連載 とらうべ
薬剤師として,女性として
堀 美智子
1
1(株)エス・アイ・シー医薬情報部門
pp.885
発行日 2002年11月25日
Published Date 2002/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611902976
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私は,薬剤師として,薬局の店頭で更年期症状を訴える様々な患者さんに接した経験から,更年期障害については,ある程度の知識を有しているつもりでいました。しかし,自分自身が更年期に入ると,月経が不規則になり,月経周期が短くなったり,長くなったり,また不正出血が起こったり……,そんな体の変化に「もしかしたら子宮ガン?」と悩んだりしました。検査の結果,ガンという考えは杞憂であることがわかりましたが,「そろそろ閉経するのでしょう」という言葉に,女性でなくなってしまうような,なんとも寂しい気持ちになったことを憶えています。あれあれどうしたのと思うほど顔から汗が出て,そうかこれがホットフラッシュかと納得しても,化粧ははげてしまってまったくだめ。今,私は様々な更年期症状を経験するようになり,更年期障害についてわかり始めたといったところでしようか。
人間というのは勝手なものです。物事はいつも自分というフィルターを通してしか,見ることができないのですから,結局「知っている」というレベルから,「わかっている」というレベルになるのに,体験ほど強いものはないのかも知れません。
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