大腿骨近位部骨折術後患者の経口エネルギー摂取量と退院時転帰との関係

Relationship between oral energy intake and outcome at discharge in patients with postoperative hip fracture

要旨：大腿骨近位部骨折術後患者の経口エネルギー摂取量（摂食量）と治療成績との関係についての先行研究は少なく，回復期リハビリテーション（リハ）病棟での詳細は明らかでない。回復期リハ病棟の1,247例を対象に，転入時の摂食量，退院までの摂食量増加と退院時転帰との関係を調査した。転入時には症例の79.2％が低栄養で，摂食量は22.8％が基礎消費エネルギー量未満，72.1％が推定エネルギー必要量未満だった。アウトカム：退院時歩行Functional Independence Measure（FIM）は，受傷前歩行FIM維持・改善64.5％，自立53.5％，寝たきり防止85.4％，回復期リハ病棟入院中の合併症発症は16.0％だった。多変量ロジスティック回帰分析では，転入時摂食量と上記4アウトカム向上（各p＜0.001〜0.027），摂食量増加と歩行3アウトカム向上（各p＜0.001〜0.025）には有意な関連があった。急性期病棟や回復期リハ病棟での摂食量増加は，大腿骨近位部骨折術後患者の治療成績改善に寄与する可能性がある。