特集 産婦人科医が知っておくべき新生児マススクリーニング
各論
11.ムコ多糖症
小須賀 基通
1
M. Koshuga
1
1国立成育医療研究センター遺伝診療センター遺伝診療科(診療部長)
pp.729-734
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.18888/sp.0000003021
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ムコ多糖症(MPS)は,生体内の結合組織に広く分布するムコ多糖の分解にかかわるライソゾーム酵素の活性低下により,ムコ多糖が過剰蓄積する先天代謝異常症である。MPSの主な症状は進行性の関節症状,骨変形,肝脾腫,弁膜症などの全身症状と精神発達遅滞などの中枢神経症状である。治療法として酵素補充療法と造血細幹胞移植が行われる。MPSは希少疾患であり,また症状進行が緩徐であるため,従来は早期診断が困難であった。症状が進行し,不可逆的となる前の無症状期や発症早期に診断・治療を開始することが予後改善に必要であり,近年,拡大新生児マススクリーニングの対象疾患となった。
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