臨床眼科 10巻9号 (1956年9月)

連載 眼科図譜・25

隅角写真撮影に就いて 中山 正猷
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正常人隅角(第4図)

 正常人隅角で,毛様体帯(C.B)が僅かにみられ,常膜繊維柱(Trabeculum)は明らかにみとめられる。正常の広さであるが稍狭い感じである。

綜説

保護眼鏡選択の理論と実際 飯沼 巖
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緒言

 我々が保護眼鏡を用うる場合に,眼保護の対称となるものは,大体,次のようものといえる。即ち,A.放射線 a.光(可視線のみならず,紫外線,赤外線をも含める) b.光以外の有害放射線B.放射線以外の作用 a.機械的作用(風,異物,埃,その他) b.化学的作用(有毒ガス,薬品の飛沫等)である。然し,之等の対称は常に必ずしも単独で来るとは限らない。実際,保護眼鏡を必要とする現場に於ては,種々なる障害原因が同時に生じてくる。例えば,電孤熔接作業の場合,最も重要なのは,多量に放射せられる強烈な紫外線であるが同時に強い可視線及び赤外線の外に,おびただしい灼熱せる熔渣の飛び出すことを考えねばならぬ。夫れ故に,眼保護としては,光の外,灼熱せる異物等を対称とせねばならない1)

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1.緒言

 Pasの副作用として,薬剤熱,皮膚炎(薬疹)に合併して結膜充血が来る事は既に幾多の報告があるが,最近,佐々木氏によつて,薬剤熱,薬疹等の他の合併症を供わないPasによる結膜下炎の報告が有つた。私は此の報告を見たとき,此の薬剤熱,薬疹等を合併しない結膜下炎は,薬剤熱,薬疹等を合併する結膜下炎とは本態的に異るものでないか,即ち,前者では結核アレルギー性結膜下炎,後者ではPasアレルギー性結膜下炎を考慮すべきでないかと云う疑問を持つた。私は第一報に於いてPasに因る調節性眼精疲労に合併した結膜下炎に就いて報告したが,其の中の3例に結膜下炎が合併して居たが,其等の症例に就いて報告を行い度い。

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1.緒言

 さきに著者は人眼に直流刺戟を与えると視力が変動する事を観察して其の成績を追次報告して来た。而して現在までの実験の結果を見ると約70%は裸眼視力が増進して居り,この直主接的根拠は毛様体の刺戟に原因する水晶体の屈折性変化によるものであろうと推考して来た。今回は新に自動点滅器を創作し,昭和129年7月より8月末日迄の間に来院した屈折異常,特に近視性眼の学生を対照とし種々の実験を行い些か興味ある結果を得たので報告し諸賢の御批判を願う次第である。

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緒言

 所謂眼窩漏斗尖端部症候群の成因の一つとして頭蓋内病変が注目され,既に本症の開頭所見も報告されている1)

 我々は一側眼窩漏斗尖端部症候群の開頭所見より蜘網膜変化(sog.Arachnoiditis)を認め,術後の急速な症状の好転より考え,本症候群と蜘網膜変化(殊に視交叉部)との間に重要な関係を有するものと考えるに至つた。その後,一例の本症候群を経験し蜘網膜炎推定の下に治療を行つて恬目すべき結果を得,吾々の想定の裏付けとなつた。

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1.緒言

 結膜下注射により発生する病変としては,結膜下出血,或は急性結膜炎の伝染,或は誘発された虹彩毛様体炎等が拳げられて居る。尚,大塚任教授は結膜下注射後に見る限局性結膜下炎に就いてと題して私の今回報告する諸症例と全く同様の例と思われる例証を報告されて居るが,之れを同教授は限局性の小膿瘍とみられている。然し,私共は大塚教授とはやや異なる見解を有するので柳か茲に報告する。

疫痢の眼底所見 白井 仲 , 井上 八千代
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Ⅰ.緒言

 本邦の小児に何故に疫痢と称する重篤で且特有な疾病があり,急激な経過を辿つて死亡する者が多いかについては,従来幾多の研究があり,独立疾患としてではなく重症赤痢として赤痢の異型であるとも考えられ,又赤痢でなくても起りうるひとつの症候群とも考えられているが,その本態については未だ解明されたとは言えない。この疾病が(赤痢疾状+循環障害+脳症状)である所から我々は後二者の起つた時これらと密接な関係にある眼底に何等かの変化が現われるであろうという予測のもとに,疫痢21例及び大人の疫痢様劇症赤痢3例について検索した。

 症例も少く又長期間にわたつて経過を観察できなかつたが,いささか新知見を得たので報告する。

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緒言

 Sjogren's syndromは1940年,Sjogrenによつて乾燥性角結膜炎,口内乾燥症,乾性鼻炎,喉頭炎,耳下腺の腫大と慢性多発性関節炎を有する症候群に対して命名されたものであるが,それ以前に於ても亦,以後に於ても,欧米では,本症について,多くの報告があり,多数例の統計的観察も見られるが,本邦では少数の報告を見るのみで,稀な疾患と考えられて居る様である。最近,私は本症の1例を診る機会を得て,症状,治療,病因に就て考察したので報告する。

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はしがき

 主として胸部外科領域において,活用されている閉鎖循環式気管内麻酔を,われわれは日常腹部内臓外科領域をはじめ,四肢の大きな手術にも使用して極めて満足すべき成績を収めつつあるが,今般,当大学眼科学教室の好意によつて,眼窠腫瘍その他患者の麻酔を担当する機会に恵まれ,その根治手術に協力することができたので,その麻酔実施経験についてのべてみよう。本論が幸にして,眼科領域における本麻酔法の有効確実性を実証し,これが広く眼科領域に採用される端緒をなすならば,著者らの光栄これに過ぎるものはない。

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 「イペリツト」(Yperit)「以下Yと略す)は第1次世界大戦に於て,始めて独逸軍に依つて使用せられ,それ以来所謂化学戦に於て,広く応用せられた代表的な毒ガスである。

 今春,千歳米軍キヤンプに於て,日本人従業員26名にY中毒が起り,その中の2名は著しい眼炎の為北大眼科に入院した。平時に於てかかる例を見た事は実に珍らしい事である。私は此2例のイペリツト眼炎につき報告をする。

隅角写真撮影に就いて 中山 正猷
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 隅角検査が眼科一般臨床検査として,広く応用される様になつた今日,この隅角所見を写真により完全に記録し,研究することは意義あることと思われる。隅角撮影は,1927年Thorbunが初めて行い,次でCastroviejo (1935), Bogart (1941), Sugar (1941)等により研究されてきた。然し乍ら我国に於いては未だその報告を見ていないのである。私はMonochrom film及びcolor filmによつて,略満足すべき撮影を行うことが出来たので,その方法を記述してみたい。

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 Helenienは一種のカロチノイドたるLuteinのDipalmitinsaureで,網膜色素上皮内に相当量存在しており,Studnitz,Niedermeierによつて暗調応機能を促進することが見出され,現在バイエル社よりアダプチノール(Adaptinol)の名のもとに発売されている。

 本邦においては池田教授によつて始めて紹介された。その後,正常眼の暗順応に及ぼす影響については池田・宮沢・楠部氏,網膜色素変性症に対する効果については衣笠・長谷川氏,岡氏の報告がある。

網膜膠腫の二家系 川崎 正夫
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 網膜膠腫が遺伝的傾向を有することは認められているところであるが,その報告例の極めて少い上に孤立した散発例であること等から現在尚その遺伝を確定するには至つていない。特に本邦に於ける報告例は少く,河本先生1),高橋氏2),根本氏3),庄司氏4)及び高安氏5)の同胞例各1例,根本氏3)の同胞とその伯母の1例を見るに過ぎない。私は今回本症の親子例及び同胞例各1例を得たので報告する。就中親子例は本邦に未だその報告を見ないところである。

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緒言

 慢性単性緑内障の原因は,本質的には未だ不明という外はないが,現在までに唱えられた諸説を大別すれば,

1)器械的流通障碍説。2)神経血管障碍説。3)眼圧中枢障碍説等が主なるものであろう。

高安氏病 斉藤 博
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1.緒言

 高安氏病は明治41年(1908)高安氏が「奇異なる網膜中心血管の変化の1例」と題して報告して以来,症例の報告相次ぎ,1954年迄に130余例に達したが,殆んど全例が本邦人に限られ,欧米諸国には比較的例の少いとされている特殊な疾患である。吾が教室に於いても,1951年鈴木教授の報告があり,今日症候学的にはほぼ明らかにされた観があるが,その本態に関しては先天性の素因を重視するもの,結核との関係に原因を求むるなど,未だ解明の域を脱し得ない現状である。

臨床講義

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 今迄福島県に特有な風土病の様に考えられて来た野兎病が,実は東主北地方の各県は勿論,今後もつと広い範囲内の発生も考えねばならなくなつたし,又旧来殊に眼科に於ける記載は現在の野兎病の研究から見ると再検討を要する点が尠くないので,我々の症例中から典型的な眼症状を伴う2例をあげて,野兎病の眼症候を御紹介したいと思う。

談話室

故山根浩教授を偲びて 南 熊太
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 昭和31年6月10日長崎大学にて第26回九州眼科集談会が行われることになつている。九州眼科集談会の事を思いながら,故山根浩教授の事をなつかしく思い出すのである。

 山根浩教授は,明治28年3月島根県に生れ,大正10年京都帝大卒業,昭和3年1月京都帝大助教授,昭和6年3月長崎医大助教授,昭和17年3月長崎医大教授,昭和20年8月9日長崎医大に於いて原子爆弾に遭い8月15日破傷風のため鬼籍に入り職に殉じられている。

集談会物語り

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 九州に於ける眼科の学会としては九州眼科集談会の外に九州医師会医学会の眼科分科会がある。

 九州医師会医学会ははじめ九州医学会として発足し,第1回九州医学会は明治25年藤田嗣章氏を会長として熊本市に於て開催されている。会員数258名,演題は総数にて18題であつたが,特に眼科分科会としては,開かれてはいないが,其の後限科分科会が開かれ,或は総会にても眼科の方が特別講演されたりしているが更に其の後は九州医師会医学会となり眼科分科会が盛大に行われている。九州眼科集談会は一時は『本会は年2回之れを開き1回は九州医学会として開き,他の1回は特別に之を開く』となつていた事があるが其後は九州眼科集談会は年1回之れを開き九州医学会と合同せずと改められている。それで,九州に於ける眼科の学会は,主として春に行われる九州眼科集談会と,秋に行われる九州医師会医学会眼科分科会の2つが主なものである。九州眼科集談会が大学所在地で行われているに対して,九州医師会医学会は,県庁所在地に於て行われている。

日本トラホーム予防協会会誌

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 Ⅰ.トラコーマ(Tr.)とは慢性伝染性結膜炎で徐々に発病した原因は不明と教科書に記載されてあり今日でも既の定義が正しいものとして多くの眼科医の支持を得ている様です。

 Ⅱ.所が私共Tr.二原諭主張者はTr.とは慢性(多くは伝染性)結膜炎でその症状,合併症,転帰等は古今の教科書に記載されている通りでそのTr.症状を起さしめた原因は単一ではないんだと主張しているのです。(Tr.症状の分析に就ての見解は他日詳述する享にし今回Tr.の症候と私がいうのは教科書に記載されている所の症候と考えていただきたいしそれに違いはないのですから)

基本情報

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臨床眼科
10巻9号 (1956年9月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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