特集 これならわかる骨系統疾患とその周辺
各論
ムコ多糖症と骨病変
小須賀 基通
1
KOSUGA Motomichi
1
1国立成育医療研究センター遺伝診療科
pp.1669-1673
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001965
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はじめに
ムコ多糖は,デルマタン硫酸(DS),ヘパラン硫酸(HS),ケラタン硫酸(KS),コンドロイチン硫酸(CS),ヒアルロン酸,ヘパリンなどに分類され,生体内では全臓器に広く分布し,特に結合組織,軟骨,神経組織などに多く存在する。ムコ多糖症は,ライソゾーム内でこれらのムコ多糖分解に働く加水分解酵素の活性低下あるいは欠損により,未分解のムコ多糖が細胞や組織に過剰蓄積し臓器障害が引き起こされる。ムコ多糖症は11の欠損酵素と代謝経路により,Ⅰ~Ⅸ型(Ⅴ型とⅧ型は存在しない)の7つの病型に分類されている(表1)。それぞれの病型は,蓄積するムコ多糖の種類や,主に障害される組織および臓器が違っているため,臨床像や予後が異なっている。また同一の病型の患者間でも残存する酵素活性の違いにより,症状の発現時期や進行速度などの重症度には個人差が生じる。近年,拡大新生児マス・スクリーニング導入が図られ,主にムコ多糖症Ⅰ,Ⅱ型などを対象とした地域が広がっている。
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