Japanese
English
研究と報告
Lesch-Nyhan症候群の精神症状—自験4例について
Study on the Psychiatric Symptomes in the Lesch-Nyhan Syndrome
大山 繁
1,5
,
中村 茂代志
1,5
,
古賀 靖人
1
,
芝原 千鶴子
1
,
鈴木 高秋
1
,
芳野 信
2
,
原口 宏之
3
,
三吉野 産治
4
Shigeru Oyama
1,5
,
Shigeyoshi Nakamura
1,5
,
Yasuto Koga
1
,
Chizuko Shibahara
1
,
Takaaki Suzuki
1
,
Makoto Yoshino
2
,
Hiroyuki Haraguchi
3
,
Sanji Miyoshino
4
1飯塚病院精神神経科
2久留米大学医学部小児科
3国立小倉病院小児科
4国立療養所西別府病院小児科
5現所属;熊本大学医学部神経精神科
1Dept. of Neuropsychiat., Iizuka Hospital
2Dept. of Pediatry, Kurume Univ. School of Med.
3Dept. of Pediatry, National Kokura Hospital
4Dept. of Pediatry, National Institute Nishibeppu Hospital
5Dept. of Neuropsychiat., Kumamoto Univ. School of Med.
pp.739-745
発行日 1978年7月15日
Published Date 1978/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202790
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I.はじめに
Lesch-Nyhan症候群は,精神発達遅滞choreoathetosis,脳性麻痺,高尿酸血症そして自傷行為を認める伴性劣性遺伝性疾患である1,2)。その病因としては,プリン代謝経路におけるHypoxanthineGuanine phosphoribosyl transferase(以下HGPRTと略記)の欠損であることが証明されている先天性代謝異常症である1,2)。
山村3)は,攻撃性および自傷行為といった性格行動異常が先天性代謝異常と結びついた本症候群は,将来の精神医学の一方向を示すもので興味深いとしている。ところで本症候群の本邦での報告は,すでに20数例を数えるが4〜8),それらはほとんど内科・小児科領域からのもので,われわれの知る限り,精神医学的な面からの報告はみられない。
われわれは,すでに診断が確定した古典的Lesch-Nyhan症候群7)の4例4〜6)を観察する機会を得,本症の精神症状として従来いわれている知能障害,自傷行為および攻撃性のほかに,情意面にも共通の症状を認めたので報告する。あわせて,自傷行為のみられる他疾患との比較検討などをとおして,Lesch-Nyhan症候群に特徴的といわれる自傷行為の成因について,若干の考察を行ないたい。
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