Japanese
English
症例報告
Lesch-Nyhan症候群の自傷行為に対する装具療法の経験
Self Controllable Mask as Aids in the Management of Child Self-Mutilation in the Lesch-Nyhan Syndrome.
江口 壽榮夫
1
,
時岡 孝光
1
,
松下 具敬
1
Sueo Eguchi
1
,
Takamitsu Tokioka
1
,
Tomohiro Matsushita
1
1高知県立子鹿園
1Kojika-En, Kochi Prefectural Institute for Crippled Children
キーワード:
Lesch-Nyhan症候群
,
自傷行為
,
装具療法
,
自己制御マスク
Keyword:
Lesch-Nyhan症候群
,
自傷行為
,
装具療法
,
自己制御マスク
pp.315-319
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107051
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
Lesch-Nyhan症候群1)はプリン体の代謝酵素の1つであるhypoxanthine guanine phosphoribosyltransferase(HGPRT)の先天性欠損により高尿酸血症をきたし2),脳性麻痺に似た全身の筋痙性の高まりやアテトーゼ様運動,特有の自傷行為,精神発達遅滞などを呈する稀な疾患である.筆者らは同一家系(図1)の3症例(表)3)を相い次いで経験したが,1歳半から2歳の頃に始まる自傷行為は,他人を咬むこともあるが,特に自分の頬部粘膜や下口唇を咬んで欠損を生じさせたり,自分の手指を咬んで傷つけたり,あるいは体の一部(頭,顔面,上肢,下肢など)を故意に打ちつけたり,強くこすったりするので悲惨でさえある.これらの自傷行為に対して,それができないように他動的に抑制する方法がよくとられる.
本稿では手指を咬む行為に対して,プラスチックで作製した硬性マスクを留め金で固定し,自由に上げ下げできるようにしたヘルメットを装着させることで,患児がマスクを自ら下げて口を塞ぎ,手指を咬む自傷行為を抑制させることができ,また患児も安心して手指を自由に使っての遊びが可能となり,さらに車椅子を駆動するに到った症例の経験を中心に報告する.
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.