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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅱ.先天代謝異常
20.Lesch-Nyhan症候群
Lesch-Nyhan syndrome
中島 葉子
1
,
伊藤 哲哉
1
NAKAJIMA Yoko
1
,
ITO Tetsuya
1
1藤田医科大学医学部小児科
pp.139-142
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000534
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1 基本病因,発症機序
Lesch-Nyhan症候群は,プリン体のサルベージ経路であるヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)が先天的に欠損するために生じ,その結果プリン体の合成が亢進し,高尿酸血症をきたすほか,精神発達遅滞,不随意運動,自傷行為などの神経症状を呈するX連鎖性疾患である。高尿酸血症の機序は,HPRT活性が低下することによりプリン体のサルベージ経路の基質であるグアニン,ヒポキサンチンが再利用されずに尿酸に代謝されるほか,プリンde novo合成の過剰に由来する。サルベージ経路の基質でもあるホスホリボシルピロリン酸(PRPP)がHPRT欠損のために利用されずPRPPの細胞内濃度が上昇すること,サルベージ回路により産生されるIMPが減少することによりde novo合成系のフィードバック阻害が減少することなどによりde novo合成は過剰となる(図1)1)。これらは尿酸の産生過剰をひき起こし,高尿酸血症,腎結石などの原因となる。
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