整形・災害外科 64巻11号 (2021年10月発行)

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特集　モバイル端末を用いた整形外科診療・研究

扉折田　純久 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1360-1360

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近年のIT技術はめまぐるしい進化を遂げており，スマートフォンをはじめとするモバイル端末は数え切れないほどの進歩をわれわれの生活にもたらし，その手軽さもあいまってこれまで得がたかった多くのデータを提供している。本特集では積極的にモバイル端末を中心としたIT技術を整形外科診療・研究に導入されている先生方に，最新の知見を解説していただいた。

ロコモニタープロジェクト -—スマートフォンで測定した活動量データによる運動習慣の継続的・客観的モニタリング— 吉村　祐輔 , 劉　立足 , 金子　晴香 , 平澤　恵理 , 内藤　久士 , 石島　旨章 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1361-1369

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要旨：運動器診療・研究にモバイル端末を活用する最大の意義は，受診や測定者を必要とせずいつでもどこでも生活習慣・移動機能を継続的かつ定量的なリアルワールドデータとして非侵襲的に把握できることだと考える。ロコモニタープロジェクトは，ResearchKitを活用した日本初の医学研究であり，短期間に全国から幅広い世代の被験者を得た。収集データから，若年層からロコモティブシンドローム（ロコモ）は進行し，かつロコモ非該当者においても移動機能の低下が進行すること，および，肥満がロコモのリスク因子，運動習慣がロコモのリスク軽減因子であることが示唆された。今後は，スマートフォンで測定した活動量に基づくデジタルバイオマーカーの探索を通して，疾患の早期発見や治療効果判定などにもモバイル端末を活用していきたい。

脊椎外科におけるXR（VR，AR，MR）の導入成田　渉 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1371-1379

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要旨：近年，VR，AR，MRを包括したextended reality（XR）と総称される技術が注目されている。2016年に前方・側方固定術後の側臥位PPS刺入用として最初のVRシミュレーターの開発を試みた。2017年にMRを実装したHMD（MR-HMD）であるHoloLens^®が発売され，術中支援装置として用いた。術前に執刀医がスクリュー軌道をプログラミングしてMR-HMDに入力し，術野へ重畳表示した。術中支援では患者個別の解剖と術前にデザインしたスクリューやケージの挿入軌道を術野に投影しながら手術が可能であった。また，遠隔地のXRシステムや手術室同士をインターネットで相互接続し，同一仮想空間内でのカンファレンスを試みた。XRの臨床応用としてはデバイスが位置情報および視線の共有機能を有することから優れた教育およびコミュニケーションの手段としても有用と考えている。

「自撮り」写真による外反母趾角の評価山口　智志 , 木村　青児 , 牧　聡 , 井上　佳奈 , 折田　純久 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1381-1385

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要旨：長期間にわたり緩徐に進行する外反母趾の治療では，早期診断のためのスクリーニングと定期的な進行のモニタリングが重要である。医療機関の受診を要し，また被曝を伴うX線に代わり，足の外観から外反母趾角を推定する方法が報告されている。われわれは，スマートフォン（デジタルカメラ）で自分の足を撮影した「自撮り」写真を用いて外反母趾角を計測する方法を考案した。「自撮り」による外反母趾角の計測は高い信頼性を持ち，またX線で計測した外反母趾角と高い相関があることを示した。さらに，人工知能を用いることにより計測を自動化することができた。スマートフォンアプリを用いた遠隔診療は，皮膚科や眼科領域では既に実用化されている。足部・足関節疾患の診療でも，外反母趾に限らず，外観から足部変形を評価することが多い。今後，スマートフォンを用いた遠隔診療の実用化が期待される。

認知行動療法による腰痛ケアアプリを用いた慢性腰痛治療の試み江口　和 , 清水　啓介 , 稲毛　一秀 , 折田　純久 , 志賀　康浩 , 大鳥　精司 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1387-1391

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要旨：腰痛の生涯罹患率は85％と報告され，本邦の厚生労働省の報告においても，腰痛は男性1位，女性2位にランクされる国民愁訴である。少子高齢化に伴い，高齢者の慢性腰痛の増加，財源・マンパワー不足など，超高齢社会の医療，さらに昨今の新型肺炎に対応するため，遠隔医療のニーズが高まっている。認知行動療法（CBT）は慢性腰痛の治療においても高いエビデンスがあるが，治療には時間とコストがかかりCBTを受けている患者は少ないのが現状である。Apple社のResearchKitを用いてCBTによる腰痛ケアアプリを開発した。本アプリを用いた2週間の短期的なCBT介入で腰痛は改善を示すことがわかった。身につける端末を用いることで，診察以外でも患者の状態を診ることが可能となる。またかつてないほど大規模な腰痛調査が可能となり，フィードバックにより慢性腰痛の予防・改善支援につながることが期待できる。

慢性疼痛治療におけるAI技術の現状と臨床応用青野　修一 , 牛田　享宏 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1393-1399

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要旨：慢性疼痛は，器質的な要因だけでなく，心理的な要因や，社会的な要因にも関連しており，これらの要因が関係し合うことで病態を複雑・難治化させていることが知られている。このような慢性疼痛の治療には，生物心理社会モデルに基づいて多職種で連携してチームとして多角的に治療する集学的治療を実施することが推奨されている。愛知医科大学では他の施設と共同で，その集学的治療のノウハウを学習させた人工知能（AI）を用いた疼痛診療支援AIシステムの研究を進めている。また，その際に必要な多種多様な疼痛関連情報を，モバイル端末を活用しながら収集・集約するツールの開発を行い，痛みのデータベースとAI技術との学際的領域（医学と情報工学の連携）の研究に取り組んでいる。

ウェアラブル端末を用いた腰痛患者の実態評価と従来評価の限界井上　雅寛 , 折田　純久 , 稲毛　一秀 , 志賀　康浩 , 川崎　洋平 , 大鳥　精司 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1401-1406

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要旨：腰痛は国民愁訴の最多を占める愁訴であり，その病態を把握・解析していくことは喫緊の課題であるが，腰痛評価は患者立脚型アウトカムによる主観的評価が主であり，客観的評価に乏しいことが現状である。われわれは，IoTやデバイスの改良が進み，健康を簡便かつ経時的に評価可能とするウェアラブル端末（Micro Motionlogger[米国A. M. I社]）を用いて，腰痛に伴う活動量変化に着目し，研究を行ってきた。本稿では，腰痛患者の活動量に影響する因子は何か，さらに慢性腰痛疾患に対する手術治療の経過において活動量はどのように変化していくのかを客観的に評価し，腰痛患者の活動量には社会的背景や体組成が影響すること，手術前後の活動量について主観的評価と客観的評価には乖離があることを報告した。ADL/QOL評価においてウェアラブルデバイスは有用であり，今後より発展した調査・研究が望まれる。

ウェアラブルセンサーで測定した投球肘ストレスと超音波評価吉川　智也 , 美舩　泰 , 乾　淳幸 , 西本　華子 , 黒田　良祐 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1407-1413

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要旨：投球障害の中で肘関節の障害は最も多くみられる。今回，投球肘ストレスをウェアラブルセンサーmotus THROWで測定し，肘外反制動機能も果たしている前腕回内屈筋群（FPMs）の組織弾性を超音波剪断波エラストグラフィ（SWE）で評価し，その相関を検討した。投球側肘にmotus THROWを装着して100球全力投球し，投球前，直後，24時間後で投球側FPMs（FDS，FDP）の組織弾性をSWEで測定した。motus THROWで測定した肘外反ストレス値は平均30.3 N・mであった。ストレス高値（≧30）群と低値（＜30）群の2群に分けてSWEの結果を評価した。投球前FDS，FDPともに高値群で有意に組織弾性が高かった。また，高値群のFDSのみ24時間後も高値のままであった。この結果から，FPMsが硬いと投球肘ストレスが高くなる，また投球時にはFDPよりFDSの方により大きな負荷がかかっている可能性が示唆された。

汗中乳酸ウェアラブルセンサーによる乳酸性閾値計測中島　大輔 , 勝俣　良紀 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1415-1421

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要旨：運動療法が生活習慣病予防に有効であることは広く知られているが，医療機関での厳格にモニタリングされた運動リハビリテーションから日常生活における運動までの広い範囲で，簡便かつ日常的に測定できる，定量的な運動負荷計測方法は存在しない。これまでわれわれは汗中乳酸をリアルタイムかつ連続的に測定可能なウェアラブルデバイスを開発してきた。今回同装置を用い，汗中乳酸による嫌気性代謝閾値仕事率が，血液乳酸による嫌気性代謝閾値仕事率と換気性作業閾値を良好に予測しうることを証明した。現在までに運動負荷量計測のゴールドスタンダードは呼気ガス分析により算出される換気性作業閾値であったが，高価かつ煩雑である。人手を要するなどの要素により，医療施設での運用に限られていた。今後われわれの開発品のようなウェアラブルデバイスが普及することで，あらゆるシチュエーションで簡便に運動負荷量を計測できるようになる可能性がある。

Personal View

点と点をつなぐ江幡　重人 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1355-1355

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Youtubeを探していると，スティーブ・ジョブズが2005年にスタンフォード大学卒業式で行ったスピーチの映像をたまたま見つけた。有名なスピーチなので，知っている方もたくさんいるだろう。思わず懐かしい気持ちになり最後まで見てしまった。

整形外科手術　名人のknow-how

弛みのないステムを再置換するには -—ステムの抜去と人工股関節再置換術の実際— 名越　智 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1356-1359

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近年，人工股関節再置換術（revision total hip arthroplasty；reTHA）に至る原因疾患に変化がみられている。従来は臼蓋カップ，ステムの弛みが37.4％，脱臼が22.9％，感染が15％，ポリエチレン摩耗が12％であった^1）。しかし，金属-金属摺動面をもつ人工股関節に代表されるadverse reaction to metal debris（ARMD）やポリエチレンと金属骨頭間の関節摺動面をもつ人工股関節のtrunnionosis（ARMDの原因がステムネックtrunnionにある場合）が報告されている^2）3）。感染や脱臼，ARMD例におけるreTHAではステムに弛みがなく，固着したステムの抜去が必要となる^4）。

スポーツ医学つれづれ草

文の言葉などぞ武藤　芳照 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1422-1422

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先般，スポーツ医学関連の新刊書籍の企画・監修作業をしていた折のこと。他の編集担当のスポーツ医や出版社のスタッフらと共に，各項目の分担執筆者を割り振っていたところ，ベテランの医師が多く担当することになっているが，若いスポーツ医にも参画していただくこととなった。私自身，30代前半から，先輩たちの様々な書籍の分担執筆者の一人として参画させていただいたことから，論文執筆や文章修業が始まったこともあり，大いに賛意を示した。

新しい医療技術

手術部位感染予防における術野消毒の現状と展望竹内　優志 , 尾原　秀明 , 川久保　博文 , 北郷　実 , 岡林　剛史 , 北川　雄光 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1423-1426

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要旨：手術直前に切開部位に塗布する術野消毒薬は，手術部位感染の予防策として極めて重要な役割を担っている。今回われわれが行った消化器外科領域の手術を対象とした前向きランダム化比較試験で，従来のヨウ素系消毒薬と比較して，新規消毒薬であるオラネキシジングルコン酸塩液（以下，オラネキシジン消毒薬）の使用により手術部位感染が大幅に減少することが明らかとなった。この研究成果は消化器外科領域のみならず，あらゆる領域の手術や医療処置に応用可能と期待される。

机上の想いのままに

手術は救済手段で治癒手段ではない西野　仁樹 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1427-1427

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外来で患者さんと手術の話をしていると，「手術をしたけど治らなかった人を知っている」「手術をして悪くなった」と言われることがよくある。「悪事千里を走る」というが，患者さん同士の噂話はもっぱら「手術をしても思い通り良くならない」ことが主役である。

臨床

大腿骨近位部骨折術後患者の経口エネルギー摂取量と退院時転帰との関係森永　伊昭 , 白戸　香奈子 , 安田　肇 , 宮本　誠一 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1429-1440

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要旨：大腿骨近位部骨折術後患者の経口エネルギー摂取量（摂食量）と治療成績との関係についての先行研究は少なく，回復期リハビリテーション（リハ）病棟での詳細は明らかでない。回復期リハ病棟の1,247例を対象に，転入時の摂食量，退院までの摂食量増加と退院時転帰との関係を調査した。転入時には症例の79.2％が低栄養で，摂食量は22.8％が基礎消費エネルギー量未満，72.1％が推定エネルギー必要量未満だった。アウトカム：退院時歩行Functional Independence Measure（FIM）は，受傷前歩行FIM維持・改善64.5％，自立53.5％，寝たきり防止85.4％，回復期リハ病棟入院中の合併症発症は16.0％だった。多変量ロジスティック回帰分析では，転入時摂食量と上記4アウトカム向上（各p＜0.001〜0.027），摂食量増加と歩行3アウトカム向上（各p＜0.001〜0.025）には有意な関連があった。急性期病棟や回復期リハ病棟での摂食量増加は，大腿骨近位部骨折術後患者の治療成績改善に寄与する可能性がある。

リバース型人工肩関節全置換術における関節窩外側化と上腕骨外側化の臨床成績の比較久保　憂弥 , 姉嵜　竜馬 , 久保　直之 , 山門　浩太郎 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1441-1447

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要旨：従来のリバース型人工肩関節（RSA）はGrammont型が主流であったが，回旋可動域の制限やscapular notchの発生率が高いといった合併症が懸念されていた。これらの合併症を回避するため，近年では関節窩外側化あるいは上腕骨外側化の2種類の外側化RSAが提唱されている。本研究の目的は，関節窩外側化RSAと上腕骨外側化RSAおよびGrammont型RSAの術後成績の比較検討を行うこととした。結果，術後の疼痛・機能スコアや挙上可動域において3群間に差はなかったが，外旋可動域はGrammont型と比較してどちらの外側化デザインも有意に優れ，特に上腕骨外側化型では改善が大きかった。外側化RSAは，関節窩側と上腕骨側のどちらの外側化においてもGrammont型に対して同等の除痛，機能スコアおよび挙上能力を維持しつつ，優れた外旋可動域が期待できる術式であることが示唆された。

Anterolateral-supine approachを用いた人工股関節全置換術における腸骨大腿靱帯垂直線維温存の効果栗島　宏明 , 山田　則一 , 田中　秀達 , 坂本　敬 , 大沼　正宏 , 大山　正瑞 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1449-1452

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要旨：仰臥位前側方進入法を用いた人工股関節全置換術において，腸骨大腿靱帯垂直線維を温存した74例74関節と切離した85例85関節を比較した。各群初期20例を除いた手術時間，出血量，術後JOA score，脱臼率，再手術率，脚延長量，術後脚長差はいずれも2群間に有意差がなかった。有意差はなかったが，術後脚長差が5mm以下になった割合が温存群で10％程度多かった。腸骨大腿靱帯垂直線維の温存は脚長補正に有用である可能性がある一方で，手術操作，手術時間，合併症の発生への影響は少ないと考えられる。

症例

膝蓋大腿関節症の痛みを伴う膝蓋骨不安定症に対する大腿骨遠位での減捻骨切り術を行った1例伊藤　匡史 , 桑島　海人 , 伊藤　淳哉 , 岡崎　賢 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1453-1457

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要旨：膝蓋骨不安定症と膝蓋大腿関節症の合併例では，膝蓋骨の安定化と除痛の両方が必要とされる。今回膝蓋大腿関節症の痛みを伴う膝蓋骨不安定症に対して，大腿骨遠位での減捻骨切り術を施行し良好な経過を得た1例を経験した。大腿骨の回旋異常が原因の膝蓋骨不安定症に対して，病態に直接アプローチしている本術式は理にかなっていると思われた。

長期間の保存療法が無効で縫合術が著効した内側半月板不顕性水平断裂の中学生の2例松永　大吾 , 望月　正孝 , 尾﨑　猛智 , 豊田　剛 , 瀧澤　勉 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1459-1463

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要旨：MRIで小児の膝関節にみられる半月板の信号変化は，消失することが多いとされる。膝の内側部痛を訴え，MRIではMink分類grade 2の内側半月板の変化がみられ，典型的な内側半月板損傷の理学所見が持続した中学生2名に対して，長期の保存療法が無効であったため関節鏡視下縫合術を施行した。鏡視でも明らかな損傷のない内側半月板を縫合したところ，症状は完全に消失した。安易に選択すべき治療法ではないことを強調した上で報告する。

アトピー性皮膚炎罹患児に発生した化膿性脊椎炎の2例清水　淳也 , 織田　崇 , 山本　雅樹 , 家里　典幸 , 藤本　秀太郎 , 山下　敏彦 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1465-1470

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要旨：アトピー性皮膚炎罹患児に発生した化膿性脊椎炎の2例を経験した。症例1は14歳男児で，第10胸椎椎体に発生し，セファゾリン（CEZ）の点滴静注により改善した。症例2は9歳男児で，第1仙椎椎体に発生した。生検にてペニシリン耐性のメチシリン感受性黄色ブドウ球菌（MSSA）が検出され，CEZの点滴静注により改善した。小児化膿性脊椎炎はまれであるが，アトピー性皮膚炎の既往を確認し，感染症の可能性を考えて診察すべきである。

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目次 64巻11号 , 2021年10月

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投稿規定 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1471-1471

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編集後記 64巻11号 , 2021年10月 , pp.1472-1472

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基本情報

整形・災害外科
64巻11号
(2021年10月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0387-4095 金原出版

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