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妊娠初期の超音波電子スキャンによる胎児心拍動の確認
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.196
発行日 1978年3月25日
Published Date 1978/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205355
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産科領域での超音波断層法ultrasonic scanningは,最近でのめざましい発展をとげた分野でのトップにあることは,皆さんもすでによく御存知のことと思います。妊娠の初期,5〜6週の時期においても,子宮内に妊娠腔GSを描き出して,妊娠の早期診断のきめ手のひとつになる時代から,さらに,今日では発展をつづけ,切迫流産となった時に,その妊娠腔の形態の変化を参考にして,その切迫流産の症例の予後がよいか,悪いかなどを判定する情報を与えてくれるようになりました。ところが,今日,もう一歩進んで,電子スキャンという手技が開発されて,子宮内の妊娠初期の様子がもっと細かく描かれるようになり,非常に早期に胎児の心拍動が私たちの眼でキャッされるようになりました。これは,妊娠初期の胎児が生きているのか死んでいるのかが不明なために,ずい分と余分な時間や手技を用いなければならなかった今までの私たちに,非常な進歩を感じさせる発展となったのは当然です。
正常の妊娠では,妊娠7週(満で数えての7週です)になると,子宮内の胎児像のなかに心拍動が超音波電子スキャンでみい出されます。後屈の子宮などでは時に確認できないこともありますので,100%とはいきませんが,ほとんど全例に,すでに,この時期に胎児の心拍動が私たちの眼で確認できるということは,妊娠7週の時点で,もう,胎児の生死の区別がはっきりとつけられるのだということを意味しています。
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