今月の言葉
男女婚姻年令を近づけよ
S
pp.9
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201147
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昭和30年の我国出生数は約173万,出生率は19.3であつた.この数字は我国で出生数が最も多かつた昭和22-24年の3年間に比して,年約百万の出生減であり,出生率は3分の2以下となつた.この間病院分娩の割合も増加しつつあり,助産婦の将来問題が深刻に憂慮さるべき事態に立到つていることは当然である.我国出生数は将来如何に変化しゆくであろうか.又病院分娩割合が如何に増大しゆくであろうか.これらの推移は,助産婦にとつて最大の問題である.
出生率の減少速度は,しかし,ここ数年間漸減しつつある.昭和24年から25年の間に約5の出生率減少は25年から26年にかけ2.8となり,更に26年から27年及び27年から28年のそれぞれ1.9となり,28年から29年には1.5となり,29年から30年にかけては0.7であつた.即ち,我国の出生減少の速度は最近に至つて漸く足ぶみの状態に立到つた.人が結婚し,一夫婦の間に2人乃至3人の出生児を希望するものが多い以上,出生率は無限に低下するということはない.我国の婚姻率は昭和30年8.0である.この年婚姻届出数は約71万5千であるから,この状態がつづき,もし一夫婦間に平均2児の出生があるものとすれば,出生率はごく大づかみにみて,婚姻率の2倍即ち16位のところに落付くであろう.従つて現在の出生率19.3が,今後大幅に減少するということは既存の理由からでは考えられない.
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