高齢者骨折に対する私の治療法
転倒予防プログラム・リハビリテーションおよび装具 寝たきりを防ぐ骨折後のリハビリテーション 超高齢者における大腿骨近位部骨折術後歩行能力の検討
奥秋 保
1
,
長谷川 和寿
,
中村 秀紀
,
上野 悟
,
寺島 史明
,
勝呂 徹
1東邦大学 整形外科
キーワード:
股関節部骨折
,
内固定法
,
骨ネイル
,
骨ねじ
,
大腿骨頸部骨折
,
認知症
,
歩行
,
予後
,
治療成績
,
80歳以上高齢者
,
股関節置換術
Keyword:
Aged, 80 and over
,
Bone Nails
,
Bone Screws
,
Dementia
,
Femoral Neck Fractures
,
Fracture Fixation, Internal
,
Gait
,
Hip Fractures
,
Prognosis
,
Treatment Outcome
,
Arthroplasty, Replacement, Hip
pp.281-285
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.15106/J04037.2008055176
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90歳以上の超高齢者における大腿骨近位部骨折手術例87例を対象として、術後の歩行能力に関与する因子について検討を行った。骨折型は内側型32例、外側型55例で、受傷前の歩行状況は独歩30例、杖歩行26例、伝い歩き31例であった。術後は48例が歩行可能で、独歩3例、杖歩行24例、伝い歩き21例であった。内側型32例のうち術後歩行可能は24例、外側型55例のうち術後歩行可能は24例で、歩行再獲得率は内側型75.0%、外側型43.6%と内側型で高かった。治療法は内側型では人工骨頭挿入術を28例、cannulated cancellous hip screw(CCHS)を4例に、外側型ではcompression hip screw(CHS)を33例、Gamma nailを16例、Ender釘を6例に施行した。歩行再獲得率は人工骨頭挿入術で高かった。受傷~手術の期間と術後の歩行能については、外側型の歩行不能例で有意に手術までの期間が短かった。合併疾患の有無と術後の歩行再獲得率をみると、骨折型に関係なく合併疾患なしの症例は歩行再獲得率が高かった。認知症の有無と術後の歩行能力についてみると、歩行再獲得は認知症のない症例で高かった。手術日を起点、死亡時をエンドポイントとした生命予後をみると、1年生存率は術後の歩行能力に関係なく良好であったが、5年生存率は内側型、外側型共に歩行可能例が高い傾向にあった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007