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第1土曜特集 痛み――慢性痛研究の最近の話題と将来展望
治療
痛くて当たり前?
-――CLAPによる “痛み” の少ない新しい感染治療
Is it natural for patients to hurt during infection treatment?
――Novel infection treatment with less pain using CLAP
姫野 大輔
1
Daisuke HIMENO
1
1千葉県救急医療センター外傷治療科(整形外科)
キーワード:
continuous local antibiotic perfusion(CLAP)
,
骨軟部組織感染症
,
局所抗菌薬療法
,
ゲンタマイシン
,
感染と痛み
Keyword:
continuous local antibiotic perfusion(CLAP)
,
骨軟部組織感染症
,
局所抗菌薬療法
,
ゲンタマイシン
,
感染と痛み
pp.80-87
発行日 2021年7月3日
Published Date 2021/7/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2780180
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細菌感染は “痛み” と密接に関係し,患者や医療者に苦い記憶を残す.そのメカニズムとして,細菌自体が侵害受容器を直接刺激し痛みを引き起こすともいわれている.一方で,バイオフィルムが関与する慢性的で根絶が難しい感染症が増加しており,われわれは骨軟部組織感染症の新たな治療方法として抗菌薬を局所に持続的に灌流するCLAP(continuous local antibiotic perfusion)の研究を進めている.CLAPは難治性病態の原因のバイオフィルムを駆逐できる抗菌薬局所濃度を長時間持続できるのが特徴であり,それを応用することで開放骨折治療,骨折関連感染(FRI),人工関節周囲感染(PJI)や脊椎手術後創部感染の治療はもちろんのこと,敗血症を伴う局所感染のソースコントロールとしても適応可能であり,局所の細菌が問題となるすべての病態に効果が期待される.CLAPは難治性感染の制御とともに,“痛み” の原因を速やかに除去できる可能性があり,さらに研究が進んでいくことで患者の利益となることは間違いない.本稿では感染を制御し “痛み” を取り去ることができた2症例を提示し,CLAPについて概説する.
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