特集 マタニティーブルーと産褥期うつ病の臨床
マタニティーブルーの評価基準と尺度
岡崎 祐士
1
1東京大学医学部精神医学教室
pp.590-593
発行日 1985年7月25日
Published Date 1985/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206682
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はじめに
マタニティーブルー(Maternity Blues)は,産褥早期の3〜10目頃に生じる一過性の情動と認知の混乱とでもいうべきものである。産褥3〜4日目に出現のピークがあり,10日目頃までにはほとんど出現してしまうために,欧米ではthird,fourthあるいはtcnth-day bluesといった呼称も用いられている。経験的に古くから知られていたと思われるが,大多数が短時日で消失してしまうために医学的検討の対象として意識されることが少なかったのであろう。
しかし,マタニティーブルーを経験した褥婦の少なくない人々が,不快なもので,時には深刻な気分に襲われていたことが明らかにされた。英国のDalton女史1)のBBCでの放送への反響の大ぎさが実証したところである(なお,この中にはマタニティーブルーだけでなく,産褥期のうつ病や精神病の婦人も含まれており額面どおりではないが)。
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