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地域連携クリティカルパス(パス)を作成するにあたり、過去の大腿骨頭部・転子部骨折手術例の検討を行い、受傷前の屋外歩行能力により、手放し歩行自立の群(Aパス)、歩行補助具使用にて自立した群(Bパス)、監視又は介助を要する群(Cパス)の3群に層別化した。パス導入前の2004年39例、2005年44例、2006年前半の22例、パス導入後8ヵ月間の42例を対象にパス導入の効果を検討した。入院期間は経時的に減少しており、2004年と2005年の間には有意差がみられたが、2006年前半と導入後との比較では有意差はなかった。手術待機日数も経時的に減少し、導入前後で有意差がみられた。リハビリ開始までの日数は導入後有意に短縮し、導入前後で有意差がみられた。当院での運用実績では、転帰先として、Aパスでは直接自宅又は連携病院、Bパスでは連携病院、Cパスでは直接自宅、連携病院、連携老健が多くなっていた。Cパスで直接自宅へ転帰した多くは歩行獲得にはいたっていなかった。又、連携老健へ転帰した例は認知症を合併していた。連携機関での運用実績では、Aパスの多くが自宅退院し7例中6例が自立歩行を獲得した。Cパスでは、自宅転帰した6例が実用歩行獲得にいたり、認知症を伴う4例中3例は連携老健での実績であった。アウトカム達成度も、Aパスの多くが連携先の入院期間3週前後で自宅退院した。Bパスでは達成度が低く、期間はCパスよりも延長していた。歩行の経時的達成は、Aパスは術後1週程度で歩行器歩行自立、2~3週程度で杖歩行監視レベルとなり、B、Cパスと比べ早かった。Cパスはプラトーに達するものと、移動手段としての歩行獲得にいたるものとが混在したが、平均的に中途でプラトーに達していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007