保健婦雑誌 35巻1号 (1979年1月)

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はじめに

 難病対策は昭和47年から各地方自治体において,国の"難病対策要領"に基づいてそれぞれ実施されてはいるが,医療制度や社会福祉制度上の問題あるいは特有な疾患のために,保健指導にあたっての知識や患者に関する情報が十分に得られないなどから,在宅難病患者に対する援助活動の必要性を感じながら,積極的に取り組むことに躊躇しているというのが現状ではないかと考える。

 東京都では早くから診断・治療,そして早期発見および療育相談に関する機構についてなど広範囲にわたる研究を各方面に委託し,国の難病対策の方向に沿いながら独自の施策を行っている。その研究の一環として昭和51年から重松逸造先生(国立公衆衛生院疫学部長)を班長として"地域の特殊疾病患者に対する保健指導のあり方に関する研究"が始められた。筆者らはこれに参加し,地域ではまだほとんど手がつけられてはいないのではないかと思われる膠原病,内臓疾患患者を対象とし,主として家庭訪問をとおして,どのように援助活動をすすめたらよいか検討してきたが,2年余り経過したいま一応のまとめができたので,ここにその一端を紹介したい。

グラフ 今月のテーマ 暖房

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冷房装置が冷房病をもたらしたように 暖房の場合も器具や使い方いかんによって いろいろと問題も出てくる.ここでは健康面を中心に 暖房について その功罪を考えてみた

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 私たちの職場で案外,自分の健康管理に無頓着というか,知識のないのに驚かされた。ある人は貧血ということで病院を訪れたところ,病名は栄養失調ということであった。大学卒の女性である。だから気分が悪いとか,朝起きられないとかといってよく休む。アメリカ帰りの男性は10時半にならなければ出勤できない。不健康なのか,生活がずっこけているのかよくわからないが,組織に働く者としては落第である。

 健康で気持よく働く条件を整えることは他人が与えることではなく,まず第一には自らが健康的な環境を整備し,自らが自分の健康を管理することが出発点であると私は思っている。いくら保健婦さんが地域や職場で健康の保持増進のために健康管理や保健指導をするにしても,最も自分の健康状態を知っているのは自分自身である。時には無自覚や潜在的な病気もあるから,自分の健康を科学的にチェックするため定期診断は必要であろう。その定期診断ですら自ら進んで受けようとする人がどの位いるだろうか,とくに若い層に。

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家庭での処置から病院での訓練まで

 この書はまず非常にわかりやすく,広範囲の人に読んでもらいたい本である。例えば,私どもの脳卒中リハ友の会の会員や家族から,何かリハ訓練にあたって参考になる良書がないかと尋ねられた場合,気軽に紹介できる本の一つである。特に"図説脳卒中リハビリテーション"と題名がついているように,図がふんだんに取り入れられていて,老人にも理解しやすいだろうし,退院後の患者など,一応急性期のリハ訓練を終えた人ならばすぐのみこめると思う。リハ訓練の入門書ともいうべく初歩的知識を満たしてくれる書である。

 ここで私どもの体験から言うと,まず訪問すると,病院での訓練をそのまま家庭ではできず,それぞれできる範囲で工夫して器具を取り付けたり,手すりを取り付けたりするが,なかなか長続きせず,最初は頑張って訓練していてもいつしか器具にホコリがかむっているといった状態で,1日数回の散歩程度になってしまう人が多い。約半数の人はそのような貧弱な訓練になってしまっている。

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 臨床家とアルコール中毒体験者の共著で,あまりはも偏見に満ち,かつ甘く考えられているアルコール問題について,その実態を知って欲しいという主旨で書かれているので,大変わかりやすい本です。

 アルコール中毒に至る経過は"精神的な成熟度により,また酔心地を知ったとき,その利用態度いかんによって明暗のみちは分かれ,しかもその飲酒の機会の間に少しずつとしかいいようのない決まり方をする"とあります。

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住民の主体性の確立が保健婦へ波及する

 久常 小宮さんが前号で言われたことをまとめさしていただくと,制度ができない限り継続した保障が対象に対してできないということを1つ挙げられた。継続して保障ができないけれども,内容として質的に保障していけるというのは,やっぱり個へののめり込みという形もあるかもしれないし,そういう中で自分達が試行錯誤しながら作り上げていくという形でなりたつかもしれない。そうしたら,主体は住民だというところをもう少し押さえる必要はないでしょうか。

 住民を主体としてかかわらないといけないということが出てきたけれども,一方,保健婦は保健婦で主体的にかかわっていかないといけないということが出てきたわね。具体的にどういうことかというと,保健婦1人1人が個人的にかかわるわけじゃなくて,やっぱり自分達の職場の集団が問題を共有しながらそれにかかわっていかない限りは力になっていかない……。1つの資源を作っていく時に,個人的に私が障害児の問題に興味があるからといってかかわっていったとしても,それはあまり力にならないと思う。そうすると,結局住民側が主体になることも,保健婦側が主体になることも同じ意味を持っているという気がするのね,資源を作り上げていくことにかかわっていくプロセスにおいては。だからその辺のところをもう少し深めておいて欲しいなという気がするけれども。

連載 "プライマリー—ヘルス—ケア"を考える・3

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はじめに

 私共は本誌で"プライマリー—ヘルス—ケアを考える"の連載をはじめ,最初に"プライマリー—ヘルス—ケアの概念と国際的意義"1)(昭和53年11月号)を紹介し,前号でWHO/UNICEF (世界保健機関/ユニセフ)のプライマリー—ヘルス—ケア(以下PHCと略記)を基本的な視点とし,世界の主要な5か国のPHCに関する動向を"世界におけるプライマリー—ヘルス—ケアの現状と問題点"2)として紹介しました。

 今回から,いよいよ日本のPHCを考えることになりました。ところで,私共は前号を書き終えた後に,わが国の保健婦さんが一体PHCをどう受け止めているか気になって,東京及び神奈川県で1回ずつ保健婦さんと話し合いを持ちました。都内での会合には全国から集まった約20人の保健婦さんが出席し,神奈川の会合はある保健所の保健婦約10人が出席しました。各々,最初に私共が昨年の11月号で述べたWHO/UNICEFのPHCの概念を中心に日本のPHCにも少し触れた話をした後,保健婦さんとの討論を交しました。両方共わずか3時間程の会合でしたが,保健婦さんがPHCに関して何を考え,何が疑問なのか,そしてPHCということに如何に戸惑っているかがわかり,非常に参考になりました。

連載 海外レポート

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 藤田学園名古屋保健衛生大学では,数年前より,インド領カシミールヒマラヤに今も残存しているチベット文化(チベット仏教)圏に調査隊を送り,当地の学術研究を進めてきたが,その調査をより円滑に行うため,地元の医療サービスをするための医療班を編成した。

 今回の調査による日程の40日間は,インド政府の理解と援助でとどこおりなく目的を果たすことができた。

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I.はじめに

 保健婦教育の中での家族を中心とした家族健康管理実習の概要は前回で述べた通りであるが,その評価をしていくには,学生側からの評価と実習家庭側からの評価と共に,教師からみて学生の学習達成度の評価をあわせて行っていくことが大切であろう。

 家族健康管理実習に対する初年度の家庭の反応は前回述べてあるが,担当学生が訪問することによってよかった点があったとしている家庭が58%みられたこと,担当学生が訪問することによって健康に関心を持つようになった家庭が42%あったこと,また引き続き健康管理家庭の希望が74%にみられたこと等より,実習初年度としては各家庭が,健康管理実習をまずまず評価していると考えられる。しかし,まだ決して十分とはいえず,各家庭の実習に対する理解度や期待の度合,更に健康レベル面から分析していくことが要求されるが,今回は担当学生を中心に,在学中と卒業後の時点で家族健康管理実習に対する認識を通して検討する。

連載 家庭看護技術の実践・6

病床の整え方(その1) 氏家 幸子
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 病床は,患者の症状や寝床の衛生的条件や人間工学的条件,さらに各人の習慣や美意識によって選択されることは,前号で述べた。寝心地のよい病床は,十分に配慮して選ばれた寝具と,寝床の整え方にある。寝床の整え方,つまりベッド—メーキングBed Makingの良し悪しは,そこを終日生活の場にしている患者にとって,身心に与える影響は大きい。

 そこで,寝心地がよく,安楽で安全な病床の整え方をまず説明し,次に清潔に保つための掃除やシーツ交換の実際について説明したい。

基本情報

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保健婦雑誌
35巻1号 (1979年1月)
電子版ISSN:2185-4041 印刷版ISSN:0047-1844 医学書院

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