画像診断の進歩には目を見張るものがあり、現在もたくさんの画像検査のテキストがあり、それによって眼科医は日々新しい画像診断に関する知識を蓄えていく必要があります。ただ、患者さんに相対したとき、まずは最も適切な検査は何かということから考えなくてはなりません。しかし、いつもすぐに頭に浮かぶでしょうか? その検査結果はどのように判定されるでしょうか?
眼科専門医試験でもオールラウンドな知識が要求されていることからおわかりのように、眼科を専門とする医師はできるだけ幅広い知識をつねにアップデートされた形で準備して診療に対応する必要があります。今回の増刊号ではそのようなオールラウンドに活躍されている眼科専門医、あるいは専門医を目指す進の眼科学徒の日常診療に少しでも役に立つような座右の書、実戦の書となるような切口で企画し、分担執筆者にはそれぞれの分野においてわが国で最もご活躍の先生方を推薦させていただきました。
◎ドライアイの眼局所治療は,眼表面の層別治療(TFOT)が効果的で,そのために,眼表面の層別診断(TFOD)が必要となる。
◎TFODの鍵を握るのは,フルオレセインとスリットランプを用いた,角膜における瞬目に伴う(涙液層の)水分の動態観察であり,涙液層の形成過程を考えながら涙液破壊パターンを観察する。
◎TFODでは,角結膜上皮の障害パターンも参考となり,フルオレセインの染め方,瞬目のさせ方も重要である。
◎涙腺には主涙腺と副涙腺があり,主涙腺は眼窩上外側に位置し,上眼瞼挙筋瞼膜により眼瞼部と眼窩部に分けられる1)。
◎涙腺の疾患には,涙腺炎や涙腺腫瘍のほかに,IgG4関連疾患やSjögren症候群などがある。
◎涙腺全体の観察には,CT,MRIが有用である。
◎(閉塞性)マイボーム腺機能不全の定義と診断基準が制定されるなど,近年その臨床的意義が高まっている。
◎マイボグラフィーには透過光によるものと赤外線によるものがある。
◎コンフォーカルマイクロスコピーの登場によって,マイボーム腺機能不全の病態理解が深まっている。
◎外眼筋の画像診断は,筋原性と神経原性の鑑別に有用である。
◎外眼筋の観察にはMRIとCTが有用である。
◎MRIでは形態変化とともに炎症・浮腫の観察も可能である。
◎先天性上斜筋麻痺は,解剖学的異常を伴うことが多い。
◎診断および治療に苦慮した症例で,画像診断が有用である。
◎CTでは短時間に再構成可能な画像が,MRIでは高解像度の画像がえられる。
◎画像診断に加え,臨床所見,牽引試験を総合して術式を選択することが重要である。
◎1m程度の距離からフラッシュを使う。
◎経過に応じてこまめに撮影する。
◎フラッシュの方向性を考慮する。
◎角膜形状解析では,角膜屈折力や高さ分布を色分けして表示し,角膜形状や屈折力分布が把握できる。
◎前眼部解析装置は,角膜前面形状だけでなく後面形状や角膜厚を評価することが可能である。
◎波面センサーは,角膜や全眼球における高次収差を測定可能である。
◎細隙灯顕微鏡で明らかな異常を認めない症例においても,眼球光学系の微細な異常を検出するのに役立つ。
◎角膜上皮は細隙灯顕微鏡検査でかなりの情報量が得られるが,細胞レベルで評価できる生体共焦点顕微鏡検査は有効である。
◎生体共焦点顕微鏡検査は非侵襲的に同一部位を経時的に観察することが可能である。
◎診断だけでなく治療法の評価など補助的診断法として有用である。
◎角膜実質を観察するモダリティは,細隙灯顕微鏡,前眼部OCT,共焦点顕微鏡が挙げられる。
◎角膜実質病変は,瘢痕,浮腫,沈着,浸潤で分けて考えると理解しやすい。
◎細隙灯顕微鏡による観察にモダリティをaddすることで,より詳細で正確な診断が可能となる。
◎角膜内皮異常には,Descemet膜の異常を伴うことが多い。
◎Fuchs角膜内皮ジストロフィにおいて,細隙灯顕微鏡やスペキュラーマイクロスコープにてguttaeを認める。近年の角膜内皮移植術の進歩により,白内障手術を躊躇なく施行できる場合が多くなった。
◎サイトメガロウイルス角膜内皮炎において,生体共焦点顕微鏡を用いて角膜内皮面にフクロウの目様の細胞(owl's eye cell)が観察される。
◎前房の画像診断の目的は浅前房の診断,定量化である。
◎画像診断以外の定性的な診断を補完するものである。
◎隅角の描出はできないので,鑑別診断にはほかの検査機器が必要である。
◎超音波生体顕微鏡(UBM),前眼部OCTなどの検査機器がある。
◎閉塞隅角の正確な診断確定,病態理解に必須の検査である。
◎前眼部OCTでは毛様体が描出できない。
◎隅角閉塞の鑑別診断にはUBMが非常に有用である.
◎水晶体の観察法は斜照法と徹照法が挙げられる。
◎白内障基本病型の他に副病型も含めた画像診断が必要である。
◎細隙灯顕微鏡による観察に画像診断を加えることでより定量的・客観的な評価が可能となる。
◎OCTによって硝子体ポケットや硝子体皮質を画像化できるようになった。
◎硝子体ポケットの後壁である黄斑前の硝子体皮質の牽引によって黄斑円孔が起こる。
◎黄斑前の硝子体皮質が黄斑前膜の骨格となる。
◎検査・機器の特徴を理解して,疑った疾患に適した検査を適した機器で行う。
◎撮影を依頼する際には検査担当者との意思疎通をしっかりと図る。
◎アナフィラキシーショックの際に慌てないように日頃からスタッフと連携をとる。
◎補償光学眼底カメラが臨床に用いられ始めている。
◎補償光学眼底カメラは高解像度であり,視細胞レベルでの観察が可能である。
◎補償光学眼底カメラとSD-OCTの組み合わせは非常に有用である。
◎網膜色素上皮はビタミンA代謝,貪食作用など視細胞の代謝に不可欠の細胞であり,脈絡膜側からの物質輸送にもかかわっている。
◎網膜色素上皮細胞が障害される主な疾患として,中心性漿液性脈絡網膜症,加齢黄斑変性,黄斑ジストロフィなどがある。
◎非侵襲的な検査法として,光干渉断層計,眼底自発蛍光撮影がある。
◎網膜色素上皮を評価するには,フルオレセイン蛍光眼底造影は欠かすことができない。
◎脈絡膜は網膜色素上皮と強膜に間に位置し,前方では鋸状縁で毛様体に移行する。
◎脈絡膜はBruch膜,脈絡毛細管板,血管層(Sattler層,Haller層),脈絡膜上層で構成される。高侵達光干渉断層計の発達により,その詳細な形態が認識できるようになった。
◎脈絡膜には眼血流の大部分が流入し,複雑な血管網を介して,網膜外層に酸素や栄養を供給している。色素に富み,外部からの光を遮断し,眼圧や温度の調整をする。
◎脈絡膜厚は病態により菲薄あるいは肥厚する。また眼底疾患のみならず,加齢・眼軸・日内変動・眼圧などにも影響される。
◎後部強膜炎では多彩な症状をきたすため,疑ったら画像診断の併用が重要である。
◎OCTにより強度近視眼では強膜全層の観察が可能となった。
◎3D MRIにより眼球形状の画像解析が可能となり,病的近視眼の強膜形状解析に有用である。
◎緑内障は他の先天・後天性視神経疾患を鑑別することで診断される。
◎緑内障の診断にはカラー眼底写真の系統的な評価が必要である。
◎視神経乳頭の評価にはSD-OCTによる画像診断が有用である。
◎視神経乳頭バリエーションを知ることで,視神経疾患の診断能が向上する。
◎視神経周囲構造の後天的変化が視神経乳頭のかたちを決定づける。
◎傍乳頭網脈絡膜萎縮はコーヌスと網膜色素上皮層萎縮からなる。
◎病的近視眼の視神経周囲構造には特徴的な異常を認める。
◎視神経の炎症の有無をみるためにはガドリニウムによる造影検査が必要で,冠状断で,脂肪抑制させることが有用である。
◎視神経髄膜腫は,眼窩部MRIで,ガドリニウムにて視神経周囲がエンハンスされ,視神経自体よりもその周囲の髄膜が腫大している。視神経膠腫では周囲の髄膜よりも視神経自体が腫大している。
◎視神経低形成では,視神経よりも透明中隔欠損や,下垂体の形成異常の検索が重要である。
◎朝顔症候群では,頭部MRI冠状断にて髄膜脳瘤と,MRAにて内頸動脈の異常や,もやもや血管の有無の検索が必要である。
◎網膜神経節細胞が画像診断のターゲットになるのは緑内障と神経眼科疾患である。
◎黄斑部は網膜神経節細胞の画像解析に最適である。
◎OCTの進歩による網膜層厚の自動計測はGCC厚からさらに細分化を遂げている。
◎OCTはあくまでも間接的な厚みの評価なので,ピットフォールは多数ある。
◎眼内腫瘍で頻度の高い疾患を念頭に置き,眼底を観察する。
◎眼底所見よりおおよその疾患を類推し,検査を進めていく。
◎脈絡膜悪性黒色腫と脈絡膜母斑の鑑別が時として難しいことがある。
◎CTは必ず冠状断をオーダーする。
◎左右を比較しながら見る。
◎軟部条件が診断しやすい。
◎眼窩病変,特に外傷・炎症性疾患・腫瘍を疑う症例では,画像診断が重要である。
◎画像診断のうち,MRIとCTが特に有用である。
◎4種類の腫瘍を知っていれば7割の眼窩腫瘍症例に対応でき,6種類を知っていれば9割の眼窩腫瘍に対応できる。
◎脳梗塞において,CT,T1WI,T2WI,FLAIR画像では発症6時間以内の検出は難しいが,DWIは発症1時間後ぐらいからの急性期脳梗塞における早期虚血変化を高信号域として検出する感度が高く,診断に有用である。
◎CTは脳出血診断に用いられる頻度が高い。血腫は急性期に高吸収域となるが,発症1〜3週頃にかけて血腫辺縁部から低吸収域に変化し,徐々に目立たなくなる。
◎MRIの各撮像法には撮像条件を決定する多くの撮像パラメータがあり,これらを調整することで目的とする脳卒中の病期診断などに必要な画像情報として得ることができる。
◎下垂体近傍病変では視野で両耳側半盲を呈することが多い。乳頭傾斜症候群などでも一見両耳側半盲様の視野を呈するが,正中をなだらかに越える特徴がある。また,慢性に進行すれば視神経のbow tie atrophyとそれに対応するOCTでの乳頭周囲神経線維層厚の耳鼻側の菲薄化がみられる。
◎両耳側半盲が確実であれば,視交叉の病変が疑われるため頭部MRI検査が必須である。CTはあくまで補助手段であり,腫瘍でも条件によっては脳実質と等吸収係数,等信号のことがあり,必ず造影を行うべきである。
◎両耳側半盲に突然の頭痛を伴う場合には,下垂体卒中の可能性があり,死や昏睡に至るケースもみられることからその存在を念頭に置くべきである。
◎超音波カラードプラ法(CDI)やフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)およびMRAなどの検査は,眼虚血症候群,糖尿病網膜症や網膜動脈閉塞症,網膜中心静脈閉塞症などの網膜微小循環障害,緑内障性視神経障害,前部虚血性視神経症,といった病態の解明に非常に有効である。
◎虹彩や隅角の新生血管の有無,眼圧測定値の左右差に注意する。また,散瞳して糖尿病網膜症の眼底所見に左右差がみられた場合,内頸動脈や眼動脈の高度狭窄あるいは閉塞,眼虚血症候群の可能性を考慮する。
◎一過性黒内障,視力の動揺など問診し,先に挙げた検査の結果によっては必要に応じて脳神経外科や循環器内科をコンサルトする。網膜光凝固や緑内障手術などの眼科的治療だけでは奏効せず,脳外科的治療を要することがある。
◎レーザースペックル法(LSFG)が非侵襲的で診断に有用である可能性がある。
◎ぶどう膜炎や視神経炎など,眼外症状をきたす疾患を整理する。
◎眼外症状をきたしそうな部位を連想して問診を行う。
◎問診で症状が疑われる部位の画像診断を行い,やみくもに撮像しない。
◎画像診断はX線CT検査が最も優れる。
◎金属性の異物は,MRIは禁忌である。
◎外傷症例では異物の可能性を常に念頭に置いて対応しなければならない。患者本人に限らず目撃者へも問診し,受傷時の詳細な状況証拠や物的証拠を十分把握する必要がある。そして,必ず画像検査をオーダーしなければならない。
◎外傷性眼窩内鉄片異物は,感染症はまれであり,無症状の期間が長いことがある。CTでは,鉄片はmetal densityに描出され,アーチファクトが生じる。MRIは禁忌である。
◎外傷性眼窩内異物のうち植物性物質は感染の危険性が高く,創が化膿したり,肉芽反応を起こし,慢性炎症性肉芽腫を形成しやすい。CTでは,時期によっては異物のCT値が周囲肉芽組織などと等吸収域となる時期があると推測され,また異物の種類によっては描出されないものもあるので注意を要する。MRIでは,T1強調画像で木片は脂肪より低信号に描出される。T1強調画像は水分の影響が少ないのでCTのようなdensityの経時的変化もなく,受傷早期より木片そのものが描出されるため局在診断上非常に有用である。
◎眼球破裂はきわめて強い鈍的外力により眼球壁を損傷し,結膜下出血,前房出血,硝子体出血,網膜剝離,脈絡膜下出血などを伴う。
◎眼球破裂に対する画像検査として超音波検査とCT検査が主に用いられる。
◎超音波検査とCT検査は簡便,迅速に施行可能であり,眼球壁の形状や硝子体出血,網膜剝離,脈絡膜下出血の有無も診断可能である。
◎眼球破裂は前房出血,硝子体出血により眼内観察困難例や結膜下出血で強膜裂傷部位不明例が多く,画像検査の果たす役割は大きい。
◎眼窩外傷が疑われたら,スライス幅2ミリ以下でCTをオーダーする。冠状断も忘れずに。
◎左右の眼窩で眼窩の形状や骨膜の厚さ,筋肉の数や形状を比較する。
◎頭痛を訴え,嘔吐を繰り返す子どもをみたら,骨折の有無を再度確認する。
◎骨折と眼窩軟部組織の状態,眼位,眼球運動の関連を総合的に評価する。
◎濾過手術後の画像検査ではUBMと前眼部OCTの使い分けが大切である。
◎UBMは高い組織深達度がメリットであり,悪性緑内障の診断に威力を発揮する。
◎前眼部OCTは優れた解像度でblebの内部構造を可視化するため,濾過胞機能不全の原因検索に有用である。
◎術前に前房深度,隅角開大度,虹彩癒着の有無や形状,角膜内皮細胞数の検査を行う。
◎前房が浅い症例や角膜内皮が少ない症例では,チューブの挿入位置を工夫する。
◎前房内に緑内障ドレナージデバイスを挿入する場合は,挿入位置と角度に注意する。
◎術中にはバルベルトのプレート固定を確実に行い術後の移動を防ぐ。
◎DSAEK後の角膜内皮細胞は通常のスペキュラマイクロスコープで観察できる。
◎DSAEKドナーの接着の確認に,前眼部OCTは有用である。
◎DSAEK後の拒絶反応の発見にはレーザー共焦点顕微鏡が有用である。
◎硝子体手術は無縫合手術が主流となっている。
◎無縫合強膜創をOCTで観察すると,一定の確率で間隙がみられる。
◎術後低眼圧の症例では,創の閉鎖不全とともに毛様体脈絡膜剝離の存在を考える。
◎後発白内障は徹照画像でElschnig型混濁を判定する。
◎液状後発白内障は後方散乱光強度を計測し評価するが,視機能への影響は軽度であることが多い。
◎眼内レンズの偏位は高次収差の増加をきたす。Scheimpflugスリット画像で判定する。Capsular capture眼では近視化をきたす。
◎Sub-surface nano glisthening(SSNG)およびグリスニングは後方散乱光強度を計測して判定するが,視機能への影響は少ない。
◎フェムトセカンドレーザーでフラップを作製する際には,中心ずれが起きないようセンタリングに注意する必要がある。
◎ICL挿入術では,レンズ径を適切に選択することで術後のvaultingに問題が起きないよう注意する必要がある。
◎術中OCTとして現在使用可能な機器は,手持ち型と手術顕微鏡一体型がある。
◎手持ち型は比較的低コストで運用できるが,撮影装置の保持や撮影位置の調整にコツが必要である。
◎手術顕微鏡一体型は術者自身が操作できることが多く術中使用によく適しているが,必要時は助手に操作を手伝ってもらうことでより容易に撮影できる。
◎再手術の際には前回の手術情報が重要である。
◎前回の記録が不明な場合はMRIを撮影する。
◎場合によっては全身麻酔下の手術計画を行う。
◎本稿では術後極早期のガス下OCTについて,特発性黄斑円孔を主対象として解説する。
◎OCTは診断のみならず治療結果を客観的に示す必須検査である。
◎ガス充満眼へのOCTには精度や信頼性に難があったが,今では簡易かつ鮮明に撮影できるようになった1〜4)。
◎ガス下OCTを用いることで,術後早期の黄斑部の状態が詳細に把握でき,黄斑円孔においては治療結果の早期判定や体位制限の要否を状態に応じて決めることが可能である5,6)。
◎ガス下OCTは縮小表示されてしまうため,注意が必要である。
◎光刺激を網膜に与えることで起こるOCT信号の変化がfunctional OCT信号である。
◎実験動物眼とヒト健常眼においてイメージングに成功している。
◎臨床に応用するためにはOCTのさらなる基盤技術の発展が必要である。
◎網膜全体の機能は全視野ERGで,黄斑部の機能は(多)局所ERGで解析する。
◎ERGの波形解析により,網膜の層別機能を評価することができる。
◎ERGとOCTなどの画像検査を組み合わせると,網膜の層別の形態と機能の関係がわかる。
◎低酸素組織を選択的に可視化できる。
◎リアルタイムで酸素濃度変化を計測できる。
◎非侵襲かつ高感度の計測が可能である。
◎Retinal function imager(RFI)は造影剤を使わずに,細動静脈の血流速度(絶対値)を任意の血管で測定できる。
◎RFIは,造影剤を使用せずに毛細血管の描出が可能である。
◎現在のところ,画角が20°あるいは35°に限られているため,視神経乳頭,黄斑部の評価に限局されている。
◎ドップラーOCTは,OCT画像内に血流情報を加える技術である。
◎ドップラーOCTによって網脈絡膜血管3次元画像作成や網脈絡膜血管血流量計測が可能となる。
◎ドップラーOCTによる臨床応用としては,ポリープ状脈絡膜血管症,狭義加齢黄斑変性,近視性黄斑症,黄斑部毛細血管拡張症,糖尿病網膜症が報告されている。
◎ドップラーOCTは有望な次世代OCTである。
◎OCT angiographyは非侵襲に眼底血管網を可視化する技術である。
◎OCT angiographyはFA/ICGAとは異なったメカニズムのため,所見が異なる。
◎OCT angiographyの臨床応用は始まったばかりであり,今後の展開が期待される。
◎1個の網膜神経節細胞(RGC)が応答する網膜の範囲を受容野といい,視野中心部では狭く,密に分布し,周辺部では広く,疎に分布する。
◎視野検査は,RGCに対応する受容野を検査している。
◎網膜神経線維走行やRGCの分布と視野検査点の関係を理解して,視野結果を評価する。
◎緑内障では,構造異常と機能異常は必ずしも一致しない。
◎Ocular Surface Thermographer(OST)は眼科検査専用のサーモグラフィで,測定の簡便性,データ解析の客観性,多用性などの面において一般の医用サーモグラフィよりも優れている。
◎OSTを用いたドライアイ,アレルギー性結膜炎,マイボーム腺機能不全における検討の結果を示した。
◎OST検査の応用として,感染性・非感染性角膜炎の鑑別や新しい涙液分泌能評価法への発展などが期待される。
◎fMRIは,血流変化に基づく脳活動を非侵襲的に計測することができる。
◎脳表,脳深部を問わず空間分解能が高いことが利点である。
◎疾患の進行もしくは回復を同一被験者で縦断的に計測することが可能である。
◎高磁場で狭所における撮像であり,禁忌症例に関して留意する。
◎先天性角膜混濁は両眼性が多く,重篤な視覚障害の原因となる。
◎先天性角膜混濁では隅角形成異常を伴いやすい。
◎しばしば緑内障を合併するため,眼圧測定が必須である。
◎乳幼児は眼球拡大により眼圧上昇が代償されることに留意する。
◎超音波生体顕微鏡(UBM)は高度角膜混濁における前房隅角の形状把握に有用である。
◎初診時に前眼部検査と眼底検査を詳細に行うことが診断への早道である。
◎早期に的確な診断をすることが小児の視力予後につながる。
◎全身的な発達異常を伴うことも多く小児科医との連携が必要である。
◎両親の理解と協力のもと忍耐強い長期的な経過観察を行う必要がある。
◎まぶしくないもの,接触しなくてよいものから順番に行う。
◎一度に多くの検査は難しい場合もあるので緊急度に応じて何度かに分ける。
◎先天疾患と後天発症を分けて考える。
◎先天疾患では余計な検査はしない。
◎後天発症では複視,または頭位異常が認められ,重篤な疾患が潜んでいる可能性がある。
◎MRIでは骨が映らないので,骨との関係の把握にはCTが有用である。
◎小児の骨は成人と比べ厚い骨膜なので,骨折の際は粉砕骨折より亀裂骨折にとどまる傾向がある。
◎よってtrap door骨折には注意が必要である。
◎被曝の問題があるのでCTの頻回撮影は避ける。
◎げっ歯類の眼底にレーザー照射し,実験的CNVを作成する。
◎laser-CNVをisolectin B4で染色し,そのサイズを測定する。
◎虚血網膜症モデルは糖尿病網膜症や未熟児網膜症などの網膜病的血管新生のモデル。
◎作製には酸素タンク,密閉飼育器,酸素モニターが必要である。
◎マウス新生仔を生後7日目から12日目まで高濃度酸素下で飼育する。
◎網膜血管の観察には灌流ラベル法やホールマウント免疫染色法を用い,展開標本を作製して行う。
◎虚血網膜症モデルは血管新生を抑制する薬剤の効果をみるために多く用いられる。
◎網膜変性疾患に対する新規治療法の開発には,動物モデルは欠かせない。
◎現在では,ほぼすべての遺伝性網膜疾患の動物モデルが存在する。
◎動物モデルの眼底画像を解析して,治療効果を判定する試みも行われている。
◎研究目的によって作成する病態モデルを選択する必要がある。
◎その病態モデルで何(どういった細胞の機能)を研究するのか,明確なプランを立てる。
◎作成された創傷ができるだけ均一でないとその後の研究成果を正確に判断できないため,はじめから複雑な手技を要する動物モデルを選ばない。すなわち,研究目的を達成できると思われるモデルのなかで,作成手技が簡単で,動物個体間の差異が生じにくいモデルを選択する。
◎実験によって何を一番明らかにしたいのかを研究計画段階でよく検討し,その目的を達成するために最も適した動物モデルを選択する。
◎トノラボを用いる場合,図1のように器具でトノラボを固定すること(手で保持しないこと)がコツである。
◎パラフェニレンジアミン染色を行うためには,視神経切片を1μmの厚さに安定して切るためのトレーニングが必要である。
◎内因性ぶどう膜炎の動物モデル。
◎網膜特異抗原の免疫により発症する自己免疫性ぶどう膜網膜炎。
◎Th1細胞,Th17細胞を主体とした免疫反応が関与している。