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第1土曜特集 成人診療医にも知ってもらいたい小児神経疾患診療のポイント
ムコ多糖症
Mucopolysaccharidosis
小須賀 基通
1
Motomichi KOSUGA
1
1国立成育医療研究センター遺伝診療センター遺伝診療科
キーワード:
ライソゾーム病
,
ムコ多糖症(MPS)
,
多発性異骨症
,
酵素補充療法(ERT)
,
造血幹細胞移植(HSCT)
Keyword:
ライソゾーム病
,
ムコ多糖症(MPS)
,
多発性異骨症
,
酵素補充療法(ERT)
,
造血幹細胞移植(HSCT)
pp.788-793
発行日 2024年3月2日
Published Date 2024/3/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28809788
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ムコ多糖症(MPS)は,生体内の結合組織に広く分布するムコ多糖の分解に関わるライソゾーム酵素の活性低下により,ムコ多糖が全身に過剰蓄積する先天代謝異常症である.MPSは11種類の欠損酵素により7病型に分類されており,全身性,進行性の症状を呈する.主な症状として関節症状,骨変形,肝脾腫,弁膜症,難聴などの全身症状と,精神発達遅滞などの中枢神経症状が認められるが,それぞれの病型で臨床像や予後は異なっている.診断は尿中ムコ多糖分析,酵素活性測定,遺伝子検査の組み合わせにより可能である.根治的治療法として,酵素補充療法(ERT)と造血幹細胞移植(HSCT)が実用化されている.現在,5つの病型でERTによる治療が可能であり,2021年にはMPS Ⅱ型の中枢神経症状に有効な酵素製剤2剤が承認された.HSCTの適応については病型,年齢,重症度,ドナーの有無などを考慮するが,2歳以下の重症型MPS Ⅰ型にはHSCTの有効性が示されている.
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