手術 78巻13号 (2024年12月発行)

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特集　一般外科医として押さえておくべき外来処置と小手術

特集扉齋浦　明夫 78巻13号 , 2024年12月

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［企　画］

齋浦明夫（順天堂大学肝胆膵外科）

切創・擦過傷の治療古川　洋志 78巻13号 , 2024年12月 , pp.1971-1977

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切創・擦過傷は日常診療で頻度の高い外傷と言える。今回，形成外科の立場から，切創・擦過傷の診療の基本について述べる。

挫創・挫滅創の治療入潮　実季 , 元村　尚嗣 78巻13号 , 2024年12月 , pp.1979-1985

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衝突，打撃，摩擦などの大きな鈍的外力により皮膚・軟部組織の連続性が断たれたことによる外傷を挫創と呼ぶ。外力の程度によっては神経，血管，腱，骨，関節，臓器などの深部組織へ達した開放創となり，これを挫滅創と呼ぶ1-3）。

刺創の治療と皮下異物除去黒川　正人 78巻13号 , 2024年12月 , pp.1987-1992

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刺創とは鋭いものが身体に刺さってできる創傷である。原因は先の尖った包丁，ナイフ，針，釘，アイスピック，箸，鉛筆，木の枝，竹などである。皮膚表面の創は小さいが，創が深部まで達していることが特徴である1）。受傷したときに，刺入物の一部が折れると異物として体内に残る。また，土や砂などで汚染されたものや，さびた金属が刺さったときには，土砂やさびが体内に残って異物となる1, 2）。

動物咬創の治療屋宜　佑利香 , 岩科　裕己 , 多久嶋　亮彦 78巻13号 , 2024年12月 , pp.1993-1999

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動物咬創は外来診療でしばしば遭遇する疾患であり，昨今のペットブームに伴い症例数は増加している。そのなかでもイヌ咬創，ネコ咬創およびヒト咬創が多く，手足や顔面といった露出部に受傷することが多いため，細菌感染を制御しつつ整容性にも配慮した治療が求められる。

熱傷・凍傷の治療漆舘　聡志 , 三上　誠 , 和田　尚子 , 飯田　圭一郎 , 樋口　彩子 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2001-2011

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熱傷は日常診療で診察する機会が比較的多い外傷の1つである。浅達性熱傷であれば適切な保存的治療で治癒が期待できるが，創感染などにより治癒が遷延すると，外科的治療を要する場合もある。熱傷治療はその成否によって患者のQOL（quality of life）が左右されるため，診察時には的確な診断と治療法の選択が不可欠である。また治療中に創面の状態は刻々と変化していくため，随時創面を慎重に観察し，創の状態に応じて臨機応変に治療法を選択することが重要である。

褥瘡の外科的治療：デブリードマン相原　有希子 , 関堂　充 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2013-2020

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褥瘡の外科的治療についてはガイドラインでも取り上げられている。ただ，外科的治療といっても創部を閉鎖する「再建術」の適応は厳しく，一般的にはデブリードマンのことである。ここではデブリードマンの目的から考える適応，実際について述べる。

陥入爪・巻き爪の治療堂後　京子 , 小室　裕造 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2021-2029

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陥入爪は爪甲が側爪郭に陥入し，炎症を引き起こしている状態である（図1）。一方，巻き爪（彎曲爪）は，爪甲が内側（横方向）に彎曲した状態で，爪の先端が皮膚を圧迫することで疼痛を生じる（図2）。陥入爪と巻き爪は厳密には異なる病態であるが，しばしば両者が合併し，治療法や予防法にも共通点がある。

胼胝・鶏眼の治療高山　かおる 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2031-2040

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胼胝は「たこ」，鶏眼は「うおのめ」として，一般にも広く知られる疾患である。しばしば疼痛を生じ，歩行を困難にするが，ほとんどの場合その治療は対症療法に限られている。胼胝・鶏眼を根治的に手術することは，その病態を考えれば難しいことがわかる。また，患者側からすれば，通院していても再発をくりかえし，治癒しない疾患に悩まされている。さらに高齢者における疼痛によるADL（activities of daily living）の低下や転倒などを増やすリスクにつながっており，糖尿病神経障害や下肢末梢動脈疾患患者における重症足病変の発症契機にもなり得る。

粉瘤・脂肪腫摘出術帆足　俊彦 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2041-2050

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粉瘤とは体表に生じる囊腫構造をもつ腫瘍性病変である。また，脂肪腫とは主として体表に生じる脂肪細胞由来の良性腫瘍である。いずれも日常診療でよく遭遇する疾患である。

気管切開香取　幸夫 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2051-2060

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気管切開は，首の正中下方で頸部気管に直接到達する呼吸路（気道）を作成する手術である。気管切開は次の3つの場合に行われる。

胸腔穿刺およびドレナージ池田　晋悟 , 前田　純一 , 星野　竜広 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2061-2073

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胸腔穿刺とは，胸腔内の液体貯留（胸水）や気体貯留（気胸）を体外に誘導（ドレナージ）し，診断と治療を行う手技である。あるいは心臓・大血管や肺・縦隔に対する手術後のインフォメーションとしての重要な役割もある。

肛門周囲膿瘍に対する切開排膿術松田　聡 , 尾田　典隆 , 新井　賢一郎 , 松永　篤志 , 中井　勝彦 , 川上　和彦 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2075-2082

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肛門周囲膿瘍は，外科医であれば一度は遭遇する頻度の高い疾患である。多くは耐え難い肛門痛で受診し緊急切開排膿術を要するため，迅速な診断と治療方針の決定が求められる。切開排膿術は，やみくもでなく肛門機能に配慮しつつ，痔瘻根治術を見据えた十分なドレナージを得ることがポイントとなる。また，フルニエ壊疽，クローン病などに起因する緊急性を要する膿瘍を見逃さないことも重要である。

中心静脈ポート留置術・抜去術鈴木　哲也 , 浅川　真巳 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2083-2088

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わが国で中心静脈（central vein；CV）ポートが導入されたのは1990年頃で，それ以前には動注用のポートを流用していた。当時はエコーガイド下留置が普及しておらず，ランドマーク法が中心であったため，さまざまなトラブルが発生していた。そこで，小児などに広く行われていたカットダウン法を，筆者がCVポート留置術に応用したのが1993年であった。ランドマーク法で主に右前胸部にポート留置を行っていたため，同部位に近く体表に近い静脈として橈側皮静脈を選択したのであった。

手術手技

腹腔鏡下 / ロボット支援幽門側胃切除術におけるBook-Binding Techniqueの手技と成績工藤　健介 , 沖　英次 , 太田　光彦 , 吉住　朋晴 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2089-2097

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世界保健機関の2020年世界がん観測データによると，胃癌は世界で4番目に死亡率の高い癌であり，近年，免疫チェックポイント阻害剤が生存率向上に寄与しているが，現状では外科的切除が根治的な治療法である。胃癌に対しては腹腔鏡手術，ロボット支援手術といった低侵襲手術が普及，定型化してきており，標準的なアプローチとなっている。腹腔鏡下 / ロボット支援幽門側胃切除後の吻合法としてはBillrothⅠ法とRoux-en-Y法が一般的な方法であるが，とくにBillrothⅠ法に関しては完全内視鏡外科手術による体腔内吻合が行われている。

直腸脱に対する腹腔鏡下ventral rectopexy変法の手術手技生野　晴奈 , 平木　将紹 , 真鍋　達也 , 能城　浩和 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2099-2104

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直腸脱は骨盤臓器脱の1つであり，先天的な要因，排便習慣や骨盤底筋の脆弱化が原因と考えられる疾患である。高齢者に多くみられ，日常診療で遭遇する機会は今後も増えると予測される。症状として直腸の脱出による肛門痛，出血，便失禁や排便障害などは生活の質の低下をもたらすことになるため，治療を要する慢性疾患である。近年では腹腔鏡手術の進歩に伴い，直腸脱に対する根治手術として侵襲が少なく再発率が低い腹腔鏡下直腸固定術が普及している1）。しかし，現在さまざまな直腸固定方法が腹腔鏡下に行われているが，メッシュ使用の有無，固定部位や直腸授動の範囲などさまざまな術式があり，それぞれにメリットとデメリットが指摘されている。

ロボット支援膵頭十二指腸切除における膵空腸吻合の工夫西岡　歩美 , 中多　靖幸 , 吉川　高宏 , 紙谷　直毅 , 根津　大樹 , 高　済峯 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2105-2110

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膵頭十二指腸切除術（pancreatoduodenectomy；PD）は，複数の臓器切除に加えて膵管・胆管の再建を要する高難度手術であり，膵液瘻など重篤な合併症の頻度も高い。しかし，近年，腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術（laparoscopic pancreatoduodenectomy；LPD）やロボット支援膵頭十二指腸切除術（robot-assisted pancreatoduodenectomy；RPD）などの低侵襲膵頭十二指腸切除術（minimally invasive pancreatoduodenectomy；MIPD）が導入され，ハイボリュームセンター中心に普及しつつある。高拡大倍率のカメラと多関節機能・手振れ防止機能付きロボット鉗子を有するロボット支援手術は，高度な縫合技術を必要とするMIPDにおいて腹腔鏡手術に比べて有用性が高いと考えられる。

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目次 78巻13号 , 2024年12月

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読者アンケート 78巻13号 , 2024年12月 , pp.2074-2074

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第78巻総目次・総索引 78巻13号 , 2024年12月

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基本情報

手術
78巻13号
(2024年12月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0037-4423 金原出版

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