発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014325128
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1998年1月~2012年12月の15年間に入院加療した60歳以上の大腿骨近位部骨折621(男性133名、女性488名、平均83.5歳)を対象に、治療法の変遷や予後などの経年的変化について検討した。1998年1月~2002年12月に入院加療した200例をA群、2003年1月~2007年12月の212例をB群、その後の2008年1月~2012年12月の209例をC群と3群に分けた。その結果、1)性別は各群で差がなかったが、平均年齢はA群83.0歳、B群82.6歳、C群84.7歳とC群で差があった。2)受傷前の居所はA群での自宅の割合が60.0%であるのに対して、B群では75.9%、C群では72.2%であった。3)全身性慢性疾患の有無ではA群で慢性疾患ありが63.0%、B群は77.8%、C群は86.6%と慢性疾患を有する症例の割合が増加していた。4)治療法は手術を施行した症例ではA群が82.5%、B群が93.9%、C群が94.7%と保存的治療の割合は有意に減少していた。5)入院から手術までの期間はA群の平均6.1日からC群では2.1日と有意に短縮していた。一方、退院時に歩行可能な症例はA群は160例中104例(65.0%)、B群は187例中95例(50.8%)、C群は189例中60例(31.7%)と退院時の歩行能力は明らかに低下していた。
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