巻頭言
専門医にとって当たり前のこととは?
江口 清
1
1筑波大学附属病院リハビリテーション部
pp.915
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100640
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本年3月より,リハビリテーション科専門医を広告に掲げることが認められている.しかし,他科の実情をも目にしながら,この専門医という響きが,時として重く感じられたり空しく感じられたりすることがある.そこで改めて求められているものについて考えてみた.分野ごとの独自性,固有性については度々議論されているので,多少身近(卑近?)なことにも目を向けながら,より基本的な「必要条件」を押さえたいと思う.
周囲を見渡せば,特に特定機能病院においては専門分化が進み,診療システム上は,治療や検査の手技から疾患,臓器や四肢の関節に至るまで担当が分かれている.膨大な情報があり,それが日進月歩であれば,役割分担は自然な流れである.その一方で総合的な医療活動の重要性が強調され,その専門性についても議論が繰り返されている.
翻って自らが身を置くリハビリテーション医療の実情を考えると,疾患や臓器による枠組みを無理に当てはめれば,きわめて多彩な対象者(患者)への対応が求められている.自身を省みると,対象者の抱える問題により,多少,得手・不得手があり,勉強不足を感じてしまうことがある.所属するセラピストも少人数の理学療法士,作業療法士に限られ,予定枠の空き具合によっては役割分担があいまいになる.しかし,これらの実態も実際は人員の多寡に左右されるようで,リハビリテーション医療全般をみれば,わが国でも細分化の流れは否定できない.看護師やセラピストなどコメディカルの方々も同様のようである.
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