病院 26巻7号 (1967年7月)

特集 夜間の医師の当直

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いとぐち

 標題を与えられて実は困った。管理者の立場で論ぜよとのことである。ということは院長の立場でということになろう。院長でないわたしが院長の立場になって論ずるということは,現実ばなれの空論になるおそれがある。

 過去に小さな施設の長の経験でもあればまだしも,それすら全くやったことのないわたしは,院長の責務——理想像——に対しては厳しい。一方,当直医の経験は相当長い。

救急病院の医師の当直 須藤 政彦
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 昭和40年8月,済生会神奈川県病院に交通救急センターが併設されてからほぼ1年8カ月を経過し,ようやく救急態勢も安定するにいたったが,われわれの夜間・休日における当直業務の中で,主として救急外来に関する諸問題をとりあげて検討を加えてみた。後述のように,救急病院の中でもわれわれの場合はやや特殊な立場にあり,一般的ではないと考えられるが,各地に救急センター設立の動きもあり,なんらかの参考になれば幸いである。

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 夜のとばりが病室をつつむとき,就寝の準備を終えて消灯の時間が迫ってくる。今宵自分に託された患者の安静を祈りつつ,一部屋一部屋患者を見まわるとき,看護婦としての職責の重大さをひしひしと感ずる。

 重症患者を受持って無事に次の勤務者に引きついだときの満足感,また何とか危機を脱することができた患者をみとるとき,看護の喜びを感じることができる。私たち看護婦が夜間の重い責任を支えてゆくのに当直医の協力は非常に大きいものがある。鋭い観察力をもって受持った患者を観察し,いざというときにはいつでも当直医がかけつけて適当な指示が行なわれる,こんなチームワークが常にとれていることが必要である。しかし残念ながらこのようなチームワークが常に保たれているとは限らない。その歯車がどこかでかみ合わないとき,それは患者にとって大変不幸なことになる。

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 医療法第16条に「病院の管理者は病院に医師を宿直させねばならない。但し,病院に勤務する医師が,その病院に隣接した場所に居住する場合において,病院所在地の都道府県知事の許可を受けたときは,この限りでない」とある。病院には少なくとも寝当直を置けということらしい。これですむ病院もあるが,一般にはこれではすまぬ。往昔の軍病院の当直士官ほどの権威と責任を考えなくても良かろうが,病院の夜間当直医の仕事はなかなか多いから側で見るほど楽でない。

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 「医師の当直」は,平素われわれのもっとも身近かにおかれている問題でありながら,「当直料」以外に関しては存外と無関心である。いや,関心はあっても,主題のごときに対し医師仲間で論議が交されたということをあまり聞かない。また,医師の当直に関する文献もあまり見当らない。病院管理学がわが邦でも大いに進展しつつある今日であるが,「当直の問題」は意外に盲点であったのかもしれない。

 文献がないとなると,やむをえないから私たちは自らの体験から割り出して一文を草することとなるが,個々の病院における事例を挙げていえば近視的弊に陥る危険があり,これを避けようとすれば自然と抽象的論述となる。中間を狙えば論旨の焦点がぼける懼れがあろう。平素,臨床に専念する筆者らにとっては洵に困難な課題であるが,このペーパーが読者各位に多少とも資すところあらば,望外の幸というべきである。

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 医師の当直は義務と考えられている。だが内科,外科,産婦人科とそれぞれに複雑な問題があるばかりでなく,とりわけ他科の当直は臨床的な意味からもかなりの問題を含み,また医師にとって負担ともなっている。本号ではその実情と問題点を具体的に探ってみた。

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 神奈川県は老人福祉事業団を創設し,リハビリテーションと老人養護の二つの機能を合併した医療施設を造った。これがリハビリテーションセンター七沢病院と特別養護老人ホームである。

 七沢病院は主として脳出血後遺症による片麻痺の機能回復を目的とした350床の病院である。特別養護老人ホームは七沢病院の機能を活用できるという特色を持ち,100人の収容施設を持っている。病院は地下1階,地上5階,老人ホームは地下1階,地上2階。総工費9億2000万円。昭和41年完成。

グラビア 私的病院シリーズ・3

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 医学が進み,医療が進み,世の中が変わるにつれ,古い病院の建物ではやっていけなくなる。しかし現状では,日々の診療の中から建築の資金を生み出すことは,とうてい望むことができない。

 荘病院は産婦人科の病院であるが,開院してから40年たって,昭和37年にようやく望みを達した。資金の返済という重荷を負いながらも,病院の活動は活気を呈している。診療科目は産科・婦人科のほかに,小児科と放射線科を置き,病床は95床。新築の部分は地下1階,地上4階,床面積は443坪。

病院の広場

一つの成長 小坂 政一
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 福井市は人口約17万,西端には福井赤十字病院,市の中央を流れる足羽川に臨む済生会病院,東郊には平岡山とは名ばかりの丘陵に接して福井県立病院と精神病院がある。これらの4病院を合せて1,738床,他に私立24病院の病床504を加えて福井市民の要望に応えているが,病院の利用者は年々増加の傾向にある。平岡丘陵の近くに病院が建てられたのは昭和の初めであって,一医師の未亡人が夫君の遺志を継いでこの地籍を借用し,田を埋めて,財団法人のサナトリウムと精神病院を設立した。北陸の一女性としては驚くべき卓見ではあったが,当時の時流に先がけること十数年の事業であったので,一部の市民ならびに同業者の執拗な反対を受けつつも,病院の経営に努力し,終戦の前に突如として病没された。昭和16年12月,大平洋戦争に突入してから,福井県鯖江市の出身である厚生大臣故K軍医中将は国の方針として,健民修練所の開設と,各府県に医療団病院の設置をうち出し,その本部を東京に置いたが,戦況が不利となるにつれて日本の各地が空襲の危機に曝される日が多くなり,ついに医療団本部も空襲を受けて省線お茶の水駅付近にあるS小児科病院に居を移した。福井では昭和20年に入り,この平岡丘陵の下の施設を利用して医療団福井県中央病院が置かれることになり,開設の責任を当時のK大学医学部長の命を受けたT教授と県衛生課長M君から私に依頼があった。

病院図書館

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医師の経験を記録として活用

 私は,若い頃,受持ち患者の診療録の抄録を作ったり,レントゲンの縮小焼付けを保存したことがある。医師の経験ということをやかましくいわれるが,記録のない経験では意味がない,必要なのは記録だ。しかもそれが大幅帳式では困る。よく整理されていつでも活用でき,ことに統計資料として利用できるようになっていなくてはならない。

 そういいながらも,その設備のできている病院は少ない。できない理由にもいろいろあろうが,院長の頭の中にどんな方法でやるべきかの青写真のないことが大きな原因になっていると思う。

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具体的に「手順」を紹介

 本書の原題は「ベーシック・ナーシング・ワード・プロセジュア・マニュアル」といい本名を聞いただけで,看護婦はもちろんのこと,医療に携わる者が一度は目を通さねばいられない意欲にかきたてられます。訳本名もまた「看護必携」となってなにか親しみと非常なたよりがいを感じさせてくれます。180頁からなる原著はニューヨーク大学付属リハビリテーションセンター看護教育部長,およびすぐれた臨床指導者によって,長年の経験を生かして書かれたもので,リハビリテーション基礎看護手順の枠を記載してあますところがありません。

 翻訳の労をとられましたのは,現在東京大学中央診療部リハビリテーションセンターで活躍されておられ,リハビリテーション医学界の権威の一人でいらっしゃる上田敏医博および神奈川県立衛生短期大学教員をしておられる遠藤千恵子看護婦であって,両氏ともに当ニューヨーク大学において研修をつまれ,この分野におけるご熱心さは広く認められているところで,訳者としてまことに当を得た方々であると思います。

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患者を人間としてみる

 この本は,第1部と第2部からなり,第1部にはわが国の医療社会事業の歴史と,内外の同事業の実際が浮きぼりにされている。限られた面でしか接していない私は,まずこの事業の広さと深さをあらためて認識した。たとえば脊髄損傷者のリハビリテーション過程で,あるいはハンセン病院において,また,死を目前にした患者に対した時の,それである。そこに人が生活していたから,そしてそこに障害や悩みがあったから,と言われればあまりに当然のことであるけれども……。この事業が医療ティームの中で大そう重要な役割を占めているものであり,その活動は,場合によっては保健婦活動と非常に近いものであるということも知ることができた。

 第2部には実際の業務にたずさわっている医療ソーシャルワーカーの方の事例16例が収められている。生きた記録は不思議なほど大きな力をもつ。たとえば重症の身障者が,絶望の中からどのようにして生きる力を,さらに社会に復帰しようという意欲を自分自身でかちとることができたか,そこには医療ティームのどんな支援がなされたかなど,私達にいくつかの示唆を与えてくれる。これはリハビリテーション関係の書物にもあまり書いてない。医学書を基礎とした教育を受けることが多かった私達にとって,あるいは看護教育の場においてこのような事例集のはたす役割は大きいと思う。

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 前号(6月号)では,模範的な事例として聖路加病院の帳票制度を紹介,また帳票の設計上における原理および帳票統制の実態調査の報告をお送りした。今月はそれにひきつづいて……。

研究と報告【投稿】

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 最近,一般産業界においては「目標による管理」の導入が行なわれている。この手法は,仕事の手段よりも仕事の結果つまり成果を重視するという考え方を基盤として成り立っているもので,この基本的な考え方はP. F.ドラッカーが,「現代の経営」(1957)の中で「目標の設定と自己統制」という章を設けて自主的な目標設定とこれに対する自己統制の必要性を述べているが,この考え方や続いて出版されたマネッジメント・コンサルタントE. C.シュレイ著の「結果のわりつけによる経営」(Management by Results, 1961)などの考え方がわが国にも導入され,実施されているものである。

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調査目的

 診療行為における伝票制度は,昭和27年に国立東京第一病院において,守屋博(当時,同病院管理部長),染谷恭次郎(当時,早稲田大学助教授),三沢仁(当時,産業能率短期大学講師)の3氏を中心として研究され,昭和28年より同病院において実施された。

 その後この伝票制度はひろく全国の病院にひろまっていった。しかしながらこれを実施するうちに,内容や方法について疑問や不備の点も指摘されるようになった。

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 医療における放射線の応用は疾病予防のための検診から患者の診断,治療,予後観察にいたるまで,広範囲におよんでいる。そのなかでの放射線科の業務内容はいうまでもなく診断と治療1)に大別されるわけであるが,近時その目的により広範な業務内容はさらに複雑化してきているのが現状である。

 特に放射線による診断の確立には静的な所見より動的な機能的なものを必要とし,連続撮影,映画やテレビにまで発展し,設備や装置は大がかりなものとなってきている。そして読影診断に適した精度の高い写真を作ることが最も大切なことである。また,これらの機器管理や撮影は技師の業務であって,技師の技能と責任において十分に管理されなければならない。技師と言えどもそこに高度な管理技術の導入が必要となってくるであろう。一方医師の指示によって行なう撮影室の業務は技師間において「忙しい」との意識が極めて高く,日増しにつのり,その歪みは自然と放射線室にしわよせし,最終的には患者にまでその影響を与え,ひいては病院全体の運営管理に支障をきたす原因ともなり,放射線業務はますます煩雑となってくると考えられる。そこでまず,患者に対する直接的なサービスの一つとして放射線室における事務手続を中心として関係部門間との情報交換について検討してみる必要があると思う。

第17回日本病院学会パネルディスカッション

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 司会 定刻になりましたのでパネルを始めたいと思います。いただきました題が「院内コミュニケーション」ということでございますが,院内コミュニケーションについては問題が非常に広く,また深いわけでございます。1時間そこそこでは十分には入れないと思いますので,今日は主題を限定したいと思います。初めにちょっと前置きを述べさせていただきまして,あと4人の講師の方にお話をいただきたいと思います。

 コミュニケーションというのは何かということですが,むずかしくいうといろいろ説があるようですが,講師の方にお願いしたのは,とにかく病院の中の風通しをよくする方法はないかということでございます。風通しの方法を皆さん方に軽くお話していただこうということで,今日出ていただいたわけでございます。この間読んだ「THE GIVE AND TAKE IN HOSPITALS」という姉崎先生(病院管理研究所)が翻訳されている本にちょっとエピソードが書いてございました。ある交換手が,自分は病院が小さかったときは交換手とその他の役目をやっていたので,いろんな人を知っていたけれども,病院がだんだん大きくなったら廊下ですれちがってもだれだかわからなくなってしまったと,それでそういうところから病院の中のコミュニケーションというものが必要であるということが説き起こされていたわけでございます。

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調査目的

 国立がんセンターは国のがん医療対策の中心医療機関として,はなはだ特異な存在である。そこでその外来部へ受診に来る患者が,どんな経路で,どんな動機で来院しているかなどについて調査し,特殊形態病院と地域の一般病院との関連性,協力性について検討した。

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編集後記 岩佐 潔
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 発刊が次々と遅れて7月号が8月に入って出るのは残念です。吉田主幹が27日羽田を発ってモスコーをかわきりに1カ月ほどの世界一周病院視察旅行に出かけたのですが,それまでに本号の印刷ができなかったので,私が代りにこれを書くはめになりました。本号は夜間の医師の当直を特集のテーマとしましたが,ちょうど,私が企画原案の担当をしましたので,この後記を引受けた次第です。

 古屋先生も指摘されたように,夜間の医師の当直の問題は病院管理上意外に盲点であったように思われます。看護婦のほうは三交替制になって当直ではなく夜勤となり,夜間も必要なサービスを提供する態勢になってきているわけですが,医師のほうは「予期しない突発事故」に備えて寝て待っている宿直者の1人でよいかという安冨先生のご意見には考えさせられる点があります。座談会で話に出てくる虎の門病院の例のように,内科系2名,外科系2名,産婦人科1名,小児科1名と4本建てで医師6名も宿直しているのは理想的だと思います。それには病院を集中化して大規模にし,また診療密度をたかめてたくさんの医師がそこで働くようにすることが必要なわけです。しかし,虎の門病院でも楽にこの態度が組めるわけではなく,パートの医師の活用などいろいろ工夫をこらしているようです。

基本情報

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病院
26巻7号 (1967年7月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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