助産婦雑誌 32巻3号 (1978年3月)

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 昭和51年度の分娩実数──3,291.分娩数の減ってゆく産科関係の話題のなかで,何と驚きの数字であろう.それでもかつては,5,000近くの時もあったそうだ.ここ聖バルナバ病院は,アメリカのエピスコパル教会が1873年に診療所を開設して以後,今日に及んでいるという.また現在の建物も1928年というから,かなりの伝統が秘められているわけだ.

 妊婦管理で目につくことは,一般外来として受付・検尿・採血・予診・診察・指導室といった流れのなかの随所に,定員として配置された助産婦が,ゆとりある時間をもって妊婦と個人的に対応していることである.また,お母さんのお腹の大きさに応じて,新患指導・お母さん教室・安産教室といった集団指導の場も設けられていて,そこでの助産婦の働きかけも積極的だ.

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正常は家庭医,異常は病院—みごとなシステム化

【西ドイツ・ハンブルグ】

 田間(司会) それでは,今回の視察旅行について,最初から日付を追ってお話しいただけますか。

 先ずハンブルグなんですけど,教育センターを見学する予定だったのができなかったとか……。

研究・調査・報告

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1.はじめに

 品胎妊娠は我が国では欧米と比較して少ない。今回私たちは品胎妊娠に軽度妊娠中毒症,切迫早産,貧血の合併症を有した経産婦を無事分娩まで看護し,生児を得たので報告する。

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 人との出合いは実に多様である。かつて,保健指導の何かを求めて聖バルナバ助産婦学院に入学した私にしてみれば,そこで川口裕子さんと出合えたことこそが,いま私がこうして,曲がりなりにも助産婦として打込めていられるように思えてならない。

助産婦事典

食品添加物と胎児への影響 荒木 勤
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はじめに

 食品添加物とは,「食品の製造の過程においてまたは食品の加工もしくは保存の目的で,食品に添加,混和,浸潤その他の方法によって使用するもの」とされている。これは食品衛生上,全く害のないとみなされるもののみ,公的に使用が許可されている。したがって,ある種の食品添加物を含む食物を一時的かつ少量摂取したとしても,人体におよぼす影響はないといえる。

 しかし,法律で定められた許容量は一般に成人を対象としたものが多く,胎児・新生児および妊婦に目を向けた使用基準の設定ではない。また,使用基準の確立は多くの場合,動物実験による結果からの判定であるので,種類の選定,量的基準の判定がそのまま胎児や妊婦に通用するか否かが問題となってくる。そのうえ,現在使用されている約300種以上の食品添加物が,種々の食品に混和されてくるから,摂取する量や種類も多くなれば単一の場合よりさらに加算され,かつ蓄積作用もでてくる危険が考えられる。

わたしの助産術

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はじめに

 新生児は皮下脂肪が乏しく,体温調節中枢が未発達のため,環境温度に左右され体熱を失いやすい。いったん失った体温を回復させるにはかなりのエネルギーが必要である。低体温は,新生児の呼吸循環の適応を遅らせ,チアノーゼ,痙攣,元気不良,哺乳力不良などの原因となり,予後に影響を及ぼすことも多い。

 出生直後の体温は,皮膚に付着した水分(羊水,血液,粘液)などの気化熱で失われるが,それ以後は伝導・対流よりも輻射による喪失が大部分である。毎日の沐浴も皮膚に付着した水分によって体温の喪失の原因になる。ここでは特に,出生直後の沐浴と,レジウォーマーによる保温について,本院での研究を通して記述してみようと思う。

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1.はじめに

 当院産科新生児室は,昭和45年10月以来小児科医の管理となり,同46年1月より,新生児に粉乳等の乳製品を使用しない,完全人乳方式による新生児哺育を実施してきた。

 当院での完全人乳方式とは,生後2日目までの母乳不足に5%ブドー糖溶液を,生後3日目以後の母乳不足には,5%ブドー糖溶液か,他の母親の新鮮な人乳を「もらい乳」して,哺乳瓶で与える方法である。

トピックス

最近の母子保健行政から 中原 俊隆
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1.先失性代謝異常検査

 先天性代謝異常症のうち,フェニールケトン尿症,楓糖尿症,ヒスチジン血症,ホモシスチン尿症,ガラクトース血症の5疾病について,ガスリー法(ガラクトース血症についてはボイトラー法)によるマス・スクリーニング検査が,ほぼ全国的に実施されている。まだ実施されていない県でも4月には開始される見通しである。

 この検査は,生後5〜7日に新生児より採血し,代謝異常検査用濾紙にしみ込ませ,検査機関へ郵送し,検査機関は検査の結果を採血をした医療機関へ通知するというプロセスを通る。患児が発見されれば,早期治療により心身障害を残すことが防げる。検査料は公費負担であるが,採血料などは自己負担である。もし患児であった場合の治療費は公費負担の対象となる。

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 日本看護協会,日本看護連盟主催による「第8回国民の健康を守る看護大会」は2月10日,東京の千代田区・九段会館で行なわれた。

 全国各地からの参加者で開会時間前には既に1,2階とも満席となるほどの盛況であった。午前10時に開会が告げられ,会長拶挨のあと山口県支部三井エツ子姉により大会宣言が力強く読みあげられた。続いて熱気にあふれた会場から,厚生省や文部省,労働省,衆参両院,記者クラブなどへの陳情団が編成され,会場の拍手におくられ出発した。

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 病産医院の助産婦業務のうち,正常妊産婦の保健管理や,医師の診療補助・介助の仕事は全体の約1/3であり,妊産婦および新生児への直接的看護が1/3,残りの1/3は女から母への発達を促すために行なう保健教育活動である。

 病産医院の助産婦は,これら診療,直接看護,保健教育のそれぞれを完全に遂行する力があり,しかもそれぞれが統合調和するように計画して日常の仕事を行ない,母と子,およびその家族の健康増進のために働いているのである。そのために,多面的に学習もし,技術訓練を行ない,自己研修につとめている。

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 産科領域での超音波断層法ultrasonic scanningは,最近でのめざましい発展をとげた分野でのトップにあることは,皆さんもすでによく御存知のことと思います。妊娠の初期,5〜6週の時期においても,子宮内に妊娠腔GSを描き出して,妊娠の早期診断のきめ手のひとつになる時代から,さらに,今日では発展をつづけ,切迫流産となった時に,その妊娠腔の形態の変化を参考にして,その切迫流産の症例の予後がよいか,悪いかなどを判定する情報を与えてくれるようになりました。ところが,今日,もう一歩進んで,電子スキャンという手技が開発されて,子宮内の妊娠初期の様子がもっと細かく描かれるようになり,非常に早期に胎児の心拍動が私たちの眼でキャッされるようになりました。これは,妊娠初期の胎児が生きているのか死んでいるのかが不明なために,ずい分と余分な時間や手技を用いなければならなかった今までの私たちに,非常な進歩を感じさせる発展となったのは当然です。

 正常の妊娠では,妊娠7週(満で数えての7週です)になると,子宮内の胎児像のなかに心拍動が超音波電子スキャンでみい出されます。後屈の子宮などでは時に確認できないこともありますので,100%とはいきませんが,ほとんど全例に,すでに,この時期に胎児の心拍動が私たちの眼で確認できるということは,妊娠7週の時点で,もう,胎児の生死の区別がはっきりとつけられるのだということを意味しています。

母と子を看とるなかで

生命とひきかえに 横尾 京子
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 例年の如く12月に入ると病院玄関の樅の木が飾られ,闇の中での灯の点滅は聖夜を待ちわびる者の心のときめきのように見える。しかし26日の夜は既にその点滅もなく,彼女の死のためかいっそう暗闇が仕事を終えた私に冷たく被いかぶさってきた。

 彼女はある開業医で4か月前に分娩を終了したが輸血を受けてしまった。そして産後1か月頃には全身倦怠感が強くあらわれ,再びその開業医を訪れると風邪ということで治療を受けた。しかしその治療にもかかわらず,ある日突然意識は混迷状態となり,医師は今度はそれをヒステリーと診断し精神病院を紹介したのである。彼女の義姉は事の異常に気付き,勤務先の病院へ彼女を紹介した。内科に緊急入院後,間もなく激症肝炎の集中ケアーが開始されたが,その甲斐もなく1週間後には他界した。26日の昼過ぎのことである。

基本情報

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助産婦雑誌
32巻3号 (1978年3月)
電子版ISSN:2188-6180 印刷版ISSN:0047-1836 医学書院

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