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自己紹介
筆者が,がん看護に興味を持ったのは,1987年に看護基礎教育を終え,最初に配属された外科・泌尿器科病棟での経験です.入院患者の多くは“がん”でしたが,この病棟で勤務した3年半の間,乳がんの患者を除いて,がんの告知を受けていた患者は2人だけでした.現在では考えられないことかもしれません.また,再発患者も多く入院し,患者は自分の病状を知ることなく,痛みに耐えながら最期を迎えていました.その後,配属された内科病棟でも同様の経験をしました.当時,淀川キリスト教病院に開設されたホスピス病棟を見学にいったり,文献を通してホスピスケア・終末期医療などについて自己学習を重ねました.その後,臨床から離れ教育機関で勤務しましたが,もう一度,臨床の場でがん看護に携わりたいという思いが強くなりました.自身の実践を通してがん患者・家族を支援するだけでなく,新人看護師の時に自分自身や医師,その他メディカルスタッフも困難を感じていた経験から看護師や多職種の支援も担いたいと思い,がん看護専門看護師(以下,OCNS)を志すようになりました.
2005年にOCNSの認定を受け,三木市立三木市民病院(2013年に小野市立小野市民病院と統合し,北播磨総合医療センターとなった),および,2009年からは神戸大学医学部附属病院・がん相談室(相談支援センター)でOCNSとして活動してきました.OCNSとして活動する中,がん医療に関連して組織化やしくみづくりを多く経験し,看護師の実践能力の向上,看護の質向上に向けて取り組むためにはがん看護の領域だけで活動していても限界があるのかもしれないと考えるようになりました.また,OCNSの経験が看護管理に活かすことができるのではと考え,副看護部長を経て,2019年4月より,看護部長職につきました.
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