に若い世代では少なくなり,ビデオなど視覚による教育が盛んになった.そのような時代にマッチした教科書が出版された.羽白清部長・鎌田武信教授共著の「670のプログラム教程一肝・胆道・膵疾患へのアプローチ」である.肝胆膵の解剖,生理,病理,疾患の診断と治療がプログラム教程によって容易に学習できるように配慮されている.

 本書を開くと,右側のページには肝胆膵についての問題がピットと呼ばれる概念の最小単位にまとめられており,その中の空欄を適切な解答で埋めることによって学習できるようになっている.空欄の解答は問題の右側に書かれている.左側のページには問題を解くために必要な知識がイラストで示されている.イラストはきれいで大変わかりやすい.

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 Dietary risk factors for the incidence and recurrence of colorectal adenomatous polyps. A casecontrol study: Neugut AI, et al (Ann Intern Med 118: 91-95, 1993)

 著者らは,大腸腺腫の発生と再発に関する食事性危険因子を明らかにするため,以下の2つの症例対照研究を行った.1つは初発腺腫の研究で,初発腺腫患者286人と対照(現在も過去も大腸腫瘍症がない)480人との比較,もう1つは再発腺腫に関する研究で,再発腺腫の186人と330人の対照(腺腫の既往症があるが再発なし)との比較である.これらの人々に面談し,総脂肪,飽和脂肪,線維,蛋白,炭水化物,カロチン,ビタミンA,C,Eなどの摂取について調査した.

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 Location of the lower oesophageal sphincter and the squamous columnar mucosal junction in 109 healthy controls and 778 patients with different degrees of endoscopic oesphagitis: Csendes A, et al (Gut 34: 21-27, 1993)

 長期間存続する明らかな食道炎症状を有する778例(うち42.6%は内視鏡的に無所見,Barrett食道28.8%)をSavary分類による食道炎の重症度別にみた.重症になると共に平均年齢が上昇した.Grade 0~Ⅱは女性に多く,Grade Ⅲ~Ⅳは男性に多い.有症状率でみると,内視鏡的な重症度と胸やけ・おくびは無関係で,嚥下困難のみがGrade Ⅳ(狭窄があるBarrett食道)でほかより多かった.

編集後記 牛尾 恭輔
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 人体の中で,消化管は毎日の飲食を通して化学的,物理的,生物学的に外からの刺激を受ける器官である.大腸ではこれに胃液,胆汁や膵液,小腸液といった内からの酵素系やその産物が加わるため,種々の病変が生じやすいのは当然である.更に,中・高年者では加齢という時間的要因が加わるため,腫瘍として腺腫や癌が生じやすい.また,病変には発生時点や発育進展に差があるため,大きさの大小不同がみられたり,種々の形態を示しやすい.

 さて最近,問題となってきたのは,大腸の腺腫や癌で治療を受けた患者や5mm以下の病変に対して,経過観察やサーベイランスをどのようにするかである.これは医療経済や多忙な臨床の場での処理能力にも直結している.主題論文の著者らの見解には微妙な違いがみられ,また,座談会では悩みや本音が述べられていることに読者は気がつかれよう.

基本情報

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胃と腸
28巻6号 (1993年5月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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