増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
糖質および関連物質
ムコ蛋白/酸性ムコ多糖体
柏木 厚典
1
,
小畑 利之
1
1滋賀医科大学第3内科
pp.166-167
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909793
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酸性ムコ多糖体(acid mucopolysaccharides)はグルコサミノグリカン(glucosaminoglycans)とも総称され,蛋白コアと結合し,ムコ蛋白,すなわちプロテオグリカン(proteoglycans)を形成している1).グルコサミノグリカンはウロン酸とヘキソサミンが結合した二糖類が単位となって,直鎖状に並んだ酸性高分子物質である.グルコサミノグリカンはヘキソサミンの種類により6種類存在し,グルコサミンを構成体とするヘパリン,ヘパラン硫酸,ヒアルロン酸,ケラタン硫酸と,ガラクトサミンを構成体とするコンドロイチン硫酸,デルマタン硫酸に大別される.
これらは生体内諸臓器および各種結合組織に分布し,潤滑液,陰性荷電物質,支持,軟性,弾性物質,抗血栓性機能および水・塩分保持機能を有している.さらに,これらは血球細胞にも存在している.したがって,尿,血清,関節液,胸水などの濃度を測定することにより,生体内先天性ムコ蛋白代謝異常を診断し,罹患臓器の炎症などによる障害の程度,病気の活動度を診断することが可能である.
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