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特集 第9回脳のシンポジウム
主題:代謝性神経筋疾患
指定討論:Lesch-Nyhan症候群における脳障害の成因に関する考察
Pathogenesis of brain damage in Lesch-Nyhan syndrome
多田 啓也
1
Keiya TADA
1
1大阪市立大学医学部小児科
1Department of Pediatrics, Osaka City University Medical School
pp.1082-1083
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903576
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- Abstract 文献概要
成人の痛風は知識階級に多く(これは食習慣の要因が大であろうが)決して知能障害を伴わないのに対し,小児高尿酸血症として知られるLesch-Nyhan症候群では中枢神経症状や知能障害が必発である。この差はいったいいかなる機作によるものであろうか。
Seegmillerらにより明らかにされたようにLesch-Nyhan症候群はプリン代謝経路のhypoxanthine-guanine phosphoribosyl transferase(HGPRT)の遺伝的欠損に基づく。従来,salvage pathwayとしてその生理的意義があまり重要視されていなかったこの過程の障害により,著明なde novo尿酸合成の亢進と中枢神経症状(choreoathetosis,selfmutilation,mental retardation)を来たす事実は,逆に本酵素の生理的重要性を証明したものであり注目に価する。
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