Pharma Medica 34巻6号 (2016年6月)

特集 糖尿病性腎症の克服を目指して~up to date~

特集にあたって 古家 大祐
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糖尿病性腎症は慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)の主たる疾患であり,進行して腎不全となり新規に慢性透析療法に至る頻度も高く,慢性糸球体腎炎など他の腎疾患と比べても,1998年から第1位となっている。このような状況の背景には,糖尿病,特に2型糖尿病患者数の激増が一要因としてあり,International Diabetes Federationからの報告によると,この傾向は今後も続くと予想されている。さらに糖尿病患者は,健康成人と比較して心血管疾患の罹患率が有意に高いが,糖尿病性腎症を合併してその病期が進展するほど,心血管疾患の罹患率や死亡リスクが高まる。

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「はじめに」糖尿病性腎症は,糖尿病に特異的な細小血管合併症の1つであり,慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)の主たる原因疾患である。また,腎症の発症・進行に伴い,糖尿病患者の生命予後が悪化し,心血管疾患の発症リスクが高くなることより,腎症の発症・進展を阻止することが,予後改善を目指した糖尿病治療の目標であるともいえる。そのため,適切な糖尿病の治療戦略を構築すべく,腎症の臨床経過とその特徴を理解する必要がある。「KEY WORDS」糖尿病性腎症病期分類,微量アルブミン尿,寛解,eGFR

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「はじめに」糖尿病性腎症(以下,腎症)は,微量アルブミン尿が確認できれば臨床的に早期腎症と診断され,糸球体濾過量(GFR)測定は必要としない。その理由は,これまで想定されていた腎症の臨床経過(Mogensenらが提唱した1型糖尿病の自然経過を基盤とした腎症病期分類)を振り返るとわかりやすい。古典的な臨床経過では,腎症前期(正常アルブミン尿)から早期腎症期(微量アルブミン尿)を経て顕性腎症期(顕性アルブミン尿,持続性蛋白尿)に進展した後,腎機能低下をきたすと考えられていた。「KEY WORDS」アルブミン尿,eGFR,可溶性TNF受容体,バイオマーカー

腎症と遺伝子 前田 士郎
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「はじめに」糖尿病性腎症について,発症には家族内集積が認められること,およびAfrican,Mexican,American Indianなどで発症頻度が高いなど人種差が認められることから,何らかの遺伝要因が関与するとされている。臨床現場においても,同じ罹病期間,血糖コントロール状況にあっても腎症の発症進展に差が認められることは,多くの糖尿病診療医が経験している。したがって,糖尿病性腎症克服のためには,その遺伝要因の解明がきわめて重要と考えられる。ゲノムワイド関連(相関)解析(genome-wide association study;GWAS)の導入により,多くのcommon diseaseの感受性遺伝子領域同定が達成されており,2型糖尿病では90以上の感受性遺伝子領域が同定されている1)。「KEY WORDS」糖尿病性腎症,ゲノムワイド関連解析,single nucleotide polymorphism(SNP)

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「はじめに」2014年に改訂された「糖尿病性腎症(以下,腎症)病期分類2014」は,CKD重症度分類との関連も考慮して予後を勘案した腎症の新しい分類である。この分類は,以前の病期分類には参考所見として記載されていた病理所見には言及していない。理論上は,糖尿病の経過とともに糸球体のびまん性病変が進み,結節性病変が加わり,さらに尿細管間質病変と相まって腎機能の低下に至ると考えるのが順当であるが,実際には,特に2型糖尿病の腎症は,組織学的にも機能的にも多様な経過を辿っている。腎症の発症・進展に伴い出現する尿アルブミン値上昇,GFR値低下は耐容できなくなった腎臓から発せられる悲鳴である。SOSを発している腎臓を保護する機会があるとすればそれはいつか,病理所見から推察してみる。「KEY WORDS」腎機能予後,糸球体病変

腎症の食事療法 北田 宗弘
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「はじめに」糖尿病性腎症(以下,腎症)に対する治療は,末期腎不全への進展ならびに心血管疾患発症の抑制を目指して,血糖・血圧・脂質管理を中心とした包括的治療を行うことが推奨されている。包括的治療は,生活習慣の改善(食事・運動療法),薬物療法など多岐にわたるため,医師・看護師・管理栄養士を中心に構成される医療チームにより各職種が治療方針の計画と実施・患者教育について互いに共有・連携して行うことが,治療効果を発揮するうえで重要である。この包括的治療のなかで,食事療法は治療の基本であるが,腎症の病期に応じた食事療法を選択する必要がある。「KEY WORDS」低たんぱく食,食塩制限,糖尿病性腎症

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「はじめに」糖尿病治療の根幹をなすものは,いうまでもなく食事・運動療法であるが,近年の薬物療法の進歩には目を見張るものがある。特に経口薬療法は選択の幅が広がり,また注射薬療法もインスリンアナログ製剤,あるいはGLP-1受容体作動薬の登場で大きく様変わりした。糖尿病の病態に基づいた治療も可能な時代に入ってきたが,一方,日常診療では罹病期間が長く合併症の進展した患者を担当するケースも多く,また最近では,糖尿病患者の高齢化の問題も深刻化している。本稿では腎機能・腎症という観点,すなわち腎症の病期に応じた薬物療法,主に経口血糖降下薬による2型糖尿病の血糖管理について概説する。「KEY WORDS」血糖管理,経口血糖降下薬,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬

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「はじめに」耐糖能障害を含めて,成人の5人に1人は糖尿病といわれる。糖尿病の95%を占める2型糖尿病患者は50歳以降で増加し,70歳代にピークがある。糖尿病の発症から糖尿病性腎症などの細小血管症の発症まで5~10年はかかるため,糖尿病性腎症患者は高齢者が中心となる。実際,2014年に糖尿病性腎症で透析導入となった患者の平均年齢は67.2歳であり,進行した糖尿病性腎症患者の年齢は60歳以上が多いことが予想される。高齢の糖尿病患者は多くの合併症をもつことが多く,特にフレイルの状態にあるかどうかは治療を行ううえで重要な点となる。「KEY WORDS」蛋白尿,アルブミン尿,高血圧,高齢者

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「はじめに」糖尿病性腎症(腎症)は不可逆的に進行する難治性の疾患と考えられてきた。しかし近年の臨床研究から,腎症は適切な治療により治癒可能な疾患であることが明らかとなってきた。このような知見は早期アルブミン尿症例だけでなく,厳格に血糖や血圧が管理された顕性蛋白尿症例でも観察されており,この数十年の糖尿病診療の改善が結果として目にみえてきたことは大変喜ばしいことである。しかしながら,このような治療を行っても,蛋白尿が増加しネフローゼ症候群を呈するような症例,蛋白尿が持続し尿細管障害を呈し末期腎不全へと進行していく症例がいまだ存在することも事実であり,これら難治性腎症に対する新規治療法の確立は,今後の研究課題の1つである。「KEY WORDS」糖尿病性腎症,オートファジー,mTORC1,ポドサイト

SGLT2阻害薬と腎機能 金﨑 啓造
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「はじめに」腎臓近位尿細管に局在するナトリウム依存性グルコース輸送担体2(sodium-glucose co-transporter 2;SGLT2)は,糸球体より濾過されたグルコースの尿細管での再吸収に重要な役割を演じている。実際,濾過されたグルコースの約90%はSGLT2により,残りの10%はより下流に存在するSGLT1により再吸収される。持続高血糖症例において尿グルコース増加は,近位尿細管におけるSGLT2を介した血糖とナトリウムの再吸収増加,遠位側への塩化ナトリウム供給量低下を惹起し,tubuloglomerular feedback(TGF)の破綻,糸球体高血圧を誘導する可能性がある。SGLT2阻害薬は近位尿細管におけるグルコース再吸収阻害を介してTGF正常化を誘導し,糸球体高血圧を是正する可能性がある。「KEY WORDS」糸球体高血圧,ナトリウム依存性グルコース輸送担体2,単一ネフロンGFR,尿細管・糸球体フィードバック

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「はじめに」糖尿病性腎症は,網膜症,神経障害とともに糖尿病に伴う細小血管障害の1つである。腎症の成因の最上流に位置するものは高血糖であり,高血糖に加えて高血圧,脂質代謝異常も腎症の発症・進展に深く関与している。高血糖から腎組織障害に至る過程には,複数のメカニズムが存在すると考えられる。これまでに腎症の治療薬として確立された薬剤はレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬のみであるが,腎症の成因に関する研究の進歩に伴って,新しい作用機序による治療薬の開発が進みつつある。「KEY WORDS」糖尿病性腎症,炎症,インフラマソーム,治療薬

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連載 一目でわかるクリニカルレシピ

糖尿病性腎症の食事 柏原 直樹

その他

第3回 下垂体スキルアップセミナー
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投稿

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抄録

第61回 成長ホルモン研究会
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疱瘡*1は見目定め,麻疹*2は命定め――江戸時代,麻疹は大人も発病し命に関わると恐れられていた。将軍*3から町人*4まで人々はいかに麻疹と付き合ってきたのか。医学書や御触書*5,浮世絵*6などから論じ,麻疹を通して江戸の社会を描く。(本書カバー裏表紙より引用)病気の予防,診断,治療をめぐっては,正鵠(せいこく)*7を射たものから,利得を求めての怪しげなものまで登場するのは,いつの時代も同じことである。啓蒙書も,啓蒙というより扇動書としか言いようのないものまで現れる。医師とて例外ではない。科学的にきちんと実証されていない異説に腐心*8することもみられる。マスコミも,病気の正しい知識や対応の仕方とはかけはなれた情報を流すことも多い。医師とマスコミが結託すると,効定まらぬ高価な薬は“夢”の新薬と化す。

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目次

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基本情報

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Pharma Medica
34巻6号 (2016年6月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0289-5803 メディカルレビュー社

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